11 / 18
道中での恥ずかしい出来事
しおりを挟む
「アマリヤ、お待たせ。」
その声に顔を上げる。
「ミゼル?お話しはもう終わったの?」
「あぁ。大した事じゃなかったからな。…もう行けるか?」
大した事じゃない。か。
あの感じからして告白かなと思ったのだが、杞憂だったのだろうか?
でも、もしさっきのが告白であったとした場合、ミゼルがそれを受けていたとしたら?
今の私はただのおじゃま虫ではないか。
いやいやまだそうと決まった訳じゃない。
ミゼル本人が大した事ではないと言っているのだからそれでいいじゃない。
私は、マイナスな妄想を切りやめて言葉を発する。
「…行けるわ。でも、何処に行くの?あまり時間がないと思うのだけど。」
「そうだな。あと一時間くらいか。迎えがあるっていうのも悩みものだな。」
「ふふ。まだ学園生活1日目なのに、そんな事言って。」
「それもそうだな。」
一通りの会話を終え、改めて二人で探索をしに歩き出す。
今日は、天気が良いから外へ出て散歩がてらいろいろな場所を見ようということになった。
###
凄い。
私には、これしかこの光景の素晴らしさを言い表す言葉を持っていない。
なんて語彙力の低さだと自分でも思うが、仕方がない。
青々とした新緑が暖かい太陽の光を反射して宝石のように光輝いている様はまるで、前世でよく観ていたジブルのよう。
これがただの庭園へと続く道なのだから、庭園の方はもっと凄いのだろう。
ふと、誰かが自分を見ていることに気づく。
その視線を辿っていくと笑っているミゼルがいた。
「何を笑っているの?」
「っ……いっ、いや。アマリヤが凄く楽しそうにしているから。」
「だからって、そこまで笑う?」
ちょっと不貞腐れたように返せば、彼はごめんと一言謝り、さらに言葉を続けた。
「でも、子供みたいにはしゃぐアマリヤも悪い。」
「……え?………私、そんなにはしゃいでいたかしら?」
「ものすごく。」
うそ。恥ずかしい…。
そういった行動は、人前では控えていたから余計に恥ずかしい。
自分でも、頬が赤くなっているのが分かる。
私は、咄嗟に顔を両の手で覆い隠した。
「なんで顔を隠すのさ。折角の可愛い顔が見れないじゃないか。」
…え?今、なんと?……かわいい?
あれ?ミゼルってこんな感じだったっけ?
混乱と恥ずかしさで私の頭はもうパニック状態になっていた。
そんな私の傍らで笑い声が聞こえる。
また、ミゼルが笑い出したのだろう。
ふぅ………
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そして、冷静になった頭でもう一度考える。
………恥ずかしいだけだった。
ふと思う。
私だけ恥ずかしい思いをするのは、不公平だわ!絶対、仕返しをしてあげるんだから!
そう決意をして、私は庭園まで歩いて行くのであった。
その声に顔を上げる。
「ミゼル?お話しはもう終わったの?」
「あぁ。大した事じゃなかったからな。…もう行けるか?」
大した事じゃない。か。
あの感じからして告白かなと思ったのだが、杞憂だったのだろうか?
でも、もしさっきのが告白であったとした場合、ミゼルがそれを受けていたとしたら?
今の私はただのおじゃま虫ではないか。
いやいやまだそうと決まった訳じゃない。
ミゼル本人が大した事ではないと言っているのだからそれでいいじゃない。
私は、マイナスな妄想を切りやめて言葉を発する。
「…行けるわ。でも、何処に行くの?あまり時間がないと思うのだけど。」
「そうだな。あと一時間くらいか。迎えがあるっていうのも悩みものだな。」
「ふふ。まだ学園生活1日目なのに、そんな事言って。」
「それもそうだな。」
一通りの会話を終え、改めて二人で探索をしに歩き出す。
今日は、天気が良いから外へ出て散歩がてらいろいろな場所を見ようということになった。
###
凄い。
私には、これしかこの光景の素晴らしさを言い表す言葉を持っていない。
なんて語彙力の低さだと自分でも思うが、仕方がない。
青々とした新緑が暖かい太陽の光を反射して宝石のように光輝いている様はまるで、前世でよく観ていたジブルのよう。
これがただの庭園へと続く道なのだから、庭園の方はもっと凄いのだろう。
ふと、誰かが自分を見ていることに気づく。
その視線を辿っていくと笑っているミゼルがいた。
「何を笑っているの?」
「っ……いっ、いや。アマリヤが凄く楽しそうにしているから。」
「だからって、そこまで笑う?」
ちょっと不貞腐れたように返せば、彼はごめんと一言謝り、さらに言葉を続けた。
「でも、子供みたいにはしゃぐアマリヤも悪い。」
「……え?………私、そんなにはしゃいでいたかしら?」
「ものすごく。」
うそ。恥ずかしい…。
そういった行動は、人前では控えていたから余計に恥ずかしい。
自分でも、頬が赤くなっているのが分かる。
私は、咄嗟に顔を両の手で覆い隠した。
「なんで顔を隠すのさ。折角の可愛い顔が見れないじゃないか。」
…え?今、なんと?……かわいい?
あれ?ミゼルってこんな感じだったっけ?
混乱と恥ずかしさで私の頭はもうパニック状態になっていた。
そんな私の傍らで笑い声が聞こえる。
また、ミゼルが笑い出したのだろう。
ふぅ………
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そして、冷静になった頭でもう一度考える。
………恥ずかしいだけだった。
ふと思う。
私だけ恥ずかしい思いをするのは、不公平だわ!絶対、仕返しをしてあげるんだから!
そう決意をして、私は庭園まで歩いて行くのであった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
こんにちは、女嫌いの旦那様!……あれ?
夕立悠理
恋愛
リミカ・ブラウンは前世の記憶があること以外は、いたって普通の伯爵令嬢だ。そんな彼女はある日、超がつくほど女嫌いで有名なチェスター・ロペス公爵と結婚することになる。
しかし、女嫌いのはずのチェスターはリミカのことを溺愛し──!?
※小説家になろう様にも掲載しています
※主人公が肉食系かも?
断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
夫を愛することはやめました。
杉本凪咲
恋愛
私はただ夫に好かれたかった。毎日多くの時間をかけて丹念に化粧を施し、豊富な教養も身につけた。しかし夫は私を愛することはなく、別の女性へと愛を向けた。夫と彼女の不倫現場を目撃した時、私は強いショックを受けて、自分が隣国の王女であった時の記憶が蘇る。それを知った夫は手のひらを返したように愛を囁くが、もう既に彼への愛は尽きていた。
長編版 王太子に婚約破棄されましたが幼馴染からの愛に気付いたので問題ありません
天田れおぽん
恋愛
頑張れば愛されると、いつから錯覚していた?
18歳のアリシア・ダナン侯爵令嬢は、長年婚約関係にあった王太子ペドロに婚約破棄を宣言される。
今までの努力は一体何のためだったの?
燃え尽きたようなアリシアの元に幼馴染の青年レアンが現れ、彼女の知らなかった事実と共にふたりの愛が動き出す。
私は私のまま、アナタに愛されたい ――――――。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
他サイトでも掲載中
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
HOTランキング入りできました。
ありがとうございます。m(_ _)m
★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★
初書籍
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
が、レジーナブックスさまより発売中です。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる