27 / 50
27.接近⑥
しおりを挟む
瑠衣と屋上で深いキスをしてからというもの。
俺の中で瑠衣への気持ちが益々大きくなった気がする。
学校では出来るだけ一緒にいたいと思うし、離れている時間はつい瑠衣の事を考えてしまう。
部活の最中はさすがに集中してるけど、家に帰ってひとりになると瑠衣に会いたくて堪らなくなる。
せめて声が聞ければと思うけど、元々口下手で電話が苦手だという瑠衣に無理強いは出来ず、メッセージアプリのメール機能だけで連絡を取り合うことになった。
大抵は俺が一方的に他愛もない事を送るだけだし、瑠衣の方から送られてくることはない。
でも、俺の送った内容に既読がついて返事が返ってくるだけでも瑠衣と繋がっていることを実感できて嬉しくなってしまい、つい頻繁にメッセージを送ってしまっていた。
瑠衣の存在を知る前までの俺は、用事もないのに電話で喋りたがったり、どうでもいい内容のメッセージをしょっちゅう送ってくる彼女達の気持ちがさっぱりわからず、その相手をする事を物凄く面倒に感じていたものだ。
だからそれを自分がやる側になるなんて、考えたこともなかったのに……。
恋をすると人は変わるっていう言葉のとおり、瑠衣を好きになった今、俺は図らずも彼女達の気持ちが理解できるようになっていた。
好きだから一緒にいたいし、些細なことでも相手の事が知りたい。ほんの少しでも顔が見られたら嬉しいし、声が聞ければいいなと思う。
たとえ下らない話であっても共有したいし共感したい。何よりかまって欲しいからついメッセージを送ってしまう。
自分の気持ちも伝えられてないくせに彼氏ヅラすんのもどうかと思うけど、付き合うっていうのは、デートするとかセックスするっていうだけの関係じゃなく、そういうちょっとしたことの積み重ねもすごく大事で幸せな時間なんだって思い知らされた。
瑠衣から告白されてからそろそろ一ヶ月。
俺の生活はバスケを除けば瑠衣一色と言っても過言じゃない感じになってきている。
──だからこそ気になっていることがあった。
瑠衣は徹底して自分の事を話そうとはしない。
俺が瑠衣のことで知ってることと言ったら、学校で一緒にいる間にあった事だけ。
それとなく話を振ってみても上手くはぐらかされ、家でのことも自分の好きなことも食べ物の好みの事でさえもハッキリとした答えを返さない。
それがまるでこれ以上は入ってくるなとばかりに見えない線引きをされているようで、酷くさみしい気持ちにさせられる。
たぶん瑠衣がそういう態度を取るのは、俺が自分の気持ちをちゃんと伝えないせいで不安にさせてるのが原因だとは思う。
だいぶ自惚れてる考え方だけど、実際に付き合ってみたらがっかりしたとか、嫌いになったというパターンなら、メールのやり取りの他に、学校でも話をして、昼休みを一緒に過ごして、友達同士じゃ絶対にしないような深いキスをするなんて真似を許してくれる筈がない。
俺は頭の片隅に過った不安を払拭するように自分にそう言い聞かせ、瑠衣の気持ちを少しでも感じ取ろうと必死になった。
◇◆◇◆
《おつかれー》
《今日の部活めっちゃハードだった》
《でも》
《明日の部活は午前だけになった!》
《午後から会おうよ》
週末の夜。部活が終わって家に帰ってから瑠衣に送ったメッセージ。
すぐについた既読と、送られてきたOKのスタンプにテンションがあがる。
明日はゆっくり瑠衣に会えると思っただけで、ハードな練習で疲れ果てていた身体に活力が戻った気がした。
《行きたいとこある?》
《今度こそは瑠衣の行きたいとこで》
少しでも瑠衣が自分の希望を言ってくれたら嬉しい。
そんな思いで尋ねると。
《服買いに行きたいかも》
一生懸命考えてくれたらしい瑠衣から、そんな返事が返ってきた。
俺はすぐに行き先と明日の段取りを考えて文字を打ち込む。
《じゃあ》
《新しく出来たショッピングモールに行くってことで》
《そこの駅で待ち合わせでい?》
再び送られてきたOKのスタンプ。
素っ気ない返事だけど、それが瑠衣との約束を確定させている証拠だと思うと嬉しくて、ついいつまでもそれを眺めてしまっていた。
今までの俺では考えられない行動に、自嘲の笑みが浮かぶ。
賭けの期限まであと少し。
中田達への対応をどうするか何も決まらないまま、俺は瑠衣への想いを加速させていた。
俺の中で瑠衣への気持ちが益々大きくなった気がする。
学校では出来るだけ一緒にいたいと思うし、離れている時間はつい瑠衣の事を考えてしまう。
