のほほん異世界暮らし

お弁当作りと魔力式トラックで三匹と一緒に出掛ける

朝の支度が終わると、次はお弁当作りだ。農場での作業中に空腹で力が出なくなるのは困るし、三匹にもおやつを準備しておかなければならない。

キッチンのカウンターに食材を並べ、まずは自分用のお弁当から取り掛かる。昨夜の残り物の唐揚げをメインに、農場で採れたばかりの赤ペスウとキュウリを使ったサラダ、それに小ぶりなおにぎりをいくつか作る。おにぎりには少し塩を効かせ、赤ペスウの甘みと相性抜群だ。

次に三匹の分だ。シャズナには少し煮込んだ白身魚と柔らかいパンを、ルシファンには小さなチーズクラッカーを詰めた小袋を、そしてリッキーには野菜をペースト状にしたものを用意する。どれも食べやすく、彼らのお気に入りのメニューだ。

「これでみんな満足するかな？」
キッチンの片隅で待っていた三匹は僕の手元を興味津々に見つめている。シャズナは「にゃー」と鼻を鳴らし、ルシファンは「ちちっ！」と跳ねながら前足を動かし、リッキーは鼻をぴっぴっと鳴らして興奮しているようだ。

お弁当を詰め終えると、次は魔力式トラックの準備だ。このトラックは農作業に欠かせない相棒で、燃料代わりに魔力石を使うため、とても効率的だ。荷台には今日の農作業に必要な道具を積み込む。鍬やシャベル、種まき用の器具、それから肥料と水のタンクだ。

さらに、収穫物を入れるためのカゴも忘れずに載せる。今日は作業の合間に市場に立ち寄る予定なので、売る予定の野菜や果物も準備しておいた。

三匹はトラックの周りを楽しそうに走り回りながら、時々荷台に飛び乗っては「探検」しているようだ。ルシファンが荷台のカゴを覗き込み、「ちちっ！」と短く鳴いた。それを見たリッキーも真似をするように鼻を鳴らしてぴょんぴょん跳ねている。

「おいおい、カゴは触らないでくれよ。大事な野菜が入ってるんだから。」
僕が声をかけると、二匹とも一瞬だけ動きを止めたが、すぐにまた楽しそうに走り回り始めた。

準備が整い、三匹をトラックのキャビンに乗せる。助手席にシャズナ、後部座席にルシファンとリッキーだ。助手席のシャズナは堂々とした様子で窓の外を眺め、後ろの二匹は早くも興奮気味であちこち動き回っている。

「よし、出発だ！」
僕がハンドルを握り、魔力石をセットするとトラックが静かに動き出した。エンジン音が静かなのが魔力式トラックのいいところだ。シャズナはその静けさが気に入っているのか、窓から入る風を優雅に感じながら目を細めている。一方、ルシファンとリッキーは少し落ち着かない様子で、キャビン内をそわそわと動き回る。

農場に向かう道は朝の柔らかな光に包まれ、空気が澄んでいて心地よい。道端には春の花が咲き誇り、野鳥の声が響いている。そんな中、僕たちはのんびりとした時間を過ごしながら、農場へと向かった。

農場に着くと、トラックを停めるなり三匹はキャビンから飛び出した。広々とした畑を見ると、シャズナは優雅に歩き回り、ルシファンは「ちちっ！」と鳴きながら草むらに頭を突っ込む。そしてリッキーは鼻をぴっぴっと鳴らしながら跳ね回っている。

「おいおい、そんなにはしゃぐなよ。作業が終わったらいっぱい遊んでやるから。」
そう声をかけながら僕はトラックから荷物を下ろし、今日の作業の準備を始めた。農場での一日はまだ始まったばかりだが、三匹の元気な姿を見ていると、なんだかこちらまでやる気が湧いてくる。

「さて、今日も一日頑張るか。」
三匹と共に、僕は春の農場での作業に取り掛かった。