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道中での恥ずかしい出来事

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「アマリヤ、お待たせ。」

その声に顔を上げる。

「ミゼル?お話しはもう終わったの?」

「あぁ。大した事じゃなかったからな。…もう行けるか?」

大した事じゃない。か。
あの感じからして告白かなと思ったのだが、杞憂だったのだろうか?
でも、もしさっきのが告白であったとした場合、ミゼルがそれを受けていたとしたら?
今の私はただのおじゃま虫ではないか。

いやいやまだそうと決まった訳じゃない。
ミゼル本人が大した事ではないと言っているのだからそれでいいじゃない。
私は、マイナスな妄想を切りやめて言葉を発する。

「…行けるわ。でも、何処に行くの?あまり時間がないと思うのだけど。」

「そうだな。あと一時間くらいか。迎えがあるっていうのも悩みものだな。」

「ふふ。まだ学園生活1日目なのに、そんな事言って。」

「それもそうだな。」

一通りの会話を終え、改めて二人で探索をしに歩き出す。
今日は、天気が良いから外へ出て散歩がてらいろいろな場所を見ようということになった。

###
凄い。
私には、これしかこの光景の素晴らしさを言い表す言葉を持っていない。
なんて語彙力の低さだと自分でも思うが、仕方がない。
青々とした新緑が暖かい太陽の光を反射して宝石のように光輝いている様はまるで、前世でよく観ていたジブルのよう。
これがただの庭園へと続く道なのだから、庭園の方はもっと凄いのだろう。

ふと、誰かが自分を見ていることに気づく。
その視線を辿っていくと笑っているミゼルがいた。

「何を笑っているの?」

「っ……いっ、いや。アマリヤが凄く楽しそうにしているから。」

「だからって、そこまで笑う?」

ちょっと不貞腐れたように返せば、彼はごめんと一言謝り、さらに言葉を続けた。

「でも、子供みたいにはしゃぐアマリヤも悪い。」

「……え?………私、そんなにはしゃいでいたかしら?」

「ものすごく。」

うそ。恥ずかしい…。
そういった行動は、人前では控えていたから余計に恥ずかしい。
自分でも、頬が赤くなっているのが分かる。
私は、咄嗟に顔を両の手で覆い隠した。

「なんで顔を隠すのさ。折角の可愛い顔が見れないじゃないか。」

…え?今、なんと?……かわいい?
あれ?ミゼルってこんな感じだったっけ?
混乱と恥ずかしさで私の頭はもうパニック状態になっていた。
そんな私の傍らで笑い声が聞こえる。
また、ミゼルが笑い出したのだろう。

ふぅ………

深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そして、冷静になった頭でもう一度考える。
………恥ずかしいだけだった。

ふと思う。
私だけ恥ずかしい思いをするのは、不公平だわ!絶対、仕返しをしてあげるんだから!

そう決意をして、私は庭園まで歩いて行くのであった。
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