エバーラスティング・ネバーエンド──第三人類史

悠木サキ

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第一章

19 孤軍奮闘

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「ハウンド二等兵!」
 セーグネルは自身の小銃を携え、後に残ったカウルとシーナのもとに向かった。
「あっ、ハートクレア准尉!」
 セーグネルに気がついたカウルが顔を上げる。いつの間にかカウルはシーナを半壊した左の掩体まで引き寄せていた。
「スレヴィアス上等兵は!?」
 セーグネルはカウルにシーナの安否を尋ねる。
「あっ、えっと……」
「外傷は!?」
 カウルの返答はしどろもどろとして要領を得ない。切迫した状況に、悠長な問答をしている暇はないので、セーグネルはざっとシーナの容態を見た目で判断した。
──怪我はしてない。
 外傷はなく、シーナも気を失っただけのようだった。
(どうする──)
 気を失ったままのシーナをこの場に置いておくのは危険だ。
 アビィ同様、シーナを艦内に運び入れるしかない。
「ハウンド二等兵!彼を中に──」
 そう途中まで言いかけたセーグネルだったが、視界に敵機──戦闘機に遅れてやってきた敵の雷撃機の姿が映った。
「っ!」
 雷撃機の抱える航空魚雷は、目標まで千メートルほどの距離で投下される。
 敵をその攻撃点アタックポイントまで近づけるわけにはいかない。
「そのままここにいろ!!」
「え──」
 シーナやカウルに構っている暇はない。
 セーグネルはカウルにそれだけ言うと、彼らを置いて銃座の機銃に向かった。

「くっ」
 ジオが離脱し無人となった銃座についたセーグネルは、機銃の横に機銃と一体となって据えられた、機銃弾の弾帯が入った弾薬箱に手を当てる。
 セーグネルの手のひらから、光の粒子が放出され、機銃弾が連なる弾帯に吸い込まれていく。
──敵を近づけるわけには……!
 機銃の弾薬に『心』を込めたセーグネルは、機銃の銃把を握り、照準を敵雷撃機に向ける。
 ダダダダダッ!ダダダダダッ!
 機銃は弾帯を瞬く間に吸い込み、銃口から弾丸を吐き出していく。
 セーグネルは反動に照準を狂わされないよう、小刻みに射撃を中断させながら、敵雷撃機に機銃を射かける。
──だが、
 ブウウン。
 唸りを上げるプロペラの音が、セーグネルの頭上から聞こえてきた。
「っ!」
 見上げると、敵の戦闘機の一機が『アマネ』の上空を通過し、旋回して再びこちらに機首を向けようとしていた。
 ブウウン。ブウウン。
 その一機だけではない。続けざまに二機目、三機目と、敵の戦闘機が『アマネ』の上空で弧を描いて旋回し、それぞれが攻撃態勢を取ろうとしている。
──機銃掃射の第二波が来る。
「くうっ!」
ダダダダダッ!ダダダダダッ!
 セーグネルは機銃を空に仰がせ、銃口を敵の戦闘機に向けて発砲した。
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