のほほん異世界暮らし

帰り道の静寂と自然の息吹

市場での喧騒から離れ、魔力式トラックは田園地帯へと差し掛かった。広がる畑の緑と、風に揺れる穂先が波のように見える。小道をゆっくりと進むと、遠くで鳥の羽ばたき音が微かに聞こえた。澄んだ青空を背景に、一羽の白鷺が優雅に舞い上がる。

助手席のリッキーがその動きを追いかけるように首を傾げ、鼻をピッと鳴らす。後部座席のシャズナとルシファンも静かにその様子を見つめている。

「静かだな。」

そんな言葉を呟いた時、道端の茂みから二匹の鹿がゆっくりと姿を現した。小さな子鹿と母鹿だろうか。こちらに一瞥をくれた後、優雅に歩き去っていく。自然の営みに触れ、心が少し穏やかになる瞬間だった。

興奮気味の三匹

自宅が見えてくると、トラックの中の空気が一気に変わった。リッキーが助手席でぴょんぴょん跳ね始め、シャズナは「にゃーん」と小さく鳴いて伸びをする。ルシファンも「ちっ、ちっ！」と独特の鳴き声を上げながら窓をカリカリと引っ掻く。

「おいおい、落ち着け。もうすぐだから。」

トラックを停め、荷物を降ろして玄関の鍵を開けると、三匹は待ちきれないとばかりに突進してきた。リッキーが先陣を切り、シャズナがその後を追い、最後にルシファンがちょこまかと駆け込む。

家の中での賑やかな様子

「お前らは仲がいいな。」
苦笑しながら、僕は靴を脱ぎながら呟いた。

リビングに入ると、三匹はそれぞれの場所でくるくると回り、何かを探しているようだ。リッキーはクッションを掘り返し、シャズナは窓辺に飛び乗り、ルシファンは棚の上を物色している。

「さて、甘海老を使った夕食でも作るか。」

そう言うと、リッキーがピッと鼻を鳴らしてこちらを見た。シャズナも目を細めて喉を鳴らし、ルシファンは棚から飛び降りてきた。期待に満ちた瞳でこちらを見上げる三匹に、僕は思わず笑みをこぼした。

「よし、じゃあ特製ディナーだ。待ってろよ。」

キッチンに立ち、今日の市場で買い付けた甘海老を取り出しながら、賑やかな夜の予感を感じていた。