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第1部

*求めていたい

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沢海は自分の腕の中で閉じ込めていた宮原の顔を覗き込むと濡れた眸が瞬き、零れた涙を指で掬う。

優しい指先の感覚に包まれ、見つめ返してくれる眸は上気した目元と長い睫毛に隠れてしまう。
潤んだ眸がまるで黒曜石のように水を湛えて光り、沢海は色の深さに吸い込まれていく。

『ーーー綺麗だな……』

荒削りの原石に秘めた輝きは沢海の心を虜にし、夢中で口付けを降らす。
そして、唇から口元へ、口元から耳朶へ、首筋へと舌を這わせ、汗の滲む頸に鼻を押し付け、宮原の匂いを嗅ぐ。
強引で粗野な愛撫に僅かに首を竦ませながら、宮原は沢海に身体を開き、差し出していく。

沢海は剥き出しの本能のままに従い、宮原の身体の全てを食らおうと欲望を曝け出す。

性急で執拗に弄られ続け、鼓動が熱く滾る感覚に震えると、宮原は重ねられる快感に引き摺られてしまう。

一度、火照りを覚えた体温は沢海の口唇が触れる箇所からまた熱を上げ、火傷をしたかのように肌を痺れさせていく。
ピリピリとした悦楽に隠れている興奮に呼吸を絡ませ、喘ぐように口を開けてしまう。

目を閉じ、満足そうな吐息を零す宮原の顎を掬い、唇の輪郭に沿って舐めると歯の隙間から舌を滑り込ませる。
歯列を擽り、口蓋に触れ、性感帯に触れてくる沢海の舌に宮原は口元から涎を垂らし、全身を弛緩させてしまう。

沢海の愛撫によって宮原は再び深い快感の坩堝に突き落とされ、沢海の胸に縋るように身体を凭れていく。
沢海は力なく寄り掛かられた宮原の上肢を自分の胸の中に抱き締めるように押さえ、そのまま腰を浮かせると腹の上を跨がせ、膝立ちにさせる。

「左膝、ちょっとだけ我慢して…」

既に勃起したままのペニスは変わらずに反り返り、沢海は片手で自らの陰茎を扱きながら摺り下げると宮原のアヌスへ位置を合わせる。
沢海は亀頭と雁首が精液を纏わせながら宮原のアヌスの皺を擦り、肉輪を柔らかく綻ばせていく。
クチュッと濡れた音を立てながら亀頭が吸い付かれると宮原は身体を捻らせ、沢海の肩を叩く。

「……ぁ、あの……
…沢海、先輩・・・
まだ、するの?
ーーー待っ、て……待って…
入れちゃ……ぁあんっ!…
…や、やぁ・・・はぁっ…ぁ、う…」

手加減もなしに一気に沢海は宮原のアヌスの内奥へペニスを捻じ込み、敏感に反応する肢体を楽しむように下から突き上げ、抽送する。

宮原の力の抜けた身体は沢海のペニスを飲み込むと亀頭を上手く使われ、精嚢と前立腺を押し潰し、直腸を擦り上げられる。

宮原は自らの体重を支え切れない事によって結合したアヌスは沢海のペニスを深く入り込ませてしまい、結腸の凹みを亀頭がコツコツと中から叩かれる。
神経を直に触れられているような快感に宮原は毛穴から汗を吹き立たせ、沢海の肩を押し、形だけの抵抗を示す。

「ーーー沢海、せんぱ、い……
おねが、い…
コレ、抜い…て……
ーーーも、無理だって……」
「ほら、分かる?
こんなに柔らかくなって…
ーーーオレのチンポ、全部食べちゃってる」

卑猥な言葉を続けられ、慣れない耳障りに宮原は視線を彷徨わせる。
真正面から抱き竦められ、快感に溺れ、真っ赤に染まる顔を覗き込まれ、止まらない喘ぎ声が漏れていく。

下から突き上げる律動に宮原は水辺に打ち上げられた魚のようにピクピクと蠢き、激しく身体を痙攣させてしまう。

沢海は悪戯に宮原の尻肉を後ろ手で掴むと上に引き、爛れるアヌスから自らのペニスを吐き出させると亀頭だけを含ませる。
そして、雁首の曲線を引っ掛けると沢海は宮原の尻肉を支えていた手を外す。
当然、宮原は自分の全身のバランスを支える事が出来ずに下肢を落としてしまい、沢海のペニスを根本までズブズブと咥え込んでいく。