部活の最中はさすがに集中してるけど、家に帰ってひとりになると瑠衣に会いたくて堪らなくなる。
せめて声が聞ければと思うけど、元々口下手で電話が苦手だという瑠衣に無理強いは出来ず、メッセージアプリのメール機能だけで連絡を取り合うことになった。
大抵は俺が一方的に他愛もない事を送るだけだし、瑠衣の方から送られてくることはない。
でも、俺の送った内容に既読がついて返事が返ってくるだけでも瑠衣と繋がっていることを実感できて嬉しくなってしまい、つい頻繁にメッセージを送ってしまっていた。
瑠衣の存在を知る前までの俺は、用事もないのに電話で喋りたがったり、どうでもいい内容のメッセージをしょっちゅう送ってくる彼女達の気持ちがさっぱりわからず、その相手をする事を物凄く面倒に感じていたものだ。
だからそれを自分がやる側になるなんて、考えたこともなかったのに……。
恋をすると人は変わるっていう言葉のとおり、瑠衣を好きになった今、俺は図らずも彼女達の気持ちが理解できるようになっていた。
好きだから一緒にいたいし、些細なことでも相手の事が知りたい。ほんの少しでも顔が見られたら嬉しいし、声が聞ければいいなと思う。
たとえ下らない話であっても共有したいし共感したい。何よりかまって欲しいからついメッセージを送ってしまう。
自分の気持ちも伝えられてないくせに彼氏ヅラすんのもどうかと思うけど、付き合うっていうのは、デートするとかセックスするっていうだけの関係じゃなく、そういうちょっとしたことの積み重ねもすごく大事で幸せな時間なんだって思い知らされた。
瑠衣から告白されてからそろそろ一ヶ月。
俺の生活はバスケを除けば瑠衣一色と言っても過言じゃない感じになってきている。
──だからこそ気になっていることがあった。
瑠衣は徹底して自分の事を話そうとはしない。
俺が瑠衣のことで知ってることと言ったら、学校で一緒にいる間にあった事だけ。
それとなく話を振ってみても上手くはぐらかされ、家でのことも自分の好きなことも食べ物の好みの事でさえもハッキリとした答えを返さない。
それがまるでこれ以上は入ってくるなとばかりに見えない線引きをされているようで、酷くさみしい気持ちにさせられる。
たぶん瑠衣がそういう態度を取るのは、俺が自分の気持ちをちゃんと伝えないせいで不安にさせてるのが原因だとは思う。
だいぶ自惚れてる考え方だけど、実際に付き合ってみたらがっかりしたとか、嫌いになったというパターンなら、メールのやり取りの他に、学校でも話をして、昼休みを一緒に過ごして、友達同士じゃ絶対にしないような深いキスをするなんて真似を許してくれる筈がない。
俺は頭の片隅に過った不安を払拭するように自分にそう言い聞かせ、瑠衣の気持ちを少しでも感じ取ろうと必死になった。
◇◆◇◆
《おつかれー》
《今日の部活めっちゃハードだった》
《でも》
《明日の部活は午前だけになった!》
《午後から会おうよ》
週末の夜。部活が終わって家に帰ってから瑠衣に送ったメッセージ。
すぐについた既読と、送られてきたOKのスタンプにテンションがあがる。
明日はゆっくり瑠衣に会えると思っただけで、ハードな練習で疲れ果てていた身体に活力が戻った気がした。
《行きたいとこある?》
《今度こそは瑠衣の行きたいとこで》
少しでも瑠衣が自分の希望を言ってくれたら嬉しい。
そんな思いで尋ねると。
《服買いに行きたいかも》
一生懸命考えてくれたらしい瑠衣から、そんな返事が返ってきた。
俺はすぐに行き先と明日の段取りを考えて文字を打ち込む。
《じゃあ》
《新しく出来たショッピングモールに行くってことで》
《そこの駅で待ち合わせでい?》
再び送られてきたOKのスタンプ。
素っ気ない返事だけど、それが瑠衣との約束を確定させている証拠だと思うと嬉しくて、ついいつまでもそれを眺めてしまっていた。
今までの俺では考えられない行動に、自嘲の笑みが浮かぶ。
賭けの期限まであと少し。
中田達への対応をどうするか何も決まらないまま、俺は瑠衣への想いを加速させていた。
11
お気に入りに追加
397
あなたにおすすめの小説

小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口な平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる