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28、繋ぐ手の良いのと悪いのと
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湖は既に多くの人で賑わっていた。
草原に入る入り口には柵が設けられ、馬車停めも乗り合い馬車や、箱馬車がひしめき合っている。そんな中、何とか空いている場所へ乗っている馬車を停めて貰い、私達は馬車から降りた。
私達の乗って来た貸し馬車は明日も予約してあるので、御者にはこれから自由な時間を過ごして貰う。
やっと馬車を降りられたエドは、早速回復薬と吐き気止めを飲んでいた。少し足元がふらついている。帰りを考えると、今日はゆっくり寝て欲しいところだ。
「随分と賑わっているな」
フェリクス様は人混みに驚いているのか、興味深げに柵の先を眺めている。しかしその顔は、認識阻害の魔道具であるあの眼鏡を掛けていて、喜んでいるのかは分からない。
どうやら、無表情に設定しているらしく、表情の変化が頭に入って来ないのだ。勿論、金の瞳が分からない為の措置だ。
言葉通り確かに草原の前から中の方まで沢山の人が賑わっている。どうやら湖開きは昨日からだった様で、出遅れたと気付いた私とマキナは目配せをして、溜め息を吐いた。
きっと昨日は小舟も沢山出ただろうし、湖畔を散歩していた者も多いだろう。角の価値を知っている者が居たのなら、回収されていてもおかしくはない。そうでなくとも、記念に拾う人も居るだろう。
一縷の望みに掛けて、とりあえず私達は今夜泊まるゲルの予約を入れる事にした。
流石の人出に入り口近くの屋台が多い便利な場所はどれも満杯で、私達は湖の奥側の少し賑やかさからは離れた場所の貸し出し場に予約を入れる事になった。
「ゲル一つで、毛布を四枚。まだ寒いかな? 敷物何敷いてる? 」
慣れた感じで予約を入れて行くマキナに感謝して、私達は今夜泊まるゲルを見に行った。
鮮やかな色彩の織物が敷かれたゲルは、入って左側が男性の居住、右側が女性の居住と決まっていて、真ん中に竃が設置されている。今日はこれで、屋台から購入した食べ物を温めたりする予定だ。夜寒ければ、暖も取れる。
「待て。まさか男女共に寝るのか? 」
いそいそと寝る為の羊の毛皮の上に毛布を用意している私達に、フェリクス様は酷く驚いた様子で訪ねて来た。勿論、この混雑で二つもゲルを借りたら顰蹙ものなので、そんな事は出来ない。
「あー……ルーセント様には有り得ない状況だと思いますが、俺達雑魚寝は慣れっこで」
「そうそう、魔物増加の折りは徹夜で薬作ったりしますから」
「騎士達も日を跨ぐ見回りでは雑魚寝が当たり前の様ですし、砦勤務では雑魚寝は慣れておいて損は無いですよ? 」
エド、マキナ、私ににっこりと鉄壁の笑顔を向けられ(エドは笑ってないけど)、彼はその後の言葉を飲み込んでくれた。そうして準備も終え、次の行動を考える。
「どうしようか、湖を散策する? 」
「この混み具合だ、屋台で飯買っといた方が良いんじゃねーの? 」
マキナとエドの言葉に頷いて、私達は屋台に買い出しに行く事にした。屋台の区画はどれも長蛇の列になっていて、買うのに苦労しそうだ。
「アルバーグ名物焼き飯と湖魚の塩焼きは外せないだろ」
「後は野菜も食べたい所ね。スープ売ってる屋台ってどの辺かな? 」
探すにしても、四人で歩くには狭く、屋台も多い。
「どうしようか、二手に分かれて買って来る? 」
「じゃあ、俺とマキナは何だっけ? スープ? と、何か肉買ってくから、焼き飯と焼き魚はそっちで宜しく」
「あ! 焼き飯はとっても熱いからこの布持って行ってね! 」
