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学園まで(ちょっと寄り道)

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襲われている荷馬車を助けることになったのだけれど…

「なんで私の意見を聞かないのかしら?!この2人は!」

猛スピードで目的地へ進む馬車の中。エリザベス嬢は怒り心頭みたい。

「ならば、エリザベス嬢は見捨てるとおっしゃる?」

「そ、そんなわけないでしょう?!私だって
カーベニオンの橋系、セドニオ家の娘として弱きを助ける義務があるわ!」

「ではこのまま向かいましょう」

「作戦とかなんか無いの?!」

「エリー、分かってないな」

ずっと黙っていた坊ちゃんが不敵に笑う。


「レナに作戦なんて到底無縁な話なんだよ」

はいいい?それ、坊ちゃんが言いますう??一度痛い目に合わせないとダメだろうか、この僕ちゃんは?!まあでも。

「では私が先見として行って参ります」

私は走っている馬車の扉を開けると、するりと屋根へと移動する。
木に隠れて見えづらいけれど、確かに小競り合いをしている。

んー駆け込んでみるか?

「レナ、良いよ。僕がやるよ」

下から声がしたと思ったら、坊ちゃんが馬車の窓から顔出した。

「は、やるとは」

「魔物はレナのお小遣いだから遠慮してたけど、ここは僕がやるってこと!」

そう言いながら、坊ちゃんが片腕を窓からひょいと出し上から下へと振り下ろした。

と、同時に襲撃現場に大量の水……の塊が降ったというよりも落ちた。

「坊ちゃん?!」

「なんで?ダメ?」

「襲われてる人とか荷物とかもうちょっと気にして下さい!」

「乾かせば良いかなぁって」

「大雑把!誰に似たんですか?」

「あなたに決まってるでしょーーー!!!」

中からエリザベス嬢の叫びが聞こえたけれど、失礼な!私はもう少し考えてるんだけど?!

そうこうしているうちに目的地へ着き、外にいた盗賊は水圧に押されたのか、伸びている。後はそこかしこに護衛らしき人が倒れており、荷馬車の中には震えている女性と子供達がいた。

「あの魔法、屋根は避けたんですか?凄いですね」

「たまたまだよ、たまたま」

どうにも計算してやったような気もするけど、そこは目を瞑って差し上げよう。こんなのはお手のものだろうし。

護衛にはエリザベス嬢を任せて、私は現場を見回っていく。勿論、逃げないように盗賊の脚を折るのも忘れない。

荷馬車は馬が逃げて傾いているだけで、壊れてないのが幸いだ。

「さてと、周りは完全に鎮圧しましたね。そろそろ中から出て貰いましょうか」

状況把握の為に、女性と子供達を呼び出す。
腕を縄で縛られて、これって完璧に……

「人身売買…でしょうか」

「…っそうです。突然捕まってっ」

「全く。こうゆう輩は切っても切ってもアクのように出てくるんですよ。けどもう大丈夫です。私達が安全に警邏隊へ送り届けます」

「お姉さんありがとう!」

「凄く恐かったよぅ」  

「………」 

「ふむ」

フードを深く被ったこの子。
一言も喋らないけど大丈夫かな?
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