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第1部

*セックス ー3ー

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沢海は宮原の口唇から耳朶へ舌を這わせると、耳孔の中へと舌を伸ばしていく。

濡れた舌が耳の複雑な輪郭線をゆっくりと辿ると沢海の舌の上に乗る唾液が水音を跳ね、宮原は過敏に反応をしてしまう。
直接、脳内に伝わるような感触と感覚に耳殻が震えてくる。

産毛の生える耳輪を喰み、軟骨の柔らかさを確かめると、沢海は耳孔に吐息を注ぐ。
堪らない恍惚感に溺れる沢海が吐き出す息は、甘い熱を孕み、宮原は味わった事のない感覚に身体を萎縮させてしまう。

「ーーーん……やぁっ……
耳、いや…
…くす、ぐったい……」

宮原は背筋に走る痒みのような焦ったさに、自分に覆い被さっている沢海の肩を掴むと、必死に堪えるように指を食い込ませる。
だが、宮原の手は直ぐに力が入らなくなり、沢海の身体に縋るように回されていく。

沢海は口腔内に宮原の耳殻を大きく含むと、ベロリと舌で舐め上げ、一時の余裕のない呼吸が宮原を追い詰めていく。

「・・・あ、そこ……もう、やだ…」
「…耳、擽ったいだけ?
じゃぁ、ここは?
ーーーここ、どう?
教えてよ…宮原の感じるところ…」

耳朶から首筋、首筋から鎖骨へと唇で触れ、急激に上がる体温の高さを感じる。
沢海の舌が宮原の肌に纏わりつくように這わせると、毛穴からしっとりと汗が滲み出しているのが分かる。

鎖骨の窪みに口唇を埋めるとそのまま肌理の細かい皮膚を軽く吸い、歯を立てる。
一瞬、焼け付くような痛みに宮原は顔を顰め、拒否の姿勢を取ろうとする。

「…首…ダメ…
跡……残っちゃう・・・
また、ユニフォーム着れなくなっちゃう、よぉ……」

宮原の首筋に顔を埋めている所為で、沢海の髪が宮原の頬にまで流れ、その柔らかい感触に心地良さを覚える。

飲み込まれてしまう沢海の手管に、宮原は残存する精一杯の強い力で沢海の身体を押し退けようと虚勢を張る。

沢海は苦笑いの表情を隠すと、1箇所だけ散らされたキスマークにもう一度だけ宮原の首筋に唇で触れる。

「ごめん…
ここだけ、残っちゃった。
ーーーユニフォームから、見えちゃうかな?」

全く反省が見受けられない沢海の態度に宮原は頬を膨らませ、剥れる表情をする。
まるで駄々を捏ねる稚児のような仕草に沢海は目元を緩め、少し笑いながら宮原に口付けをすると許しを乞う。

沢海は宮原の額に張り付いた前髪を指先で梳き、頸に流れる汗を見付け、舌で舐め、味わう。
襟首に感じる沢海の唇と舌の動きに宮原は直ぐに態度を硬化させると、自らの首筋を両手で押さえ身体を竦めた。

「イヤ、だって……
……跡、残すなよっ!……」

宮原の判然とした拒絶に些か沢海もムッとした表情を浮かべ、腕の中の宮原から距離を取る。

「ユニフォームから見えないところだったら、良いだろ?」
「そういう事、言っているわけじゃ…
ーーーあっ!……んうぁ…」

沢海の指先が宮原の薄い胸筋を這い、痼った乳首を捉えると意地悪をするように軽く抓る。
指先で押し潰され、捏ねるように縒られ、宮原の小さい乳首を育てていく。

コリコリとした感触を味わおうと沢海は宮原の左の乳首を舐め、舌先で乳暈の膨らみを感じる。
そのまま食べるように口内に含むと口唇を使い、乳首の根本から緊く吸い付く。
そして、空いている右の乳首を指の腹で円を描くように柔らかく触れ、左右の乳首に与える愛撫を態と変えていく。

「ここも、感じてるよね?
ーーー気持ち良い?」
「はぁっ……ん……
ーーーひぁ…っあ・・・そこ、や…
…やぁ…」

宮原は無意識に腕で自分の胸を隠そうとし、覆い被さる沢海を邪険に払い除けようとする。
力の入らない指が沢海の肩を引っ掻き、皮膚に細い爪痕が残る。

快楽の底に溺れていく事に混乱を来している宮原をベットに縫い止めようと、沢海は宮原の両手首を掴むと宮原の頭の上で固定する。
そして、正常位でお互いの起立する下肢を密着させると、沢海は勃起する自らの陰茎を下に向け、宮原の会陰に擦り付ける。

