告白ごっこ

みなみ ゆうき

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2.アイツとの関係

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こんな真似をしておいてなんだが、俺はべつに高崎のことが本気で好きなわけじゃない。
むしろ積極的に関わりあいになりたくないとすら思っていて、好きか嫌いかと言われると間違いなく後者寄り。

二年になってから同じクラスになったものの、九月をいくらか過ぎた今日この日まで満足に喋ったこともなかったくらいだ。


高崎とは名簿順が一番違いということもあり、何かとペアを組まされることが多いのだが、実際に二人で何かをした覚えはなく、先生に雑用を頼まれた時や、俺と一緒の日直の時でさえもサボるのが当然とばかりに何もせず俺に丸投げ状態で、俺も俺でわざわざアイツに声を掛けるのも面倒だったため、あえて何も言わなかった。


校内だけでなく他校でも有名になるほどのイケメンぶりを発揮する高崎と、目立つ事を嫌い、ろくにクラスメートとも交流を持たずに常にひとりで過ごす俺。

そんな所謂ヒエラルキーの頂点と最下層にいる人間とが同列に扱われるはずがなく、周りは何もしない高崎を責めるどころか、俺がやるのが当たり前、むしろ好きでやっているのだとすら思っているようだった。

俺は雑用を好きでやるようなお人好しな人間じゃない。

でもアイツと接点を持ってまで決められた仕事をやってもらいたいと思うほど、アイツと関わろうとも思わない。

そんな状態なのに、実はアイツに対して好感を持っているなんてこともない。

ここまで都合よく自分を扱ってくる相手を好きになるような人間は、よっぽど頭がおめでたいヤツか、Mっ気の強い人間だけだろう。俺はどちらでもないと断言しておく。


これが今までの俺と高崎との関係性。


そんな俺が高崎に告白したのには、当然のことながら訳がある。



◇◆◇◆



一週間前の昼休み。

俺はいつもどおり独りきりで静かに過ごすため、いつもの場所へと向かっていた。

そこはすっかり昼休みの俺の定位置と化した特別棟の階段の踊り場。屋上へと繋がるその場所は基本立ち入り禁止のため、誰も来ることはないという穴場中の穴場だ。
この高校に入学してすぐにこの場所を見つけてからずっと通っているが、教室のある本館からは少し離れているせいか、この特別棟自体あまり使われない教室が多いせいか、未だに誰かと遭遇したことはない。

俺の学校生活において、この場所で過ごす昼休みが唯一心安らげる時間だったのだが。


この日の俺は、十六年という俺の短い人生の中でも確実に上位にくると断言出来るくらいにイラついていて。
自分を取り巻く全ての物が煩わしく感じるくせに、どうしようもないほどの消失感と焦燥感が絶えず内側から沸いてきて、なんだか妙に泣きたくなるという訳のわからないアンバランスな感情に振り回され、グダグダだった。

せっかく独りになれる場所に来ているというのに、少しも気分が晴れることはなく、苛々は増すばかり。
いつもならここでスマホ片手に昼食を摂りながら、ゲームをしたり本を読んだりと、その日の気分でやりたい事をやっているのだが、俺をこんな気分にさせる原因となったメッセージを前日に受信したスマホにはさすがに触る気にもなれず、ささくれだった気持ちを抱えながらゴロリと床に横たわり、ただ薄汚れた天井を睨み付けていることしか出来なかった。


しかし、そんな俺の気持ちを逆撫でするかのように、更に最悪だとしか言い様のない事態が訪れる。
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