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あの後、鬼畜な大魔導師様に清浄魔法と回復魔法をかけてもらい、俺は約束の時間ギリギリに兵舎に併設されている鍛練場を訪れた。
魔法のお陰で一見俺の見た目はいつもどおり。
しかし、朝から羞恥プレイを体験させられた精神的なダメージは計り知れない。
おまけに朝飯は食いっぱぐれるし。結局乳首を苛む装飾品は着けたままだし。
勇者である俺にだけ許された白地に金の装飾が施された素晴らしく高潔で凛々しい軍服の中身がそんな破廉恥なことになっているとは、誰も思うまい。
俺、別に元々そういう性癖じゃないんだけど……。
っていうかこの世界に転生してカークに色々されるまで普通のセックスの事しか知識になかったし。
セックスっていう行為自体にこんなにも多種多様なやり方があるって知らなかったし、あんな変態レベルの特殊プレイがあるなんてこと考え付きもしなかった。
でもそれは俺が童貞だったからじゃないと思うんだ。
平民だったらそんなもん。
そもそもセックスにエンターテイメント性を求めるのは、貴族っていうか金にも時間にも余裕がある高貴な方々だけだから。
だって普通に考えて、平民が乳首に淫具を着けたまま仕事してて貴族相手に粗相したら、最悪不敬とかで命が吹き飛ぶし。
命がけの変態プレイをしたい人も中にはいるだろうが、そもそもこんな乳首を苛めるだけの機能しかないこの道具は、平民が一生働いても買えないほどのお値段がする。
そんなのに金使うくらいなら生活に回すのが普通の人間の考え方だ。
鍛練場には既に将来騎士として国に剣を捧げることになる優秀な訓練生達が集まっていた。
皆俺を出迎えるために微動だにせずに整列している。
訓練生の証であるカーキ色の制服に身を包んでいるその集団は、あどけない顔立ちをしてる者から、お前ホントに未成年?歳誤魔化してんじゃね?という老け顔さんまで様々なタイプの人間が集まっている。
訓練生は基本未成年しかなれないことになっているので、皆まだ子供といってもいいくらいの年齢だ。
その面持ちは皆一様に緊張の色が隠せていないのがありありとわかる。
そんなに緊張しなくていいのに……。
救国の勇者自らの剣術指南となれば緊張するものなんだろうけど、その勇者様の実態コレだからね……。
朝から羞恥プレイでセックスした挙げ句、現在進行形で服の下が大変なことになってます。
「お待ちしておりました。レオン・バート閣下」
訓練生の指導を担当している教官が畏まった態度で頭を下げる。
この人確か伯爵家の出身だったよな。
元平民の俺からしたら雲の上の存在なのに、今となっちゃ俺のほうが立場が上って、改めて魔王討伐がどれだけの偉業だったのかってことを思い知らされる。
まあ、俺が実際苦労して倒したのここの魔王じゃないけどさ。
一応倒したとこからのスタートになってるから。
因みに今の俺の立場は稀代の英雄にして救国の勇者ってことで王族と同列に扱われている。
公式の身分は大公。
実際に自分の領土を持ってるわけじゃないが、他の爵位だと臣下扱いになっちゃうから、便宜上そういう風にしたらしい。
つまりは国王の従兄弟で公爵位のカークより身分は上ってことになる。
だからアイツはやたらと丁寧な態度で俺に接してくるんだけど……。
あんまり学がないから良くわかんないけど、たぶんああいうのが慇懃無礼っていうことなんだろうなってのはよくわかる。
クソッ。ムカつくぜ!
