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坊ちゃんのご家族

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髭ジョリジョリの刑が1番精神ダメージを負うらしい坊ちゃん。
テンションの上がった御館様の愛のジョリジョリを受けて魂がどこかへ飛んでしまったらしい。

ミリアに手を引かれとぼとぼと執務室を後にし、私は御館様へ留まるよう促されたのでその後姿を見送った。
実質お叱りなんてほぼないが、ジョリジョリがいい薬になるので私は告げ口をやめないと決めている。

扉が閉まると、御館様も席へと戻りゲンド◯ポーズで私を睨む。

「もう抑えておくのは無理だ。やはり新しい先生を付けるしかないだろう」

「私より強い先生であれば問題ないかと」

「レナ。そもそも厳しいとは思わないのか?お前より強い魔法士など王族お抱えのナンバー入りしかいないではないか」

「野良でも良いと思うんですけどねぇ……」

「野良で最強がよく言う……」

ナンバーとは3年に1度開かれる武術大会での結果で決められる。高い位になれば王族のお抱えとなり、将来安泰の職に付ける。

しかし魔法士は魔法馬鹿も多いので、大会に出ずふらふらしているような野良と呼ばれる私のような者もいる。私は侯爵家に拾われて将来安泰の地位にいると思ったけれど、それも最近危うい。

「だってあんなお色気振り撒く情操教育に不似合いな者、必要ございません」

「情操とかまた小難しいことを……」

だって1度評判の良い先生とやらをお招きしたら、ローブの下はビキニという変態教師が来たんだもの。
そこは流石無双主人公。やたら艶めかしい美女が出るわ出るわ。まあ、教育に相応しくないから追い出したんだけど。

「こうなれば少し早いが学園に入れるか……」

「学園ですか……」

出た、魔法学園!正直面倒……

「確かにお前は頼りになるが、こうも先生が定着しないとなると先行きが不安でな」

「だって私より弱いんですもん……」

そう言って私はそっぽを向く。
あんな防御力低い格好して戦闘魔法を教えるなんて片腹痛いじゃない??

「しかし、お前も教えを乞わねばならぬ立場だろう。カトリーヌから行儀見習い程度の教えは受けていても、まだまだ足りない」

「おっしゃる通りでございます」

カトリーヌ様は御館様の奥様。私は恐れながら侯爵夫人自ら淑女としての作法等を習っている。
カトリーヌ様は金色の髪が美しく、優しく、清廉で

「カトリーヌのこととなるとトリップするのはやめろ」

おっと、ついつい。

「兎に角。学園に入れるのは決定だ。お前も付き添って入学して貰う。飛び級出来そうなら飛び級して卒業しても構わん」

「……坊ちゃんなら1年で飛び級しそうですね、私も精進します」

「……目に浮かぶようだがとりあえず学園生活を楽しく過ごせるようにサポートしてくれ」

「承知しました」

学園の費用出して貰って通えるならラッキーかな?
今後の職探しの為に頑張ろう!

ほくほくしながら、私は執務室を後にした。





坊ちゃんの部屋へ向かうと、反対側から背の高い金髪の少年がこちらへ向かって来る。
あれは、侯爵家嫡男のエイル様ね。

「やあレナ。またテオンがやらかしたって?」

「エイル様。はい。やらかしましたね…しかし今回はどこにも被害はございません」

「レナが付いてるから心配してないよ。いつもご苦労様」

「勿体ないお言葉。ありがとうございます」

「じゃあ僕は父上に呼ばれてるから」

「はい。失礼いたします」

頭を下げると、エイル様は執務室へと向かっていった。
規格外な弟に腐ることなく立派に育ったエイル様。どこまでも温かい侯爵家に、流石主人公のご家族だとつくづく思う。

私も俺最強の主人公になりたかったなぁ。なんてね。


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