私はマキナから布を受け取ると、二人は人の間をするすると避けながら、奥へと行ってしまった。
「焼き飯と焼き魚ですね。私達も参りましょう」
私とフェリクス様も、人の溢れる列の間をすり抜ける。直ぐに焼き魚の屋台は見つけた。けれど、何軒かあるのでどれが良いのかが分からない。
「屋台の数も多いので、どれが美味しいのか……」
「あの屋台はどうだ? 列が物凄いが、美味いということではないのか? 」
フェリクス様が指を指した方向には、二十人程並んでいる焼き魚の屋台があった。
「確かに、人が沢山居た方が美味しそうに見えますが、凄い行列ですね」
「しかし、並ばねば買えないのだし、大人しく並ぶ他あるまい」
私達は列の最後尾に並ぶ事にした。しかし、焼き魚は結構時間が掛かるものだ。列も全く動かない。焼き飯の屋台を見つけて買うには、まだ時間が掛かるしその内に売り切れてしまいそうだ。
私は持っていた財布から幾ばくかのお金をフェリクス様に手渡した。
「焼き飯の屋台を探して買いに行って参ります。これじゃ、待っていたら他が売り切れてしまいそうですから。焼き魚四本、お願いしますね? 」
「待て、 一人で行くつもりか?! 」
「大丈夫ですよ、フェリクス様も何事も経験しない事には」
「一人になるのを焦っている訳ではない! お前が一人になるのが問題だと言っている」
「大丈夫ですよ、布を持ってますし。行って参りますね? 」
「せめて気配を消して行け! 」
フェリクス様の懸念も最もだと思う。こういった場所はスリも多い。けれど、気配を消してしまうと、人にどんどんぶつかられてしまうので、考えものだ。
私は人混みを掻き分けて、更に悪へ進んで行く。まだ後ろでフェリクス様が何か言っている様な気がしたが、屋台探しに夢中でしっかりと聞いていなかった。
焼き魚の屋台から離れ、暫くうろうろすると焼き飯の屋台を見つけた。
焼き飯も焼き豚入りや、野菜たっぷりのものもあって迷う。どうしようかと思っていると、突然肩を叩かれた。
マキナとエドがもう買い終えたのかと後ろを振り返ると、そこには全く知らない男性が立っている。
「あの、何か? 」
「お姉さん一人? 一緒に飯食わない? 奢るよー? 」
「いえ、連れが待ってますので。これで」
やっぱりアルバーグ名物瓜入り焼き飯にしよう。こういうのは名物を食べて雰囲気を味わうのも大事だ。そう思って、瓜入り焼き飯の方へ行こうと足を踏み出すと、今度は腕を取られた。その瞬間、ぞわっと毛が逆立って、私は男の顔を睨みつけた。
「連れって女の子? 女の子だけじゃこんなに人が居る所なんて危ないって。帰るまで護衛してあげようか? 」
「生憎と待ち合わせ相手は男性ですから。護衛も必要としておりません」
寧ろ、過剰防衛で相手の息の根を心配しないといけない方と一緒なのだ。護衛なんて余りある。
「えっ! 女の子に買い出しに行かせるとか、酷い男もいるもんだね?! そいつより絶対俺と一緒に居た方が良いよ」
寧ろ私から買い出しに出て来たのだけれど……そうか、こういう場所で女性の一人歩きは良くないらしい。次からは気をつけよう。
「兎に角、私は貴方を必要としておりませんからお構いなく。腕を離して下さい」
「きっと君はそいつがどんなに酷い奴か気付いてないんだよ。普通、女性に一人で屋台に買い出しさせる男なんて居ないよ。心配だし、俺と一緒に居た方が良いよ! 」
話が通じない。そして掴まれた腕が気持ち悪い。そもそも、私にとって危ないのは目の前の貴方だと言って良いのだろうか? これはあれか? まだ練習中の蔦でぐるぐる巻きとかにしてやった方が良いのだろうか? けれど、こんなに人が居る所で魔法を使うなんて……。
どうしたものかと考えていると、掴まれていた方の手が思い切り引っ張られ、その拍子に男の手が離れた。
「やっと見つけた。だから一人で行くなと言っただろう?! 怪我は? 変な事はされていないか?! 」
私の目の前にフェリクス様が居る。
「え? あの、大丈夫です。フェリクス様、お魚は……? 」
「そんな事を気にしている場合か。おい、そこの。連れが何か粗相でも? 」
フェリクス様の声は地を這う様に低くて、男に対して言った言葉で、私まで背筋に冷たいものが走る。
「は?! いえ、一人でお困りの様だったので、助けてあげようとっ」
「ですから、私は全く困っていないし、貴方の手助けなど無用です」
「……だそうだが? まだ何かあるか? 」
フェリクス様が忌々しげに言い放つと、男は足早に私達の前から去って行った。
「……何だったのでしょう」
「何だも何も、世に言うナンパだ。だから気配を消せと言ったのに」
「ナンパ……フェリクス様以外にされたのは初めてです」
「おい。俺がいつナンパをした」
「出会って始めに、何処かで会ったか? って聞いてたじゃないですか。ナンパの常套句かと思いました」
「……あー……そうだったか? 」
成る程、フェリクス様は天然のナンパ師か。
「……おい、今絶対失礼な事を考えただろう? 」
「いいえ、思ってません。それより、焼き飯を買ってしまいましょう。瓜入りが名物らしいですよ? 」
『瓜入り……美味いのか? 』と懸念を抱えているフェリクス様。その手は先程からずっと私の手首を取っている。
「あの、フェリクス様。もう大丈夫ですから、手を……」
「こんな所でほいほいナンパに引っかかる者を野放しにしておけるか。一歩歩く度に捕まりそうだ。瓜入りはあそこの屋台だな? 次は焼き魚も買いに行く。この金も返すぞ。手持ちぐらいある」
「ご迷惑をお掛けしてすみません……」
私はフェリクス様に引かれるまま、屋台を目指して歩くのだった。
草原に入る入り口には柵が設けられ、馬車停めも乗り合い馬車や、箱馬車がひしめき合っている。そんな中、何とか空いている場所へ乗っている馬車を停めて貰い、私達は馬車から降りた。
私達の乗って来た貸し馬車は明日も予約してあるので、御者にはこれから自由な時間を過ごして貰う。
やっと馬車を降りられたエドは、早速回復薬と吐き気止めを飲んでいた。少し足元がふらついている。帰りを考えると、今日はゆっくり寝て欲しいところだ。
「随分と賑わっているな」
フェリクス様は人混みに驚いているのか、興味深げに柵の先を眺めている。しかしその顔は、認識阻害の魔道具であるあの眼鏡を掛けていて、喜んでいるのかは分からない。
どうやら、無表情に設定しているらしく、表情の変化が頭に入って来ないのだ。勿論、金の瞳が分からない為の措置だ。
言葉通り確かに草原の前から中の方まで沢山の人が賑わっている。どうやら湖開きは昨日からだった様で、出遅れたと気付いた私とマキナは目配せをして、溜め息を吐いた。
きっと昨日は小舟も沢山出ただろうし、湖畔を散歩していた者も多いだろう。角の価値を知っている者が居たのなら、回収されていてもおかしくはない。そうでなくとも、記念に拾う人も居るだろう。
一縷の望みに掛けて、とりあえず私達は今夜泊まるゲルの予約を入れる事にした。
流石の人出に入り口近くの屋台が多い便利な場所はどれも満杯で、私達は湖の奥側の少し賑やかさからは離れた場所の貸し出し場に予約を入れる事になった。
「ゲル一つで、毛布を四枚。まだ寒いかな? 敷物何敷いてる? 」
慣れた感じで予約を入れて行くマキナに感謝して、私達は今夜泊まるゲルを見に行った。
