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第1部

*セックス ー1ー

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ボクサーパンツを脱ぐと大量の精液がだらりと糸を引きながら宮原の内腿を汚し、皺になったシーツにも流れていく。
粗相をしたように濡れる下肢は精液の白い塊をこびり付かせ、粘着く体液に宮原は不快を感じていた。

宮原は沢海に背を向けるように身体をくねらせると、沢海は宮原の右膝裏を掴み、外側へ開くように動かしていく。
必然と宮原は足を大きく開く格好になってしまい、両手で股間を隠した。

「やぁっ!
…み、見ないでよっ!ヤダっ!」

沢海はクスリと笑うと宮原の顔を覗き込み、拒否の言葉を吐く口唇を触れるだけの口付けで塞ぐと、宮原の声音を閉じ込めた。

「だって、見せてくれないとセックス出来ないじゃん。
ーーー宮原、知ってる?
ここと、ここに…
チンポに黒子があるんだよ」

沢海は宮原の右の鼠蹊部を撫でると、手の中に収まり切れていない陰茎の根本に触れる。
人差し指で精液の絡む陰毛を避けると、陰茎の裏筋にまで指を這わせ、ノックをするように黒子の場所を教えてくれる。
そして、そのまま大量の精子を蓄えて腫れ上がっている陰嚢にも手を伸ばし、丸い膨らみを弄びながら会陰に触れ、同じように2度目のノックをする。

緩んだ手の隙間から宮原の包皮の柔らかさと起立する肉棒の感触を確かめ、沢海は宮原の股間をやんわりと撫でる。

「…ひゃっ!…
ーーーし、知らないよっ!
そんなトコ、見えないしっ!!」

宮原は自分自身でさえ知らない黒子の場所を告げられ、何時の間にか身体の隅々まで調べられている事に驚き、そして沢海を睨み付けた。
宮原の慣れない睥睨を沢海は軽く往なすと片眉を上げ、酷く嬉しそうに笑った。

「…へぇ…
じゃあ、オレが初めて?
ーーー良い事、聞いちゃった」

普段、他人に対して無表情の仮面を張り付け、感情の起伏でさえ無意識に抑えている沢海は、宮原の前だけは自分のありのままを曝け出していた。
そして、今も嬉しそうに目尻を下げて笑う沢海の表情に目を離せずにいた。

あまり他人に見せない沢海の崩れた笑顔に、宮原は何度目かの見惚れてしまう。

沢海は宮原の両手首を掴み、ベットにもう一度押し倒すとベッドのスプリングが軋み、沢海の腕の中で宮原が抱かれるような姿勢になる。
沢海の吐き出す息が宮原の肌に触れ、一瞬息を呑む。

宮原の下肢の上に沢海は身体を寄せ、お互いの股間を擦り合わせるような体制になる。
沢海は下半身を押し付けながら腰を上下に動かすと、勃起した陰茎の包皮が引っ掛かる。

宮原の精液が潤滑剤となり、裏筋から亀頭まで何度も往復する腰使いに翻弄され、宮原は身体の体温を上げていく。
発熱をしているかのように体内が反応する反面、直接股間を攻められ、感じる箇所を探られる度に鳥肌を立ててしまう。

「ーーーこんなにびっしょり濡らしていたんだ…
いっぱい出ちゃってたんだね…
・・・ごめん。
気が付かなくて…」

態とらしい言い訳に宮原は溜息にも似た吐息を漏らす。

沢海は勃起する双方の陰茎を手で扱く事はせず、下肢を巧みに動かしながら自らの亀頭で宮原の会陰に触れる。
時折、意地悪く腰を強く打ち込ませ、精液の滑りを使い、アヌスの皺を擦っていく。

「…んぁっ!……
そこ……ダメ……まだ、ダメぇっ…!…」

沢海の亀頭を受け入れる余地がまだ無い、綻びのない括約筋が口を硬く閉し、宮原の腰が引けていく。
仰け反る背骨の湾曲を指で確かめるように撫でると腰を掴み、沢海は自身が挿入しやすい角度に合わせる。
そして、宮原のアヌスを先走りの精液を滴らせた亀頭を使って弄り、体液を入り口に塗り込む。

「・・・大丈夫…
急になんて入れないよ…
ここに残っているの、みんな空っぽにして、さ……
宮原がオレに上手におねだり出来たら…
ーーーそしたら、ゆっくり入れてあげる」

沢海の右手が宮原の陰嚢を撫で、精液の詰まっている膨らみを確かめるように揉んでいく。
固く収斂する感触を楽しみ、ピンと下腹まで反り返る陰茎を眺めていると先端から染み出してくる精液が根元まで流れてくる。

「ここ、何回、出るかな…?」

沢海は不躾な視線を宮原の下肢に注いだまま笑みを浮かべる。
自分の身体の下で身悶える宮原の肢体を眺め、セックスをするというお互いの肌を合わせる行為を妄想し、恍惚の表情を浮かべる。

ーーー入れたい。
宮原の窄まるアヌスの口を緩め、自分の陰茎の形に広げたい。
ーーー早く入れたい。
自分のペニスを根元まで捩じ込み、最奥にまで届くような激しい突き上げをしたい。
ーーー宮原の中に入りたい。
宮原の心も身体も全て手に入れたい。

「ーーーそんなに……見るなって……
…恥ずか、しいよぅ…」

拒否をする言葉とは裏腹に、宮原は自身の手ではなく、沢海の手で起立する陰茎も扱いてもらいたい欲求が生まれる。
泥沼のように底が見えない性欲を持て余す身体が解放を求め、宮原は身体が焦げるような射精感に襲われる。

視姦されていくように全てを曝け出させる羞恥心に眩暈さえしてくる。

「上も脱がすよ…
…両手を上に上げて…」
「ーーーは、い……」

ユニフォームのシャツを脱いでしまえば一糸も纏わない姿になってしまう緊張に心臓が耳鳴りのように響く。

両手を万歳をするような格好で宮原は肩を上げると沢海はシャツの裾を掴み、腕を抜こうとしたが、一度手を離してしまう。
半袖の日焼け跡を残している腕をそのままにすると、沢海は無防備な宮原の上肢を見詰めた。

シャツの頭を抜いていない状態で放置された宮原は自らの首元の生地を引っ張り、胸を逸らして衣服を脱ごうとする。

薄く張り付いた胸筋が伸び、その中心にある薄桃色の小さい乳首が痼って立ち上がっている。
まだ触れてもいない状態にも関わらず、ツンを上を向いている蠱惑的な情景が沢海の目の前で広がる。

何も隠すものがない肢体に触れようと、沢海は宮原の肌に吸い寄せられるように身体を屈めた。

直情的な欲望のまま沢海は宮原の乳首に舌を伸ばし、押し潰すように舐めると口の中に入れ、クチュッと吸い付くように転がす。
粘着音を立てながら乳首の弾力を確かめると、軽く噛み付く。

「…ひゃっ…ぁん!…」

視界を塞がれたまま乳首を愛撫された宮原は甲高い声を発し、踠く。
予測不可能な沢海の手管に翻弄され、乳首に軽い痛みを残しながら沢海の舌が名残惜しく離れていく。

「ーーー相変わらず、可愛い声…
触って欲しそうだったから…
ちょっと、味見しちゃった…」

宮原は慌ててユニフォームのシャツを頭から抜くと、不意打ちでの乳首への悪戯に顔を真っ赤に染めた。



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