微かに震えている腕の間から、宮原の情欲に潤んだ眸と快楽に淡く染まる頬が見え隠れする。

宮原は身体を撓らせると弓のようにカーブを描く胸が強調され、剥き出しにされた乳暈はぷっくりと膨らみ、乳首の尖りが際立つ。

「…もっと、見せて…
隠さないで…」
「…あんっ……そ、こ……だめ…
ーーーダメぇ…」

沢海は再度、宮原の乳首を舐めようと大きく舌を出し、お互いの視覚に訴えるように見せつけ、舐める。
唾液を乗せた舌で何度も乳首を擽り、先端の切間に舌先を捩じ込むと更に痼りが大きく尖っていく。
沢海は口内に乳暈を含むと、くちゅくちゅと淫靡な音を立てながら軽く吸い上げる。

「…んあっ!…
ふっ……ぅん……くぅ・・・」

沢海の口内で宮原の乳首が捏ねるように吸われ、舌で先端を舐められ、時折、ちゅぽっと水音を立てながら、唇を離してみたりする。
そしてまた直ぐに沢海は舌を伸ばすと宮原の乳首を含み、押し潰すように舐める。

執拗に何度も同じ行為を繰り返し、性感帯に直接舐っていくと沢海は更に刺激を求めようと宮原の腫れぼったい乳首に軽く噛み付く。

舌と唇の柔らかさに慣れた宮原の乳首は、痛みさえ感じる愛撫に身体を大きく震わせる。

「あぁっ!…んっ・・・
ーーーそこ……い、やぁ…
もう、噛まないで…
…ジンジン、する……」

受け入れる事によって堕ちていく身体の訴えを沢海は抱き止め、もう一度乳首を舐めると宮原の胸から顔を上げた。

「あんなに小さい乳首だったのに、こんなに真っ赤になって……
・・・スゲー、やらしいね…
ひょっとして…
ここだけで、イケるんじゃない?」

猥雑に笑う沢海は宮原の乳首を両手で摘むと爪先で引っ掻くように弾いていく。

女の乳房のような膨らみもない平らな胸に沢海は口から唾液を垂らすと透明な雫のように肌に落ち、その箇所に塗り広げながら舌を這わせていく。
薄い胸筋から乳暈の丸みをゆっくりと舌先で線を描き、乳首を下から掬うように舐める。
そして、何度も何度も宮原の乳首を口内で含み、唇の力だけでちゅっと吸い上げ、解放する。

「…もう、や……
やぁ……やめ、て……
ーーー痛い、よぉ…」

真っ赤に腫れ上がる乳首を沢海は満足そうに見詰めると、残酷な言葉を吐く。

「ここだけで、イったら…
止めてあげる」
「ーーーそん、な…こと……
出来な、い・・・ひゃぁ…ん」

沢海は宮原の肋骨を掴み、真正面から肩甲骨の下を持ち上げると上肢が沢海の目の前で柔らかく反る。
その中央で健気に尖る乳首を歯で挟み、噛むように歯を立てた瞬間、宮原の口から悲鳴が上がる。

「いやあぁぁ…
ーーーむ、りぃ……
痛、い……やだぁ・・・」

全く触れないようにしていた宮原の両腿は沢海の下半身に巻き付けるように回され、宮原は自らの腰を沢海の身体に押し付けるように上下に動かしていく。
二人の聳り立つ裏筋が擦れ合い、宮原のペニスから先走りの精子が亀頭を伝い、陰茎に一滴、また一滴と流れていく。

沢海は下肢に感じる射精感を奥歯を噛んで押し留めると、宮原の胸の上で頰擦りをする。

「スッゲー、心臓の音。
ドキドキしているね……
乳首もぷくって・・・
…ほら、立ってる…
ーーー可愛いな…」

確認をするように左右に赤く色付く乳首を交互に口に含み、口唇の膨らみを使って扱く。
ぺちゃぺちゃと啜るような水音と同時に痺れに似た感覚が全身を苛んでいく。

宮原の下肢を上から押さえ付けるように沢海が伸し掛かり、一切の身動きが取れなくなると吐精を逃す術を封じられ、内腿が震えてくる。
必死に足掻くように宮原は沢海の腕を掴み、頭を振ると汗で湿る黒髪がシーツの上で広がる。

「……や、やだっ……
出る・・・出ちゃう、よぅ…
……ひっ…んっ……
あっ……あぁ……やぁ・・・」

呼気が咽喉で絡まり、喘ぎ声が抑え切れなくなると今度は全身に鳥肌が立ち、宮原は溺れた人のように両手を沢海へ伸ばす。
沢海は宮原の手を取り、指を絡めると離さないように強く握り締める。

「…そのまま、イっちゃえ…」

沢海は宮原の乳首を咥えたまま、残酷にそして平然と宮原を追い詰めていく。
そして、真綿に触れるような優しさで乳首を吸い上げた瞬間、沢海の下腹に飛び散る生温かい体液を感じた。

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