14 / 23
二章・魔界ファーステリア編
魔城リンドヴルム
しおりを挟む
十四話
「確か城の名前は……なんでしたっけ?」
「なるほどな、“なんでしたっけ”っていう名前の城なのか。城の主はネーミングセンスってのはないんだな」
「違いますよ!?」
それからというもの結局城の名前は思い出せず、城の名前のことを後にして歩くこと数十分。ようやく遠目に見えていた大きな城にたどり着きます。
その城はレンガなどの素材が全て暗い赤や、塗装をしたのか黒など、暗色のため忌々しい雰囲気が感じ取れますが、それは素材や塗装のせい。実際は普通の城なのです。
「遠くから見えてたけど本当にデカイな」
「……でかい城……デカ城」
「そんな名前だったかなこの城?」
見上げれるほどに大きな城を眺めているとそこに誰か近づいているのかザクザクっと土を踏んだ音が聞こえます。
その音は複数聞こえるため一人では無いことは確かです。
「お早いお帰りで」
「戻ってくるの早かったな。それとこの城は魔城リンドヴルムだ」
足音の主は乃亜が知っている人で、龍の姿をしたドラグニルことドラン、そしてガタイが良いスクルドでした。
また、スクルドが覚えろと言わないばかりにこの城の名を乃亜に言っています。
「リンドヴルム……?そんな名前だっけ?」
「そうでございますよ。ところでそこのお二人は乃亜殿のお知り合いで?見たところ乃亜殿と同じ人の子の様ですが」
「んー……知り合いと言うより幼なじみと友達って関係だよ。この人は陸斗君、隣にいる女の子は鈴ちゃんだよ」
「左様でございますか、乃亜殿の幼なじみ、ご友人となればもてなしをしなくてはなりませんね。私目は賢者、魔王秘書を努めさせて頂いております、ドラグニル・エンヴァルティと申します。ドランとお呼びください。そしてこの大男はスクルド・ハウンド。情報屋でございます」
「ドランとスクルドか……って話がスムーズに進んでるところ悪いんだけどさ、なんで乃亜がここにいるのかとか俺らにわかるように説明してくれないか?」
「左様でございますね。では乃亜殿をここに連れてきた経路からおって説明致しましょう。しかしながらここではなんですから応接間に案内致しますのでそこで説明致しましょう」
そう言うとゆっくりと、されども早めに歩き城内の応接間へと彼らを案内します。城の中はやはり薄暗め、しかし乃亜が来た時とは違い周りはしっかり見えるほどなのでさほど気にはしません。
暫く案内に従い歩いていくと椅子や机しかないシンプルな応接間へとたどり着きます。
「さて本題に入りましょう。まず乃亜殿をここに連れてきた経路でございますが、乃亜殿がここファーステリアの魔王に相応しい能力の持ち主だと、私ドラグニル・エンヴァルティ……ドランが判断し、この大男スクルド・ハウンドが連れてきた次第でございます。そして御本人の受諾の元、乃亜殿は魔王となりイデロードの様子を見てきてもらったのです。最近あの王都から兵を派遣され攻め込まれたので」
「そうだったのか……てことはやっぱりこことあそこは敵対してるんだな……ってちょっと待て。スクルドは俺らがいた場所に行くことができるのか!?」
「何となくお前の考えてることわかるが、俺が連れてきた奴じゃないと元の世界に返すことはできない。それに返す場合だとーー」
「スクルド。それ以上は」
「あ、あぁそうだったな」
何かを隠すかのようにスクルドの言葉を止める為ドランが短な言葉を放ちます。
途中で止められた為かなり気になりますがそれ以上は何も言うことなく、話題を逸らすかのように話を続け始めました。
「……ちなみにでございますが、ここファーステリアと王都は敵対はしておりません。昔からのしきたりでファーステリアの者は人に対して害をなさないのです。ですがそのしきたりに反するものもでて今では魔界は二つに別れてしまったのです」
「二つか……」
その刹那、先日の疲れと長めの説明を聞いたからか陸斗達は不意に欠伸をしてしまいます。
「眠そうでございますね」
「まぁ一日ずっと起きてたようなものだしな……」
「……昨日、色々あった」
「まぁ私も一日中起きてたんですけどね……」
「左様でございますか。……では城の各客室へ案内致しますのでもう少々我慢致してください」
世の中一日二日起きていても平気な人もいますが、彼等は普通の人。一日中起きていれば絶対に睡魔が襲ってきますし、思考も低下してしまいます。
ましてや陸斗と乃亜はこの世界にまだ馴染めていません。故に自身が思っている以上に疲れが体に溜まってしまっているのです。
それにしても優しい上に丁寧な口調と対応をするドランは賢者兼秘書と言うより召使いの方がよっぽど似合っているような気がします。
「さてたどり着きましたよ。左から順番に使ってくださいませ」
応接間を後にし歩くこと数分。客室が並んだ場所へとたどり着き、左から順番に使っていいとドランは言います。
というのも、この城には多くの部屋が存在するもドランとスクルドしか居なく空き部屋が手に余るほど存在するのです。故に一人一人の部屋が割り当てられるのです。
「今日はお疲れでしょうから各部屋にておくつろぎ下さいませ。それと明日乃亜殿とそのご友人に会ってもらいたい方がいます。その方はーー」
「確か城の名前は……なんでしたっけ?」
「なるほどな、“なんでしたっけ”っていう名前の城なのか。城の主はネーミングセンスってのはないんだな」
「違いますよ!?」
それからというもの結局城の名前は思い出せず、城の名前のことを後にして歩くこと数十分。ようやく遠目に見えていた大きな城にたどり着きます。
その城はレンガなどの素材が全て暗い赤や、塗装をしたのか黒など、暗色のため忌々しい雰囲気が感じ取れますが、それは素材や塗装のせい。実際は普通の城なのです。
「遠くから見えてたけど本当にデカイな」
「……でかい城……デカ城」
「そんな名前だったかなこの城?」
見上げれるほどに大きな城を眺めているとそこに誰か近づいているのかザクザクっと土を踏んだ音が聞こえます。
その音は複数聞こえるため一人では無いことは確かです。
「お早いお帰りで」
「戻ってくるの早かったな。それとこの城は魔城リンドヴルムだ」
足音の主は乃亜が知っている人で、龍の姿をしたドラグニルことドラン、そしてガタイが良いスクルドでした。
また、スクルドが覚えろと言わないばかりにこの城の名を乃亜に言っています。
「リンドヴルム……?そんな名前だっけ?」
「そうでございますよ。ところでそこのお二人は乃亜殿のお知り合いで?見たところ乃亜殿と同じ人の子の様ですが」
「んー……知り合いと言うより幼なじみと友達って関係だよ。この人は陸斗君、隣にいる女の子は鈴ちゃんだよ」
「左様でございますか、乃亜殿の幼なじみ、ご友人となればもてなしをしなくてはなりませんね。私目は賢者、魔王秘書を努めさせて頂いております、ドラグニル・エンヴァルティと申します。ドランとお呼びください。そしてこの大男はスクルド・ハウンド。情報屋でございます」
「ドランとスクルドか……って話がスムーズに進んでるところ悪いんだけどさ、なんで乃亜がここにいるのかとか俺らにわかるように説明してくれないか?」
「左様でございますね。では乃亜殿をここに連れてきた経路からおって説明致しましょう。しかしながらここではなんですから応接間に案内致しますのでそこで説明致しましょう」
そう言うとゆっくりと、されども早めに歩き城内の応接間へと彼らを案内します。城の中はやはり薄暗め、しかし乃亜が来た時とは違い周りはしっかり見えるほどなのでさほど気にはしません。
暫く案内に従い歩いていくと椅子や机しかないシンプルな応接間へとたどり着きます。
「さて本題に入りましょう。まず乃亜殿をここに連れてきた経路でございますが、乃亜殿がここファーステリアの魔王に相応しい能力の持ち主だと、私ドラグニル・エンヴァルティ……ドランが判断し、この大男スクルド・ハウンドが連れてきた次第でございます。そして御本人の受諾の元、乃亜殿は魔王となりイデロードの様子を見てきてもらったのです。最近あの王都から兵を派遣され攻め込まれたので」
「そうだったのか……てことはやっぱりこことあそこは敵対してるんだな……ってちょっと待て。スクルドは俺らがいた場所に行くことができるのか!?」
「何となくお前の考えてることわかるが、俺が連れてきた奴じゃないと元の世界に返すことはできない。それに返す場合だとーー」
「スクルド。それ以上は」
「あ、あぁそうだったな」
何かを隠すかのようにスクルドの言葉を止める為ドランが短な言葉を放ちます。
途中で止められた為かなり気になりますがそれ以上は何も言うことなく、話題を逸らすかのように話を続け始めました。
「……ちなみにでございますが、ここファーステリアと王都は敵対はしておりません。昔からのしきたりでファーステリアの者は人に対して害をなさないのです。ですがそのしきたりに反するものもでて今では魔界は二つに別れてしまったのです」
「二つか……」
その刹那、先日の疲れと長めの説明を聞いたからか陸斗達は不意に欠伸をしてしまいます。
「眠そうでございますね」
「まぁ一日ずっと起きてたようなものだしな……」
「……昨日、色々あった」
「まぁ私も一日中起きてたんですけどね……」
「左様でございますか。……では城の各客室へ案内致しますのでもう少々我慢致してください」
世の中一日二日起きていても平気な人もいますが、彼等は普通の人。一日中起きていれば絶対に睡魔が襲ってきますし、思考も低下してしまいます。
ましてや陸斗と乃亜はこの世界にまだ馴染めていません。故に自身が思っている以上に疲れが体に溜まってしまっているのです。
それにしても優しい上に丁寧な口調と対応をするドランは賢者兼秘書と言うより召使いの方がよっぽど似合っているような気がします。
「さてたどり着きましたよ。左から順番に使ってくださいませ」
応接間を後にし歩くこと数分。客室が並んだ場所へとたどり着き、左から順番に使っていいとドランは言います。
というのも、この城には多くの部屋が存在するもドランとスクルドしか居なく空き部屋が手に余るほど存在するのです。故に一人一人の部屋が割り当てられるのです。
「今日はお疲れでしょうから各部屋にておくつろぎ下さいませ。それと明日乃亜殿とそのご友人に会ってもらいたい方がいます。その方はーー」
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

異世界英雄の学園生活~英雄に休息なんてありません~
パチ朗斗
ファンタジー
魔法が存在する世界リレイリア。その世界には人類の敵である魔王という者が存在した。その魔王はとてつもなく強く、人類は滅亡すると思われた。だが、たった一人の男がいとも容易く魔王を討伐する。その男の名はキョーガ。
魔王討伐という任務を終えたキョーガは自分の元住んでいた世界……"日本"に帰還する。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる