100 / 107
番外編
その後11.誕生日を祝いました! 【当日】1/2
しおりを挟む
「誕生日おめでとう。光希」
東條の部屋のリビングで映画鑑賞をしている最中。
スゴく座り心地のいいソファーでまったり寛ぎながら眠気に襲われていた俺は、隣に座っていた東條に耳許でそう囁かれたことで少しだけ意識が浮上した。
時刻は午前0時。
日付が変わるのと同時にお祝いの言葉を掛けられたらしいことに気付き、寝ぼけ眼のまま隣にいる東條のほうに顔を向ける。
「……ありがと」
ぼんやりとしながら反射的に答えると、そんな俺がおかしかったのか東條がクスリと笑った。
いつもの俺ならここで負けず嫌いというか、意地っぱりの虫が顔を出したりするのだが、今日の俺はまったりモードのせいなのか、不思議と東條に対する対抗心のような気持ちがわいてこないどころか、まったり過ぎて眠気には勝てず、再び目が閉じそうになっていた。
せっかくのお泊まりデートなのにこれで良いわけないのはわかってる。
でもさ。このソファー、滅茶苦茶気持ちいいんだよ……。
「光希」
名前を呼ばれ、なんとか目を開けようと頑張ってみたもののどうにもならず、俺の意識は段々と夢の世界へと突き進んでいく。
「寝るならベッドに行くか?」
「ん……」
「自分で歩けるか?」
「……ん」
微かに残った意識の中で移動しなきゃな、と思ったとこまではなんとか覚えてる。
でもかろうじて意識を保っていられたのはここまで。
不覚にも俺は東條が隣にいる状態で、そのまま眠りについてしまったのだった。
◇◆◇◆
えらく寝心地がいいベッドだなぁ、なんてのんびり考えながら寝返りをうつ。しかし手に当たった明らかに人肌だと思われる感触に俺は一気に覚醒した。
パッチリと目を覚ますと、全く見覚えのない部屋の様子が目に飛び込んでくる。
俺は一瞬自分が誰と一緒にどこにいるのか認識出来ずに超焦った。
「……どうした?」
気怠げなバリトンボイスがすぐ側から聞こえてくる。それと同時に背中側から腕を回され、身体がピッタリと密着する。
聞き覚えのある声に恐る恐る身体を反転させると。
「おはよう」
そこには見慣れてる筈なのにいつもとはちょっと違うように感じられる東條の、嫌味なくらい整った顔があった。
「……おはようございます」
動揺を押し隠して挨拶する。
そしてここが東條の部屋の寝室にあるベッドの上だということに気付いた俺は、かろうじて昨夜のやり取りを思い出し大いに反省した。
まさかの寝落ち……。しかも自分でここに来た記憶がないってことは東條が運んでくれたんだよな?
日付が変わった直後に東條がおめでとうって言ってくれて、一回目を覚ましたのは覚えてる。
そっからベッドにいかなきゃな~って思ったとこまではうっすら記憶にあるんだけど。
しかも俺の失態はそれだけじゃない。
一応お泊まりデートなのにエッチなしって、どうなの!?
そりゃ爛れた時間にならないようにとは思ってたけど、全然なしとかオッケーなわけ?
泊まりでセックスしないデートとか今までしたことないからわからない。
普通がわかんないとかって、俺ってホントろくな事してこなかったってことだよな……。
そりゃ『顔だけ王子』とか呼ばれる筈だ。
かつての自分のクズぶりまで思い出し、遠い目になった。
そんな事を考えている俺を東條はじっと見つめている。
うぅ……。気まずい。
「……あのさ、昨夜はごめん。その、先に寝ちゃって」
おずおずと視線を合わせて謝ると、東條は俺の唇にチュッと音をたててキスをしてきた。
「気にするな。眠たがってる光希も可愛かったから」
なんか甘ーい。
まさに恋人同士の朝って感じ。
まさかこういうの、俺がされる側になるとは……。
真っ直ぐに俺を見つめてくる東條の瞳に不覚にもドキドキしてしまう。
段々と思考が恋愛対応になってきるな、なんて考えていると。
「愛してる」
その言葉とともにもう一度軽く口付けられた。
……ホントに甘い。
でも。
いつも強引に快感を引き摺り出されるようなキスばかりされていたせいなのか、戯れのようなキスにちょっとだけ物足りなさを感じてしまう。
今日は爛れた時間にしたくないって思ってた筈なのに、いざこういうシチュエーションになったらそれも不満だなんて我ながら自分勝手だなとは思うけど。
そんな俺の気持ちを察してくれたのか、上半身裸の東條が俺に覆い被さり、角度を変えて何度も触れるだけのキスを落としてきた。
その唇を舌先でチロリと舐めると、唇を軽く食まれる。
薄く開いた唇からすかさず東條の滑らかな舌が入り込み、俺の舌を絡め取っていく。舌の動きだけで口腔内の弱いところを全てを探り当てられれば、もっと東條から与えられる感触が欲しくて堪らなくなった。
相変わらず東條のキスは心も身体も蕩けそうなくらいに気持ちいい。
ふわふわとした高揚感と、身体の奥から沸き上がってくる疼くような熱に煽られ力が抜けてしまった俺は、自然と東條の広い背中に手を回し、まるで自分からキスをねだるかのようにしがみついていた。
「光希」
甘いトーンで名前を呼ばれ視線を上げる。
「どうして欲しい? まったりする?」
どうやら東條はこんな場面でも誕生日である俺の意向に応えてくれる気でいるらしい。
相変わらず性格悪ぃな……。
俺は余裕の東條が憎たらしくなり、つい乗らなくていい挑発にのってしまっていた。
「やろうぜ。まったりしたセックス。先生なら出来るでしょ?」
「──光希の望みならどんな事でも叶えてやれる自信はあるけど?」
自信満々と言った感じの東條に、俺は噛みつくようなキスを仕掛けてやった。
東條の部屋のリビングで映画鑑賞をしている最中。
スゴく座り心地のいいソファーでまったり寛ぎながら眠気に襲われていた俺は、隣に座っていた東條に耳許でそう囁かれたことで少しだけ意識が浮上した。
時刻は午前0時。
日付が変わるのと同時にお祝いの言葉を掛けられたらしいことに気付き、寝ぼけ眼のまま隣にいる東條のほうに顔を向ける。
「……ありがと」
ぼんやりとしながら反射的に答えると、そんな俺がおかしかったのか東條がクスリと笑った。
いつもの俺ならここで負けず嫌いというか、意地っぱりの虫が顔を出したりするのだが、今日の俺はまったりモードのせいなのか、不思議と東條に対する対抗心のような気持ちがわいてこないどころか、まったり過ぎて眠気には勝てず、再び目が閉じそうになっていた。
せっかくのお泊まりデートなのにこれで良いわけないのはわかってる。
でもさ。このソファー、滅茶苦茶気持ちいいんだよ……。
「光希」
名前を呼ばれ、なんとか目を開けようと頑張ってみたもののどうにもならず、俺の意識は段々と夢の世界へと突き進んでいく。
「寝るならベッドに行くか?」
「ん……」
「自分で歩けるか?」
「……ん」
微かに残った意識の中で移動しなきゃな、と思ったとこまではなんとか覚えてる。
でもかろうじて意識を保っていられたのはここまで。
不覚にも俺は東條が隣にいる状態で、そのまま眠りについてしまったのだった。
◇◆◇◆
えらく寝心地がいいベッドだなぁ、なんてのんびり考えながら寝返りをうつ。しかし手に当たった明らかに人肌だと思われる感触に俺は一気に覚醒した。
パッチリと目を覚ますと、全く見覚えのない部屋の様子が目に飛び込んでくる。
俺は一瞬自分が誰と一緒にどこにいるのか認識出来ずに超焦った。
「……どうした?」
気怠げなバリトンボイスがすぐ側から聞こえてくる。それと同時に背中側から腕を回され、身体がピッタリと密着する。
聞き覚えのある声に恐る恐る身体を反転させると。
「おはよう」
そこには見慣れてる筈なのにいつもとはちょっと違うように感じられる東條の、嫌味なくらい整った顔があった。
「……おはようございます」
動揺を押し隠して挨拶する。
そしてここが東條の部屋の寝室にあるベッドの上だということに気付いた俺は、かろうじて昨夜のやり取りを思い出し大いに反省した。
まさかの寝落ち……。しかも自分でここに来た記憶がないってことは東條が運んでくれたんだよな?
日付が変わった直後に東條がおめでとうって言ってくれて、一回目を覚ましたのは覚えてる。
そっからベッドにいかなきゃな~って思ったとこまではうっすら記憶にあるんだけど。
しかも俺の失態はそれだけじゃない。
一応お泊まりデートなのにエッチなしって、どうなの!?
