1 / 3
1話
しおりを挟む
「おねー様!見て下さい!」
そう言って真新しい学園の制服を身に着けて私に近寄って来たのは、妹であるミリネール。
その顔には満面の笑みを浮かべており、ミリーが学園生活をとても楽しみにしているのが伺える。
「よく似合っているよ、ミリー。」
「ふふっ、お姉様にそう言っていただけるだけでとても幸せです!」
「そうか。ただ、あまりはしゃぎすぎては駄目だよ。」
「はーい!」
明日からミリーも私の通う国立薔薇園学園に入学する。
通称薔薇学は、ほとんどの生徒が高い身分の者達が通う学園で、私たちフォルベス家もその中の1つだ。
だから、ミリーにも令嬢としての礼節をしっかりやってもらいたいのだが、それは難しい問題で。
家の中ならまだしも、外でも走って大きな声で私の名を呼ぶ。
そして、飛びつくように抱きしめてくるのだ。
そうする度に「ミリー、はしゃぎすぎては駄目だよ。」と注意しているのに直る気配が無い。
全く困った妹だ。
「お姉様、またそうやって呆れられた様なお顔をするのです?」
「すまない。ミリーが元気過ぎるのも困りものだなと思っただけだよ。」
「もう、何ですかそれ~!……これでも直そうと頑張ってるんですよ!ただ、お姉様を見ると衝動が抑えられないというか、その、」
「そうか。それじゃ私以外の人にやる心配はしなくてもいいか。」
「む。信じてない顔してます~。」
「ははっ。信じてるさ。」
もう~。とまだ不満そうにしている妹を背に私は自室へ戻るのであった。
***
私のお姉様は美しい。
断言出来る。
スラリとした体躯、長い紺青色の髪。
さらに、お胸が大きい。
男らしい口調だけど、中身はとても乙女で純情で…
正義感溢れる自慢のお姉様。
明日からは、そんなお姉様と一緒に学園に通うことがてきる。
そう考えるだけで舞い上がってしまって、ついつい制服を着て、丁度廊下にいらっしゃったお姉様に感想を求めに来てしまった。
「似合っているよ。」
その言葉を聞いた瞬間、あぁお姉様に褒めてもらえた!
と心が勝手に喜びに震える。
その後、言葉を何回か交わしてお姉様は自室に戻って行かれた。
後ろ姿も美しい!
そんな事を考えていると後ろから声をかけられた。
「ミリネールお嬢様。お支度の準備を開始致しますので、お部屋までどうぞお戻りくださいませ。」
「分かったわ、マナ。」
「ところでお嬢様。」
「なーに?」
「本当に決行なさるのですか?」
「当たり前よ!お姉様をお守りするためだもの!」
「畏まりました。」
そう、お姉様に寄り付く虫けらは私が退治しないとね。
***
「マリー、学園は寮生活の方を選んだようだが大丈夫か?」
翌朝、移動の馬車の中でもう一度確認する。
「えぇ大丈夫です!私もお姉様と同じがいいんです!」
「そうか、あまり無理はするなよ。途中で家から通うことにする事も出来るんだからな。」
「心配しすぎですよ、お姉様。」
そういって微笑むマリーの顔を見て、迷いは無いんだなと安心する。
マリーには、この学園生活を十分に楽しんでほしいからな。
そうこうしているうちに、学園に着いたようだ。
「アゼルティお嬢様、ミリネールお嬢様学園に到着致しました。」
「ここまでご苦労だった。」
「ありがとう、シーター。」
「勿体なきお言葉。……お荷物の方は、我々従者が責任もってお部屋までお運びいたします。」
「「ありがとう。」」
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
「あぁ、行ってくる。」
「はい、行ってきます!」
その言葉を最後に私とミリーは、学園の門をくぐった。
そう言って真新しい学園の制服を身に着けて私に近寄って来たのは、妹であるミリネール。
その顔には満面の笑みを浮かべており、ミリーが学園生活をとても楽しみにしているのが伺える。
「よく似合っているよ、ミリー。」
「ふふっ、お姉様にそう言っていただけるだけでとても幸せです!」
「そうか。ただ、あまりはしゃぎすぎては駄目だよ。」
「はーい!」
明日からミリーも私の通う国立薔薇園学園に入学する。
通称薔薇学は、ほとんどの生徒が高い身分の者達が通う学園で、私たちフォルベス家もその中の1つだ。
だから、ミリーにも令嬢としての礼節をしっかりやってもらいたいのだが、それは難しい問題で。
