セカンドライフ!

みなみ ゆうき

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番外編

その後11.誕生日を祝いました! 【当日】1/2

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「誕生日おめでとう。光希」


東條の部屋のリビングで映画鑑賞をしている最中。
スゴく座り心地のいいソファーでまったり寛ぎながら眠気に襲われていた俺は、隣に座っていた東條に耳許でそう囁かれたことで少しだけ意識が浮上した。

時刻は午前0時。

日付が変わるのと同時にお祝いの言葉を掛けられたらしいことに気付き、寝ぼけ眼のまま隣にいる東條のほうに顔を向ける。


「……ありがと」


ぼんやりとしながら反射的に答えると、そんな俺がおかしかったのか東條がクスリと笑った。

いつもの俺ならここで負けず嫌いというか、意地っぱりの虫が顔を出したりするのだが、今日の俺はまったりモードのせいなのか、不思議と東條に対する対抗心のような気持ちがわいてこないどころか、まったり過ぎて眠気には勝てず、再び目が閉じそうになっていた。

せっかくのお泊まりデートなのにこれで良いわけないのはわかってる。

でもさ。このソファー、滅茶苦茶気持ちいいんだよ……。


「光希」


名前を呼ばれ、なんとか目を開けようと頑張ってみたもののどうにもならず、俺の意識は段々と夢の世界へと突き進んでいく。


「寝るならベッドに行くか?」

「ん……」

「自分で歩けるか?」

「……ん」


微かに残った意識の中で移動しなきゃな、と思ったとこまではなんとか覚えてる。

でもかろうじて意識を保っていられたのはここまで。

不覚にも俺は東條が隣にいる状態で、そのまま眠りについてしまったのだった。




◇◆◇◆



えらく寝心地がいいベッドだなぁ、なんてのんびり考えながら寝返りをうつ。しかし手に当たった明らかに人肌だと思われる感触に俺は一気に覚醒した。

パッチリと目を覚ますと、全く見覚えのない部屋の様子が目に飛び込んでくる。
俺は一瞬自分が誰と一緒にどこにいるのか認識出来ずに超焦った。


「……どうした?」


気怠げなバリトンボイスがすぐ側から聞こえてくる。それと同時に背中側から腕を回され、身体がピッタリと密着する。

聞き覚えのある声に恐る恐る身体を反転させると。


「おはよう」


そこには見慣れてる筈なのにいつもとはちょっと違うように感じられる東條の、嫌味なくらい整った顔があった。


「……おはようございます」


動揺を押し隠して挨拶する。

そしてここが東條の部屋の寝室にあるベッドの上だということに気付いた俺は、かろうじて昨夜のやり取りを思い出し大いに反省した。


まさかの寝落ち……。しかも自分でここに来た記憶がないってことは東條が運んでくれたんだよな?

日付が変わった直後に東條がおめでとうって言ってくれて、一回目を覚ましたのは覚えてる。

そっからベッドにいかなきゃな~って思ったとこまではうっすら記憶にあるんだけど。


しかも俺の失態はそれだけじゃない。

一応お泊まりデートなのにエッチなしって、どうなの!?
そりゃ爛れた時間にならないようにとは思ってたけど、全然なしとかオッケーなわけ?

泊まりでセックスしないデートとか今までしたことないからわからない。

普通がわかんないとかって、俺ってホントろくな事してこなかったってことだよな……。
そりゃ『顔だけ王子』とか呼ばれる筈だ。

かつての自分のクズぶりまで思い出し、遠い目になった。

そんな事を考えている俺を東條はじっと見つめている。

うぅ……。気まずい。


「……あのさ、昨夜はごめん。その、先に寝ちゃって」


おずおずと視線を合わせて謝ると、東條は俺の唇にチュッと音をたててキスをしてきた。


「気にするな。眠たがってる光希も可愛かったから」


なんか甘ーい。
まさに恋人同士の朝って感じ。

まさかこういうの、俺がされる側になるとは……。

真っ直ぐに俺を見つめてくる東條の瞳に不覚にもドキドキしてしまう。


段々と思考が恋愛対応になってきるな、なんて考えていると。


「愛してる」


その言葉とともにもう一度軽く口付けられた。

……ホントに甘い。


でも。
いつも強引に快感を引き摺り出されるようなキスばかりされていたせいなのか、戯れのようなキスにちょっとだけ物足りなさを感じてしまう。

今日は爛れた時間にしたくないって思ってた筈なのに、いざこういうシチュエーションになったらそれも不満だなんて我ながら自分勝手だなとは思うけど。


そんな俺の気持ちを察してくれたのか、上半身裸の東條が俺に覆い被さり、角度を変えて何度も触れるだけのキスを落としてきた。

その唇を舌先でチロリと舐めると、唇を軽く食まれる。

薄く開いた唇からすかさず東條の滑らかな舌が入り込み、俺の舌を絡め取っていく。舌の動きだけで口腔内の弱いところを全てを探り当てられれば、もっと東條から与えられる感触が欲しくて堪らなくなった。

相変わらず東條のキスは心も身体も蕩けそうなくらいに気持ちいい。

ふわふわとした高揚感と、身体の奥から沸き上がってくる疼くような熱に煽られ力が抜けてしまった俺は、自然と東條の広い背中に手を回し、まるで自分からキスをねだるかのようにしがみついていた。


「光希」


甘いトーンで名前を呼ばれ視線を上げる。


「どうして欲しい? まったりする?」


どうやら東條はこんな場面でも誕生日である俺の意向に応えてくれる気でいるらしい。

相変わらず性格悪ぃな……。

俺は余裕の東條が憎たらしくなり、つい乗らなくていい挑発にのってしまっていた。


「やろうぜ。まったりしたセックス。先生なら出来るでしょ?」

「──光希の望みならどんな事でも叶えてやれる自信はあるけど?」


自信満々と言った感じの東條に、俺は噛みつくようなキスを仕掛けてやった。
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