【R18】君に触れる、全てのものから

すぐる

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第1部

*見えない現実

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沢海は宮原の求めている事を宮原の身体を使って、更に追い詰めていく。

沢海は使用途中だったベットサイドにあるマッサージクリームを手にし、キャップを取ると指先にたっぷりと押し出す。
その指先を宮原の両足の間に滑り込ませると、直接陰部に触れてくる。

アヌスから会陰まで沢海の骨張った指がマッサージクリームを広げ、後孔の皺の隙間にまで念入りに塗り込めていく。

指の腹で円を描くようにアヌスに触れ、時折、固い肉が柔らかくなっていく様を確かめるように動かし、施していく。

肉筒の入り口が爛れたように捲れていくとアヌスは収斂を繰り返し、体内の奥に飲み込もうと快感に満たされようとする。

沢海の手が弛緩した宮原の腰を掴み上げると、沢海の目前で双尻を固定し、その中央にあるアヌスを左右に割り開く。
余計な力が入っているアヌスは口を開けるには固く、更にマッサージクリームを足していく。

宮原の身体が度重なる愛撫に震え、この行為に耐えなければならないと息を詰め、必死に堪える。
乾いた喉が何度も否定的言葉と苦痛の言葉を発するが、その度に指を噛んで目を閉じる。

快感に突き落とされるような甘い声を、喉の奥で殺していく。

アヌスに挿入された指がその輪郭を確かめるように、ぐるりと内部を犯していくと声が引き攣る。

「ーーーッ!………」

強張る肉襞が沢海の指を絡み、マッサージクリームの滑りで少しずつ開くと、下腹部に圧迫を感じる。

異物が体内に入り込み、身体を蝕んでいくような感覚に宮原の精神状態も限界に近付いてしまう。

ーーー怖い……
ーーー怖いよぅ…

圧倒的な威圧を持った暴力紛いのセックスは宮原の身体の中に記憶を残し、重圧された畏怖と耐え難い苦痛以外に精神的にも大きな傷跡を残した。

以前、サッカー部の部室で「沢海の」一方的で自分勝手に犯されるのではなく、もう一度向き合い、沢海とセックスをして伝わらなかった、伝えきれかった事を知りたいという気持ちはある。

「犯された」という過去の事実は自分の身体に刷り込まれた痛みが覚えている。
今、その痛みを生む「セックス」をしようとしている事も理解している。

自分を傷付ける、自分を傷付けられてしまう「セックス」だ。

排泄器官を性器として変え、相手を受け入れ、受け止めらければならない。

ただその反面に「何かが違う」と自分の中で疑問が不出している。

宮原の心にも、身体にも深傷を負わせた相手は、本当に沢海だったのだろうか?

沢海の身体に触れて、自分の身体を触れられて、そして感じる。

沢海の身体の温度、腕の強さ、指の優しさ、熱い息遣い、そして鍛えられた胸筋から伝わる心臓の音が宮原の中で「違う」と言っている。

宮原の記憶の中では、自分を犯した相手は沢海「だった」としか分からない。

ーーー怖い……
ーーー怖いよぅ…

何かが「違う」

「宮原…
ーーー目、開けて。
オレを見て。
ーーーオレはここにいるから…」

降り注いでくる沢海の懇願するような声音に、宮原はゆっくりと目を開ける。

目を開けると宮原の視界に入ったのは、沢海の切なそうな表情だった。

眉根を寄せ、切れ長の目を細め、口元をギュッと引き締め、宮原を見詰めている。
酷く大人びた表情で宮原を見詰める沢海の顔は青臭くも男の色気を纏い、宮原を虜にしていく。

『沢海先輩…
ーーー沢海先輩の顔……好きだな……
でも、なんで笑ってくれないの?
…なんで、泣きそうな顔をしているの?
ーーーオレまで寂しくなってくるよ…』

宮原はずっと唇を噛みしめながら声を殺して、自分が気が付かないうちに静かに涙を溢していた。

「ーーー沢海先輩…
好き……
……沢海先輩、好き……」

「泣くなよ……泣くなって……
…宮原…
お前の気持ちは十分、分かっているから…
ーーー大丈夫だから、ね」

「ーーーうん……」

黙って頷いている宮原を沢海は包み込むように優しく抱き締める。
沢海の優しく、強いその腕の中で宮原は安堵すると呼吸と共に一気に感情が溢れてくる。

「…ごめ……ごめん……
ーーーごめんなさい………
沢海先輩……」

自分の考えている事とは反して身体が拒絶をしている事実に、宮原は愕然とするしかなかった。

自分の気持ちを自分が理解している筈なのに、何も分からずに、これ以上どうする事も出来ない。

一度、沢海に「犯された」という事が自分の中に澱のように淀み、凝り固まり、溶けることはない。
「好き」という感情だけでは処理出来ない、非難にも似た理由が何度も脳裏を駆け巡る。

ーーーどうしてあの時、オレを犯したの?
…違う。
ーーーどうしてあの時、オレを犯したの?
…違う。

『それは、沢海先輩じゃない』

ーーーでも、この身体の痛みは?
ーーーでも、この心の痛みは?

『一体、誰に犯された?』

怖くて、痛くて、抵抗をする事でさえも、何も出来なかった。

「ーーー沢海先輩……
好き、なのに…
好きなのにっ…
ーーーこれ以上…出来ない……」

沢海が何かを言い掛けようとするが、その言葉を噤み、宮原の身体を離さないように腕に力を入れる。

「ーーーうん。
オレが全部、悪いんだ…
ごめん……ごめんな……」
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