「自分の身体、しっかりと支えないと何時までも抜けないよ?
ーーーほら、頑張ってよ…」

沢海は宮原を腕の中に抱き締めたままベッドに背中から倒れ込み、下肢を両手で支える。
腰骨を軸に上に引くと宮原は天井に向けて尻を突き出す淫猥な格好にさせる。

快感に打ち震える様は物欲しげに尻肉を揺らし、沢海は自らのペニスを締め付けるアヌスの皺を伸ばしていく。
会陰を指先で揉み拉き、緩んだ肉輪へとペニスを捩じ込んだまま沢海は腰をゆっくりと旋回させる。

皮膚が引き攣れる慣れない感覚と激しく打ち付ける抽送に加え、雁首が角度を変えて直腸を擦り上げる快感に宮原は呼吸を詰めてしまう。

「…やっ!やだっ!
引っ張ん、ないで…
……回さないで、よぉ…」
「こうすると、もっと深く入るんだよ…
ーーー気持ち良くない?
感じる余裕ない?
…まだ痛いだけ?」

沢海は宮原の腰を高い位置で固定すると、下から上へ抉るように搔き壊していく。

ぶるりと総毛立つ肌を撫で、必死に食い締めてくる宮原のアヌスに沢海は射精をしながら、夢中で腰を振る。
その度にグチュン、グチュンと直腸の中で体液の混ざり合う音が聴こえ、宮原は掠れる喘ぎ声と共に咽喉をひりつかせた。

宮原は引っ切り無しに襲われる射精を感じるものの、吐き出す精液は枯れ果ててしまい、勃起をしたままの陰茎を握り、ドライオーガズムに苦しんだ。
尿道口から飴のような透明な体液をどろりと垂れ、あまりのむず痒さに無意識に沢海の下腹に擦り付けてしまう。

沢海の律動に宮原は夢中で縋り付き、宮原自身も腰を動かし、体内に入り込んでいる沢海の精液の味を求める。
アヌスから糸を引き、攪拌され、白く泡立つ精子の塊が沢海の内腿までも汚し、その精液の生暖かさに沢海は乾いた唇を舐めずる。

「…悠…
『沢海先輩』じゃなくて、さ…
オレの名前、呼んでくれないの?
ーーー直哉って…」
「・・・もう、やめ、て…
意地悪、しないで…
身体に、力、入んない……あっ…
…んぁっ……うっ、ん…」
「そうだね。
トロンってした目、してる…
ーーー可愛いね…
悠、ここ、自分で緩めて外してみてよ…
そうしたら、止めてあげるから…」

絶望的な提案に宮原は背筋を引き攣らせ、悪辣に微笑む沢海を凝視する。

「…え……そんな・・・
ーーーぁん……はぁ…っん…」

宮原は沢海の抽送から身体を引き剥がそうと必死に抵抗をしてみるが、下肢が角度を変える度に深く突き上げられ、直腸越しに内臓にまで重く響いてくる。

咥え込んだアヌスが更に膨れ上がる沢海のペニスを感じ、僅かな隙間からプチュッと精液が漏れる。

ペニスが繰り返し直腸を擦り、熱を持つ襞が奥へと引き入れながら蠕動すると宮原は身体を支える為に踏ん張っていた足裏をクッと丸める。

沢海は同じリズムで抽送を行なっていたが、直腸に包まれているペニスを緊く食い縛られ、段々と身動きが取れなくなる。
腰を引き、浮かせてみるが一向に弛まず、沢海のペニスに必死に噛み付くアヌスに苦笑いが零れる。

「……ほら、緩めてってば…
まだ、オレの咥えていたいのは分かるんだけど…
早く緩めてくれないと…
ーーーこのまま、ずっとヤッちゃうよ?」
「……や、やぁ……
む、無理っ!
ーーー無理だよ、ぅ…
そ、み…先輩・・・抜い、て…
…やだぁっ!」
「直哉って、呼べよ…」

沢海は宮原の両膝を掬い上げると力任せに重心を掛け、律動を刻む。

「…やぁ・・・やぁっ……
ーーーだ、め……駄目ぇ…
…壊れ、る…
壊れ、ちゃうよぉ…」

覚えたばかりの快感に悲鳴を上げ、アヌスの粘膜が緊く沢海のペニスを噛み、蠢く媚肉が精液を欲しがる。
青臭く満たされる沢海の匂いをアヌスから漂わせながら、宮原は肉輪の縁から直腸の内奥まで激しく突き上げられ、意識が途切れそうになる。

声が裏返り、否定の言葉の中に動物的な喘ぎ声が多く含まれてくると宮原は完全に身体の力が抜けてしまい、沢海が与える快楽を全て自分の身体に浸透させていく。

沢海の精液で膨れる直腸が何度目かの射精を更に欲しがり、受け入れようと腰を震わせた。


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