家の中ならまだしも、外でも走って大きな声で私の名を呼ぶ。
そして、飛びつくように抱きしめてくるのだ。
そうする度に「ミリー、はしゃぎすぎては駄目だよ。」と注意しているのに直る気配が無い。
全く困った妹だ。
「お姉様、またそうやって呆れられた様なお顔をするのです?」
「すまない。ミリーが元気過ぎるのも困りものだなと思っただけだよ。」
「もう、何ですかそれ~!……これでも直そうと頑張ってるんですよ!ただ、お姉様を見ると衝動が抑えられないというか、その、」
「そうか。それじゃ私以外の人にやる心配はしなくてもいいか。」
「む。信じてない顔してます~。」
「ははっ。信じてるさ。」
もう~。とまだ不満そうにしている妹を背に私は自室へ戻るのであった。
***
私のお姉様は美しい。
断言出来る。
スラリとした体躯、長い紺青色の髪。
さらに、お胸が大きい。
男らしい口調だけど、中身はとても乙女で純情で…
正義感溢れる自慢のお姉様。
明日からは、そんなお姉様と一緒に学園に通うことがてきる。
そう考えるだけで舞い上がってしまって、ついつい制服を着て、丁度廊下にいらっしゃったお姉様に感想を求めに来てしまった。
「似合っているよ。」
その言葉を聞いた瞬間、あぁお姉様に褒めてもらえた!
と心が勝手に喜びに震える。
その後、言葉を何回か交わしてお姉様は自室に戻って行かれた。
後ろ姿も美しい!
そんな事を考えていると後ろから声をかけられた。
「ミリネールお嬢様。お支度の準備を開始致しますので、お部屋までどうぞお戻りくださいませ。」
「分かったわ、マナ。」
「ところでお嬢様。」
「なーに?」
「本当に決行なさるのですか?」
「当たり前よ!お姉様をお守りするためだもの!」
「畏まりました。」
そう、お姉様に寄り付く虫けらは私が退治しないとね。
***
「マリー、学園は寮生活の方を選んだようだが大丈夫か?」
翌朝、移動の馬車の中でもう一度確認する。
「えぇ大丈夫です!私もお姉様と同じがいいんです!」
「そうか、あまり無理はするなよ。途中で家から通うことにする事も出来るんだからな。」
「心配しすぎですよ、お姉様。」
そういって微笑むマリーの顔を見て、迷いは無いんだなと安心する。
マリーには、この学園生活を十分に楽しんでほしいからな。
そうこうしているうちに、学園に着いたようだ。
「アゼルティお嬢様、ミリネールお嬢様学園に到着致しました。」
「ここまでご苦労だった。」
「ありがとう、シーター。」
「勿体なきお言葉。……お荷物の方は、我々従者が責任もってお部屋までお運びいたします。」
「「ありがとう。」」
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
「あぁ、行ってくる。」
「はい、行ってきます!」
その言葉を最後に私とミリーは、学園の門をくぐった。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
【短編】悪役令嬢と蔑まれた私は史上最高の遺書を書く
とによ
恋愛
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、いじめを受け。
まさに不幸の役満を食らった私――ハンナ・オスカリウスは、自殺することを決意する。
しかし、このままただで死ぬのは嫌だ。なにか私が生きていたという爪痕を残したい。
なら、史上最高に素晴らしい出来の遺書を書いて、自殺してやろう!
そう思った私は全身全霊で遺書を書いて、私の通っている魔法学園へと自殺しに向かった。
しかし、そこで謎の美男子に見つかってしまい、しまいには遺書すら読まれてしまう。
すると彼に
「こんな遺書じゃダメだね」
「こんなものじゃ、誰の記憶にも残らないよ」
と思いっきりダメ出しをされてしまった。
それにショックを受けていると、彼はこう提案してくる。
「君の遺書を最高のものにしてみせる。その代わり、僕の研究を手伝ってほしいんだ」
これは頭のネジが飛んでいる彼について行った結果、彼と共に歴史に名を残してしまう。
そんなお話。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる