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11、種明かし
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気を失った人に水分を飲ませるのはとても大変だ。こういう時、治癒術師達は得意げに回復魔法を掛ける。そんな事がふと浮かんで、自然に眉が寄った。
フェリクス様は氷に手を当てあっという間に消すと、氷付いた男達が崩れ落ちた。そのまま、口元が焦げ付いて倒れている者と一緒に、男二人を蹴飛ばして顔を上に向かせると、口元へと『回復薬』の瓶を突き刺した。
『一口でも喉を通れば良い」
『回復薬』は決して安い物では無い。勿体ないが、これ以上の策も無い。彼の豪快さに、私と副団長は苦笑いを浮かべていた。
その後、捕らえた者達を副団長に任せ、私達は副団長お勧めのカフェに来ていた。
本来なら父に挨拶やら、回復させた狼藉者達を調べなければならない筈なのだが、曰く『マーブルク家が表立って協力している訳では無い』様に見せたいらしい。元々、渡りを付けたのは従者達の身の安全を考慮してなのだが、それ以上負担になるのは避けたいらしく、父にもその旨は手紙にて伝えてあるそうだ。
領主としてはいくら元王族とはいえ面会は欠かせないので、一~二ヶ月後に正式に此方から訪問するそうだ。『その時はリサは里帰りだな』と言われて、出来れば一緒には帰りたくないとは言えずに押し黙った。
「調べも辺境伯邸にいる者が上手くやる。焦る必要はない」
そんなに優秀な従者を何故手放したのか……お陰で私が従者にさせられてしまったではないかと、まだ見ぬ先輩従者を恨んだり。かなり遅くなったお昼ご飯は、会話の途切れない賑やかなものになった。
「そう言えば、フェリクス様は買い物した荷物はどうされたのですか? 」
副団長とは最初に買い物をした服屋で待ち合わせをしていたので、私達はお土産にカフェのサンドイッチを買い、お店へと向かっていた。ふと、フェリクス様が手ぶらなのに気付き、荷物は何処へ行ったのかと不思議に思ったのだ。
「……ああ、それはこれだ」
そう言うと、フェリクス様は腰元に括り尾けてある鞄を軽く叩いた。しかし、それは荷物入れと言うよりは本当に荷物入れかと思う程小型だ。
「え? 結構買ってましたよね。全然入りそうにありませんが……」
「ああ、リサは『空間収納箱』自体が何なのか知らないのだったな。これは……店に着いたら教えてやる」
そう言えばそんな名前の魔道具を開発したと聞いたけれど、いまいちピンと来ていなかった。
服屋に着くと、店主が満面の笑みで私達を迎えると、個室に微調整した服を用意してくれた。こんなに早く仕上げるのなんてきっと大変な筈だが、次へ繋げようというお店の本気度が伺えた。
山と積まれた服を前に、フェリクス様が腰の鞄に手を掛けながら、店主に『ここで見たものは他言無用』と念を押す。
鞄の蓋の留め具を外すと、大きな袋を畳んで収納していたらしく、袋の口を大きく広げた。けれど、どう見ても入りそうにない。しかし、彼は気にせず包装された荷物を一つ一つ袋に詰めると、丁寧に袋を畳み直し、蓋の留め具を閉めた。
全くもって意味が分からない。荷物は何処へ消えたのか。
「ああ、『空間収納箱』なのですね。羨ましい限りです」
と店主が何故か納得していて、これが当たり前として成り立っている事態に、一人だけ騒ぐ事も出来ず、私は押し黙っていた。その内、副団長が迎えに来て、混乱したまま店を出た。
帰りの馬車の中、種明かしをして貰う。
『空間収納箱』とは、『異界に繋がっている箱』なのだと言う。もう意味が分からない。
「開発と言っても、これ自体を作れる訳では無い。私がしたのは迷宮遺跡から時折出る『空間収納箱』を改良する技術を得た、それだけの話だ。今までは収納量に差が有ったり、口の大きさによっては入れられるものとそうでないものがあり、不便だった」
それが、少し空間を広げ、袋や箱の口よりもその空間をほんの少し此方側へ広げた所、口の大きさ関係なく物が収納出来る様になったのだと言う。『空間を広げる』って、そんな事が可能な時点で更に意味が分からない。
「全部は教えられぬが、虹色スライムと黒水晶が鍵なのだ。いや、古代の人々の知恵は恐れ入る」
私はそれを解明する貴方に恐れ入るとは言わなかった。しかも虹色スライムは白スライムよりも遭遇率は低く、生体は勿論不明で、採取出来るのは自然死した死体を探すのみと聞く。ここで王族のコネクションが少しだけ羨ましくなりかけ、彼に悪いと思い直して頭を振る。
振って思い出したのは、今朝の話だった。
「あれ、ならフェリクス様の『空間収納箱』がどれ程の収納力か分かりませんが、全てそれに入れて逃げれた訳ですよね? 」
そう指摘すれば、フェリクス様はにっこりと笑顔を貼り付けてうんともすんとも言わない。
「使わない手は無いのですから、当然そうですよね? ではあれですか? 騙して町へ出ようとしたのですね? 」
私がずいっと前へ乗り出すと、観念したのか彼は大きく息を吐いた。
「そうだ。いや、行きの馬車で名前を出して気付かれるかと思ったのだが、全く知らなくて此方が驚いた。確かに冒険者や大商人、一部の貴族しか手にしておらぬからな、仕方の無い事だろうが」
「素直に残党狩りしたいと言ったら、私が止めると思っての事ですか? 」
「そうだ。マーブルク領に潜んでいる可能性があったからな。念の為だったのだが、無事に対処出来て良かった。リサには怖い思いをさせて悪かったな」
「そちらよりも騙して連れて行かれた方が私としては嫌です。それなら、『残党狩りをしたいから来い! 』と引き摺られて連れて行かれた方が幾分マシです」
私がそう言うと、フェリクス様はぽかんとした様な表情をしたあと、目を閉じてうんうんと頷き始めた。
「ならば、リサは俺が正直に言えば何処でも付いて行くと言いたい訳だな。これこそ従者の鏡。雇う側としてはこんなに嬉しい事は無い」
「いえ! 危険な所は駄目です! というか、研究放っては行きませんよ?! 」
「何、また休みの日に誰か誘って行けば良いだけの事。次の休みが楽しみだな、リサ? 」
「いえ、全く! 」
「引き摺ってでも行く。安心しろ」
「安心という言葉を辞書でお引き下さい! 」
何が楽しいのかフェリクス様はにやにやとまたあの笑顔を浮かべる。子供が悪戯を考えているかの様で、心底落ち着かない。私は今後の自分の不遇さを憂うしかなかった。
砦に着くと、フェリクス様は副団長にお礼として高価な(副団長談)お酒を、その『空間収納箱』から出して渡していた。副団長はとても嬉しそうにしていたので、休みを潰してしまった罪悪感が薄れた。
ご機嫌な副団長に見送られ、私達はお互いの部屋のある区画まで戻って来た。フェリクス様は私の部屋の前で立ち止まると、腰の鞄に触れて、目配せして来る。
「部屋には入らぬから、荷物は戸口で良いか? 」
そう言えば、結局全部の荷物を預かって頂いたと思い、私は扉を開けた。
「ありがとうございます。全部預かって頂いて」
「よい。……今日は疲れただろう。ゆっくり休め」
話しながらもひょいひょいと荷物を取り出して、戸口には荷物の山が出来上がって行く。その端から、私はいそいそと部屋の中央に荷物を移動させた。
「リサ」
「はい? 」
「……一つ忠告だが、こういう場合は扉を閉めて鍵を掛けてから、荷物に手を付けろ」
「あ、はしたなかったですね。申し訳ありません」
「それもあるが、男に部屋を……とにかく、こういう場合は直ぐに鍵を掛けろ。誰が相手でも」
「? 、畏まりました。次からそうします」
確かに客人の目の前で荷物の整理など、配慮に欠けていたかも知れない。フェリクス様は深い溜め息を吐くと、自分の部屋へ帰って行った。
呆れられたかと少し反省しつつ、私は荷物の包みに手を付けた。中から華やかな色の服が顔を出し、自分でも気持ちが浮き立つのが分かった。
クローゼットの扉を開けると、灰色と紺色のワンピースが何故か物凄い暗い雰囲気を出している様に感じて、私は苦笑いしつつ、それらを部屋着入れの引き出しに移動させたのだった。
フェリクス様は氷に手を当てあっという間に消すと、氷付いた男達が崩れ落ちた。そのまま、口元が焦げ付いて倒れている者と一緒に、男二人を蹴飛ばして顔を上に向かせると、口元へと『回復薬』の瓶を突き刺した。
『一口でも喉を通れば良い」
『回復薬』は決して安い物では無い。勿体ないが、これ以上の策も無い。彼の豪快さに、私と副団長は苦笑いを浮かべていた。
その後、捕らえた者達を副団長に任せ、私達は副団長お勧めのカフェに来ていた。
本来なら父に挨拶やら、回復させた狼藉者達を調べなければならない筈なのだが、曰く『マーブルク家が表立って協力している訳では無い』様に見せたいらしい。元々、渡りを付けたのは従者達の身の安全を考慮してなのだが、それ以上負担になるのは避けたいらしく、父にもその旨は手紙にて伝えてあるそうだ。
領主としてはいくら元王族とはいえ面会は欠かせないので、一~二ヶ月後に正式に此方から訪問するそうだ。『その時はリサは里帰りだな』と言われて、出来れば一緒には帰りたくないとは言えずに押し黙った。
「調べも辺境伯邸にいる者が上手くやる。焦る必要はない」
そんなに優秀な従者を何故手放したのか……お陰で私が従者にさせられてしまったではないかと、まだ見ぬ先輩従者を恨んだり。かなり遅くなったお昼ご飯は、会話の途切れない賑やかなものになった。
「そう言えば、フェリクス様は買い物した荷物はどうされたのですか? 」
副団長とは最初に買い物をした服屋で待ち合わせをしていたので、私達はお土産にカフェのサンドイッチを買い、お店へと向かっていた。ふと、フェリクス様が手ぶらなのに気付き、荷物は何処へ行ったのかと不思議に思ったのだ。
「……ああ、それはこれだ」
そう言うと、フェリクス様は腰元に括り尾けてある鞄を軽く叩いた。しかし、それは荷物入れと言うよりは本当に荷物入れかと思う程小型だ。
「え? 結構買ってましたよね。全然入りそうにありませんが……」
「ああ、リサは『空間収納箱』自体が何なのか知らないのだったな。これは……店に着いたら教えてやる」
そう言えばそんな名前の魔道具を開発したと聞いたけれど、いまいちピンと来ていなかった。
服屋に着くと、店主が満面の笑みで私達を迎えると、個室に微調整した服を用意してくれた。こんなに早く仕上げるのなんてきっと大変な筈だが、次へ繋げようというお店の本気度が伺えた。
山と積まれた服を前に、フェリクス様が腰の鞄に手を掛けながら、店主に『ここで見たものは他言無用』と念を押す。
鞄の蓋の留め具を外すと、大きな袋を畳んで収納していたらしく、袋の口を大きく広げた。けれど、どう見ても入りそうにない。しかし、彼は気にせず包装された荷物を一つ一つ袋に詰めると、丁寧に袋を畳み直し、蓋の留め具を閉めた。
全くもって意味が分からない。荷物は何処へ消えたのか。
「ああ、『空間収納箱』なのですね。羨ましい限りです」
と店主が何故か納得していて、これが当たり前として成り立っている事態に、一人だけ騒ぐ事も出来ず、私は押し黙っていた。その内、副団長が迎えに来て、混乱したまま店を出た。
帰りの馬車の中、種明かしをして貰う。
『空間収納箱』とは、『異界に繋がっている箱』なのだと言う。もう意味が分からない。
「開発と言っても、これ自体を作れる訳では無い。私がしたのは迷宮遺跡から時折出る『空間収納箱』を改良する技術を得た、それだけの話だ。今までは収納量に差が有ったり、口の大きさによっては入れられるものとそうでないものがあり、不便だった」
それが、少し空間を広げ、袋や箱の口よりもその空間をほんの少し此方側へ広げた所、口の大きさ関係なく物が収納出来る様になったのだと言う。『空間を広げる』って、そんな事が可能な時点で更に意味が分からない。
「全部は教えられぬが、虹色スライムと黒水晶が鍵なのだ。いや、古代の人々の知恵は恐れ入る」
私はそれを解明する貴方に恐れ入るとは言わなかった。しかも虹色スライムは白スライムよりも遭遇率は低く、生体は勿論不明で、採取出来るのは自然死した死体を探すのみと聞く。ここで王族のコネクションが少しだけ羨ましくなりかけ、彼に悪いと思い直して頭を振る。
振って思い出したのは、今朝の話だった。
「あれ、ならフェリクス様の『空間収納箱』がどれ程の収納力か分かりませんが、全てそれに入れて逃げれた訳ですよね? 」
そう指摘すれば、フェリクス様はにっこりと笑顔を貼り付けてうんともすんとも言わない。
「使わない手は無いのですから、当然そうですよね? ではあれですか? 騙して町へ出ようとしたのですね? 」
私がずいっと前へ乗り出すと、観念したのか彼は大きく息を吐いた。
「そうだ。いや、行きの馬車で名前を出して気付かれるかと思ったのだが、全く知らなくて此方が驚いた。確かに冒険者や大商人、一部の貴族しか手にしておらぬからな、仕方の無い事だろうが」
「素直に残党狩りしたいと言ったら、私が止めると思っての事ですか? 」
「そうだ。マーブルク領に潜んでいる可能性があったからな。念の為だったのだが、無事に対処出来て良かった。リサには怖い思いをさせて悪かったな」
「そちらよりも騙して連れて行かれた方が私としては嫌です。それなら、『残党狩りをしたいから来い! 』と引き摺られて連れて行かれた方が幾分マシです」
私がそう言うと、フェリクス様はぽかんとした様な表情をしたあと、目を閉じてうんうんと頷き始めた。
「ならば、リサは俺が正直に言えば何処でも付いて行くと言いたい訳だな。これこそ従者の鏡。雇う側としてはこんなに嬉しい事は無い」
「いえ! 危険な所は駄目です! というか、研究放っては行きませんよ?! 」
「何、また休みの日に誰か誘って行けば良いだけの事。次の休みが楽しみだな、リサ? 」
「いえ、全く! 」
「引き摺ってでも行く。安心しろ」
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何が楽しいのかフェリクス様はにやにやとまたあの笑顔を浮かべる。子供が悪戯を考えているかの様で、心底落ち着かない。私は今後の自分の不遇さを憂うしかなかった。
砦に着くと、フェリクス様は副団長にお礼として高価な(副団長談)お酒を、その『空間収納箱』から出して渡していた。副団長はとても嬉しそうにしていたので、休みを潰してしまった罪悪感が薄れた。
ご機嫌な副団長に見送られ、私達はお互いの部屋のある区画まで戻って来た。フェリクス様は私の部屋の前で立ち止まると、腰の鞄に触れて、目配せして来る。
「部屋には入らぬから、荷物は戸口で良いか? 」
そう言えば、結局全部の荷物を預かって頂いたと思い、私は扉を開けた。
「ありがとうございます。全部預かって頂いて」
「よい。……今日は疲れただろう。ゆっくり休め」
話しながらもひょいひょいと荷物を取り出して、戸口には荷物の山が出来上がって行く。その端から、私はいそいそと部屋の中央に荷物を移動させた。
「リサ」
「はい? 」
「……一つ忠告だが、こういう場合は扉を閉めて鍵を掛けてから、荷物に手を付けろ」
「あ、はしたなかったですね。申し訳ありません」
「それもあるが、男に部屋を……とにかく、こういう場合は直ぐに鍵を掛けろ。誰が相手でも」
「? 、畏まりました。次からそうします」
確かに客人の目の前で荷物の整理など、配慮に欠けていたかも知れない。フェリクス様は深い溜め息を吐くと、自分の部屋へ帰って行った。
呆れられたかと少し反省しつつ、私は荷物の包みに手を付けた。中から華やかな色の服が顔を出し、自分でも気持ちが浮き立つのが分かった。
クローゼットの扉を開けると、灰色と紺色のワンピースが何故か物凄い暗い雰囲気を出している様に感じて、私は苦笑いしつつ、それらを部屋着入れの引き出しに移動させたのだった。
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