俺をこんな目にあわせておいて、自分だけいつもと変わらず涼しい顔をして仕事をこなしているのかと思うと腹が立つ。
俺はそんな憤りを表に出すことなく訓練生の前に立つと、憧れの英雄というイメージを意識しながら口を開く。
「レオン・バートだ。今日は諸君らの実力のほどを見せてもらう。中でも優秀な者は後程私との手合わせを予定している。気を抜くことなく鍛練に励むように」
俺の訓示に一糸乱れぬ動作で敬礼する若者達。
ああ、キラキラとした憧れの視線を向けられるのがツラい……。
魔法のお陰で一見俺の見た目はいつもどおり。
しかし、朝から羞恥プレイを体験させられた精神的なダメージは計り知れない。
おまけに朝飯は食いっぱぐれるし。結局乳首を苛む装飾品は着けたままだし。
勇者である俺にだけ許された白地に金の装飾が施された素晴らしく高潔で凛々しい軍服の中身がそんな破廉恥なことになっているとは、誰も思うまい。
俺、別に元々そういう性癖じゃないんだけど……。
っていうかこの世界に転生してカークに色々されるまで普通のセックスの事しか知識になかったし。
セックスっていう行為自体にこんなにも多種多様なやり方があるって知らなかったし、あんな変態レベルの特殊プレイがあるなんてこと考え付きもしなかった。
でもそれは俺が童貞だったからじゃないと思うんだ。
平民だったらそんなもん。
そもそもセックスにエンターテイメント性を求めるのは、貴族っていうか金にも時間にも余裕がある高貴な方々だけだから。
だって普通に考えて、平民が乳首に淫具を着けたまま仕事してて貴族相手に粗相したら、最悪不敬とかで命が吹き飛ぶし。
命がけの変態プレイをしたい人も中にはいるだろうが、そもそもこんな乳首を苛めるだけの機能しかないこの道具は、平民が一生働いても買えないほどのお値段がする。
そんなのに金使うくらいなら生活に回すのが普通の人間の考え方だ。
鍛練場には既に将来騎士として国に剣を捧げることになる優秀な訓練生達が集まっていた。
皆俺を出迎えるために微動だにせずに整列している。
訓練生の証であるカーキ色の制服に身を包んでいるその集団は、あどけない顔立ちをしてる者から、お前ホントに未成年?歳誤魔化してんじゃね?という老け顔さんまで様々なタイプの人間が集まっている。
訓練生は基本未成年しかなれないことになっているので、皆まだ子供といってもいいくらいの年齢だ。
その面持ちは皆一様に緊張の色が隠せていないのがありありとわかる。
そんなに緊張しなくていいのに……。
救国の勇者自らの剣術指南となれば緊張するものなんだろうけど、その勇者様の実態コレだからね……。
朝から羞恥プレイでセックスした挙げ句、現在進行形で服の下が大変なことになってます。
「お待ちしておりました。レオン・バート閣下」
訓練生の指導を担当している教官が畏まった態度で頭を下げる。
この人確か伯爵家の出身だったよな。
元平民の俺からしたら雲の上の存在なのに、今となっちゃ俺のほうが立場が上って、改めて魔王討伐がどれだけの偉業だったのかってことを思い知らされる。
まあ、俺が実際苦労して倒したのここの魔王じゃないけどさ。
一応倒したとこからのスタートになってるから。
因みに今の俺の立場は稀代の英雄にして救国の勇者ってことで王族と同列に扱われている。
公式の身分は大公。
実際に自分の領土を持ってるわけじゃないが、他の爵位だと臣下扱いになっちゃうから、便宜上そういう風にしたらしい。
つまりは国王の従兄弟で公爵位のカークより身分は上ってことになる。
だからアイツはやたらと丁寧な態度で俺に接してくるんだけど……。
あんまり学がないから良くわかんないけど、たぶんああいうのが慇懃無礼っていうことなんだろうなってのはよくわかる。
クソッ。ムカつくぜ!
俺をこんな目にあわせておいて、自分だけいつもと変わらず涼しい顔をして仕事をこなしているのかと思うと腹が立つ。
俺はそんな憤りを表に出すことなく訓練生の前に立つと、憧れの英雄というイメージを意識しながら口を開く。
「レオン・バートだ。今日は諸君らの実力のほどを見せてもらう。中でも優秀な者は後程私との手合わせを予定している。気を抜くことなく鍛練に励むように」
俺の訓示に一糸乱れぬ動作で敬礼する若者達。
ああ、キラキラとした憧れの視線を向けられるのがツラい……。
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