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第一章
8 不協和
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ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
シーナは曳航標的が自身の射界に入るたび、対装甲狙撃銃を連射する。
カウルはシーナが弾薬を撃ち尽くすたびに、己の『心』を精一杯込めた新しい弾薬を彼に渡す。
──ガン!ガン!ガン!
シーナが何度目かの迎撃射撃をしていると、
「スレヴィアス上等兵!もっと狙ってから撃て!」
と、後ろから分隊長の少女、セーグネル=ハートクレア准尉が声を張り上げた。分隊を指揮監督する彼女の目には、シーナが遮二無二、狙撃銃を乱射しているように見えたのだろう。
「……」
セーグネルの注意が聞こえたカウルが、シーナの顔を伺う。
シーナは険しい表情のまま、対装甲狙撃銃を構え、水上偵察機の動向を注視している。
再び偵察機がシーナのいる右舷を通過した。
──ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
相も変わらずの連続射撃。
シーナは銃口をずらしながら、撃てる限り曳航標的を射撃し続ける。
「スレヴィアス上等兵!」
その様子を見たセーグネルが怒号を飛ばす。
(無視かよ──!)
セーグネルの注意はシーナにも聞こえていたはずだ。それなのに、それを無視して狙撃銃を連射し続けるシーナに、カウルは冷や汗を覚える。
「あの、ハートクレア准尉が……」
ちゃんと聞こえていなかったのであろうか──因みに、シーナをはじめ『艦上歩兵科』の兵士は銃声から耳を保護する耳栓などの装備はしていない。『鼓動』により自身の鼓膜を保護できているためだ──カウルがシーナにセーグネルの注意を伝え直そうとするも、
「うるせえ!弾を寄越せ!」
とシーナに一蹴されてしまった。
慌てて新しい弾薬を渡すカウル。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
大型弾倉をカウルからふんだくったシーナは、変わらぬ調子で迎撃射撃を続ける。
「はあ……はあ……」
次第にカウルの息が切れはじめてきた。
シーナとカウルの足元にはすでに十個近い空の大型弾倉が転がっている。
間を置かず大型弾倉に『心』を込め続け、自身の『心』を消耗していっているために、カウルは疲労していた。
(ぐっ……)
まだ訓練は終わらず、シーナは変わらず弾倉を早いペースで消費し続ける。
弾薬の供給役のカウルは、歯を食いしばり、精神を両手に握る大型弾倉に集中させる。
しかし、思うように『心』を込められない。
『心』の消耗は、肉体の疲労及び、集中力の低下といった精神面でのパフォーマンスの減退を招く。
『心』そのものをだいぶ消耗しているうえに、集中力までも低下し、カウルはなかなか弾倉に『心』を充填できずにいた。
シーナは曳航標的が自身の射界に入るたび、対装甲狙撃銃を連射する。
カウルはシーナが弾薬を撃ち尽くすたびに、己の『心』を精一杯込めた新しい弾薬を彼に渡す。
──ガン!ガン!ガン!
シーナが何度目かの迎撃射撃をしていると、
「スレヴィアス上等兵!もっと狙ってから撃て!」
と、後ろから分隊長の少女、セーグネル=ハートクレア准尉が声を張り上げた。分隊を指揮監督する彼女の目には、シーナが遮二無二、狙撃銃を乱射しているように見えたのだろう。
「……」
セーグネルの注意が聞こえたカウルが、シーナの顔を伺う。
シーナは険しい表情のまま、対装甲狙撃銃を構え、水上偵察機の動向を注視している。
再び偵察機がシーナのいる右舷を通過した。
──ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
相も変わらずの連続射撃。
シーナは銃口をずらしながら、撃てる限り曳航標的を射撃し続ける。
「スレヴィアス上等兵!」
その様子を見たセーグネルが怒号を飛ばす。
(無視かよ──!)
セーグネルの注意はシーナにも聞こえていたはずだ。それなのに、それを無視して狙撃銃を連射し続けるシーナに、カウルは冷や汗を覚える。
「あの、ハートクレア准尉が……」
ちゃんと聞こえていなかったのであろうか──因みに、シーナをはじめ『艦上歩兵科』の兵士は銃声から耳を保護する耳栓などの装備はしていない。『鼓動』により自身の鼓膜を保護できているためだ──カウルがシーナにセーグネルの注意を伝え直そうとするも、
「うるせえ!弾を寄越せ!」
とシーナに一蹴されてしまった。
慌てて新しい弾薬を渡すカウル。
ガン!ガン!ガン!ガン!ガン!
大型弾倉をカウルからふんだくったシーナは、変わらぬ調子で迎撃射撃を続ける。
「はあ……はあ……」
次第にカウルの息が切れはじめてきた。
シーナとカウルの足元にはすでに十個近い空の大型弾倉が転がっている。
間を置かず大型弾倉に『心』を込め続け、自身の『心』を消耗していっているために、カウルは疲労していた。
(ぐっ……)
まだ訓練は終わらず、シーナは変わらず弾倉を早いペースで消費し続ける。
弾薬の供給役のカウルは、歯を食いしばり、精神を両手に握る大型弾倉に集中させる。
しかし、思うように『心』を込められない。
『心』の消耗は、肉体の疲労及び、集中力の低下といった精神面でのパフォーマンスの減退を招く。
『心』そのものをだいぶ消耗しているうえに、集中力までも低下し、カウルはなかなか弾倉に『心』を充填できずにいた。
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