鮮やかな色彩の織物が敷かれたゲルは、入って左側が男性の居住、右側が女性の居住と決まっていて、真ん中に竃が設置されている。今日はこれで、屋台から購入した食べ物を温めたりする予定だ。夜寒ければ、暖も取れる。
「待て。まさか男女共に寝るのか? 」
いそいそと寝る為の羊の毛皮の上に毛布を用意している私達に、フェリクス様は酷く驚いた様子で訪ねて来た。勿論、この混雑で二つもゲルを借りたら顰蹙ものなので、そんな事は出来ない。
「あー……ルーセント様には有り得ない状況だと思いますが、俺達雑魚寝は慣れっこで」
「そうそう、魔物増加の折りは徹夜で薬作ったりしますから」
「騎士達も日を跨ぐ見回りでは雑魚寝が当たり前の様ですし、砦勤務では雑魚寝は慣れておいて損は無いですよ? 」
エド、マキナ、私ににっこりと鉄壁の笑顔を向けられ(エドは笑ってないけど)、彼はその後の言葉を飲み込んでくれた。そうして準備も終え、次の行動を考える。
「どうしようか、湖を散策する? 」
「この混み具合だ、屋台で飯買っといた方が良いんじゃねーの? 」
マキナとエドの言葉に頷いて、私達は屋台に買い出しに行く事にした。屋台の区画はどれも長蛇の列になっていて、買うのに苦労しそうだ。
「アルバーグ名物焼き飯と湖魚の塩焼きは外せないだろ」
「後は野菜も食べたい所ね。スープ売ってる屋台ってどの辺かな? 」
探すにしても、四人で歩くには狭く、屋台も多い。
「どうしようか、二手に分かれて買って来る? 」
「じゃあ、俺とマキナは何だっけ? スープ? と、何か肉買ってくから、焼き飯と焼き魚はそっちで宜しく」
「あ! 焼き飯はとっても熱いからこの布持って行ってね! 」
私はマキナから布を受け取ると、二人は人の間をするすると避けながら、奥へと行ってしまった。
「焼き飯と焼き魚ですね。私達も参りましょう」
私とフェリクス様も、人の溢れる列の間をすり抜ける。直ぐに焼き魚の屋台は見つけた。けれど、何軒かあるのでどれが良いのかが分からない。
「屋台の数も多いので、どれが美味しいのか……」
「あの屋台はどうだ? 列が物凄いが、美味いということではないのか? 」
フェリクス様が指を指した方向には、二十人程並んでいる焼き魚の屋台があった。
「確かに、人が沢山居た方が美味しそうに見えますが、凄い行列ですね」
「しかし、並ばねば買えないのだし、大人しく並ぶ他あるまい」
私達は列の最後尾に並ぶ事にした。しかし、焼き魚は結構時間が掛かるものだ。列も全く動かない。焼き飯の屋台を見つけて買うには、まだ時間が掛かるしその内に売り切れてしまいそうだ。
私は持っていた財布から幾ばくかのお金をフェリクス様に手渡した。
「焼き飯の屋台を探して買いに行って参ります。これじゃ、待っていたら他が売り切れてしまいそうですから。焼き魚四本、お願いしますね? 」
「待て、 一人で行くつもりか?! 」
「大丈夫ですよ、フェリクス様も何事も経験しない事には」
「一人になるのを焦っている訳ではない! お前が一人になるのが問題だと言っている」
「大丈夫ですよ、布を持ってますし。行って参りますね? 」
「せめて気配を消して行け! 」
フェリクス様の懸念も最もだと思う。こういった場所はスリも多い。けれど、気配を消してしまうと、人にどんどんぶつかられてしまうので、考えものだ。
私は人混みを掻き分けて、更に悪へ進んで行く。まだ後ろでフェリクス様が何か言っている様な気がしたが、屋台探しに夢中でしっかりと聞いていなかった。
焼き魚の屋台から離れ、暫くうろうろすると焼き飯の屋台を見つけた。
焼き飯も焼き豚入りや、野菜たっぷりのものもあって迷う。どうしようかと思っていると、突然肩を叩かれた。
マキナとエドがもう買い終えたのかと後ろを振り返ると、そこには全く知らない男性が立っている。
「あの、何か? 」
「お姉さん一人? 一緒に飯食わない? 奢るよー? 」
「いえ、連れが待ってますので。これで」
やっぱりアルバーグ名物瓜入り焼き飯にしよう。こういうのは名物を食べて雰囲気を味わうのも大事だ。そう思って、瓜入り焼き飯の方へ行こうと足を踏み出すと、今度は腕を取られた。その瞬間、ぞわっと毛が逆立って、私は男の顔を睨みつけた。
「連れって女の子? 女の子だけじゃこんなに人が居る所なんて危ないって。帰るまで護衛してあげようか? 」
「生憎と待ち合わせ相手は男性ですから。護衛も必要としておりません」
寧ろ、過剰防衛で相手の息の根を心配しないといけない方と一緒なのだ。護衛なんて余りある。
「えっ! 女の子に買い出しに行かせるとか、酷い男もいるもんだね?! そいつより絶対俺と一緒に居た方が良いよ」
寧ろ私から買い出しに出て来たのだけれど……そうか、こういう場所で女性の一人歩きは良くないらしい。次からは気をつけよう。
「兎に角、私は貴方を必要としておりませんからお構いなく。腕を離して下さい」
「きっと君はそいつがどんなに酷い奴か気付いてないんだよ。普通、女性に一人で屋台に買い出しさせる男なんて居ないよ。心配だし、俺と一緒に居た方が良いよ! 」
話が通じない。そして掴まれた腕が気持ち悪い。そもそも、私にとって危ないのは目の前の貴方だと言って良いのだろうか? これはあれか? まだ練習中の蔦でぐるぐる巻きとかにしてやった方が良いのだろうか? けれど、こんなに人が居る所で魔法を使うなんて……。
どうしたものかと考えていると、掴まれていた方の手が思い切り引っ張られ、その拍子に男の手が離れた。
「やっと見つけた。だから一人で行くなと言っただろう?! 怪我は? 変な事はされていないか?! 」
私の目の前にフェリクス様が居る。
「え? あの、大丈夫です。フェリクス様、お魚は……? 」
「そんな事を気にしている場合か。おい、そこの。連れが何か粗相でも? 」
フェリクス様の声は地を這う様に低くて、男に対して言った言葉で、私まで背筋に冷たいものが走る。
「は?! いえ、一人でお困りの様だったので、助けてあげようとっ」
「ですから、私は全く困っていないし、貴方の手助けなど無用です」
「……だそうだが? まだ何かあるか? 」
フェリクス様が忌々しげに言い放つと、男は足早に私達の前から去って行った。
「……何だったのでしょう」
「何だも何も、世に言うナンパだ。だから気配を消せと言ったのに」
「ナンパ……フェリクス様以外にされたのは初めてです」
「おい。俺がいつナンパをした」
「出会って始めに、何処かで会ったか? って聞いてたじゃないですか。ナンパの常套句かと思いました」
「……あー……そうだったか? 」
成る程、フェリクス様は天然のナンパ師か。
「……おい、今絶対失礼な事を考えただろう? 」
「いいえ、思ってません。それより、焼き飯を買ってしまいましょう。瓜入りが名物らしいですよ? 」
『瓜入り……美味いのか? 』と懸念を抱えているフェリクス様。その手は先程からずっと私の手首を取っている。
「あの、フェリクス様。もう大丈夫ですから、手を……」
「こんな所でほいほいナンパに引っかかる者を野放しにしておけるか。一歩歩く度に捕まりそうだ。瓜入りはあそこの屋台だな? 次は焼き魚も買いに行く。この金も返すぞ。手持ちぐらいある」
「ご迷惑をお掛けしてすみません……」
私はフェリクス様に引かれるまま、屋台を目指して歩くのだった。
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