そりゃ爛れた時間にならないようにとは思ってたけど、全然なしとかオッケーなわけ?
泊まりでセックスしないデートとか今までしたことないからわからない。
普通がわかんないとかって、俺ってホントろくな事してこなかったってことだよな……。
そりゃ『顔だけ王子』とか呼ばれる筈だ。
かつての自分のクズぶりまで思い出し、遠い目になった。
そんな事を考えている俺を東條はじっと見つめている。
うぅ……。気まずい。
「……あのさ、昨夜はごめん。その、先に寝ちゃって」
おずおずと視線を合わせて謝ると、東條は俺の唇にチュッと音をたててキスをしてきた。
「気にするな。眠たがってる光希も可愛かったから」
なんか甘ーい。
まさに恋人同士の朝って感じ。
まさかこういうの、俺がされる側になるとは……。
真っ直ぐに俺を見つめてくる東條の瞳に不覚にもドキドキしてしまう。
段々と思考が恋愛対応になってきるな、なんて考えていると。
「愛してる」
その言葉とともにもう一度軽く口付けられた。
……ホントに甘い。
でも。
いつも強引に快感を引き摺り出されるようなキスばかりされていたせいなのか、戯れのようなキスにちょっとだけ物足りなさを感じてしまう。
今日は爛れた時間にしたくないって思ってた筈なのに、いざこういうシチュエーションになったらそれも不満だなんて我ながら自分勝手だなとは思うけど。
そんな俺の気持ちを察してくれたのか、上半身裸の東條が俺に覆い被さり、角度を変えて何度も触れるだけのキスを落としてきた。
その唇を舌先でチロリと舐めると、唇を軽く食まれる。
薄く開いた唇からすかさず東條の滑らかな舌が入り込み、俺の舌を絡め取っていく。舌の動きだけで口腔内の弱いところを全てを探り当てられれば、もっと東條から与えられる感触が欲しくて堪らなくなった。
相変わらず東條のキスは心も身体も蕩けそうなくらいに気持ちいい。
ふわふわとした高揚感と、身体の奥から沸き上がってくる疼くような熱に煽られ力が抜けてしまった俺は、自然と東條の広い背中に手を回し、まるで自分からキスをねだるかのようにしがみついていた。
「光希」
甘いトーンで名前を呼ばれ視線を上げる。
「どうして欲しい? まったりする?」
どうやら東條はこんな場面でも誕生日である俺の意向に応えてくれる気でいるらしい。
相変わらず性格悪ぃな……。
俺は余裕の東條が憎たらしくなり、つい乗らなくていい挑発にのってしまっていた。
「やろうぜ。まったりしたセックス。先生なら出来るでしょ?」
「──光希の望みならどんな事でも叶えてやれる自信はあるけど?」
自信満々と言った感じの東條に、俺は噛みつくようなキスを仕掛けてやった。
0
お気に入りに追加
1,673
あなたにおすすめの小説
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
全寮制男子高校生活~行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた~
雨雪
BL
スイマセン、腐男子要素どこいった状態になりそうだったんでタイトル変えました。
元、腐男子が王道学園に入学してみた。腐男子設定は生きてますがあんま出てこないかもです。
書いてみたいと思ったから書いてみただけのお話。駄文です。
自分が平凡だと本気で思っている非凡の腐男子の全寮制男子校での話。
基本思いつきなんでよくわかんなくなります。
ストーリー繋がんなくなったりするかもです。
1話1話短いです。
18禁要素出す気ないです。書けないです。
出てもキスくらいかなぁ
*改稿終わって再投稿も終わったのでとりあえず完結です~
俺が総受けって何かの間違いですよね?
彩ノ華
BL
生まれた時から体が弱く病院生活を送っていた俺。
17歳で死んだ俺だが女神様のおかげで男同志が恋愛をするのが普通だという世界に転生した。
ここで俺は青春と愛情を感じてみたい!
ひっそりと平和な日常を送ります。
待って!俺ってモブだよね…??
女神様が言ってた話では…
このゲームってヒロインが総受けにされるんでしょっ!?
俺ヒロインじゃないから!ヒロインあっちだよ!俺モブだから…!!
平和に日常を過ごさせて〜〜〜!!!(泣)
女神様…俺が総受けって何かの間違いですよね?
モブ(無自覚ヒロイン)がみんなから総愛されるお話です。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる