のほほん異世界暮らし

冬至の朝を迎える

冬の訪れを実感させる静かな朝。今日は冬至。夜が最も長く、日が短いこの日を迎えたということは、これから少しずつ光が戻ってくるという希望の証だ。窓の外はうっすらと雪化粧をまとい、遠くの山々が朝の薄明かりに浮かび上がっている。空気は澄んでいて、肌を刺すような冷たさを感じる。

布団の中は、まるで別世界のように温かい。僕の横にはシャズナが丸まっている。その白い毛並みが、朝の柔らかな光を受けてほんのり輝いているように見える。耳だけがピンと立っていて、こちらの動きを気にしているのかもしれない。顔を近づけると、かすかに聞こえる寝息が心地よいリズムを刻んでいた。

一方、胸の上にはルシファンがすっかり落ち着いた様子で乗っている。重さを感じるものの、その温かさが心地よく、僕はもう少しこのままでいたくなった。ルシファンは微かに「ちち…」と小さな声を漏らしながら、時折くすぐるように鼻先を動かしてくる。まるで「もっと撫でてほしい」とでも言いたげだ。

「おはよう、二匹とも。」
僕が静かに声をかけると、シャズナがまず目を開けた。少しだけ不機嫌そうにこちらを見上げるが、すぐに顔を伏せて再び目を閉じる。シャズナにとって、朝はまだ寝ていたい時間らしい。ルシファンも、頭をもたげて僕を見つめると「ち！」と短く鳴いた。まるで「おはよう」の返事のようだ。

「今日は冬至だよ。ゆず湯に入ったり、かぼちゃを食べる日だ。」
そんな話をしても、二匹にはあまり関係がないのかもしれない。けれど、何となく伝えたくなる。季節の節目を共に迎えることが、特別なことのように思えるからだ。

ようやく布団から抜け出す決意をし、そっとルシファンを抱き上げて床に下ろす。彼は少しの間不満そうに見つめていたが、すぐにいつもの調子で尻尾を揺らしながら部屋を歩き回り始めた。シャズナも、僕が動く音を聞いてゆっくりと伸びをする。肉球を軽く踏みしめながら、のそのそと起き上がってくる。

僕は軽く伸びをし、冷えた空気に身を引き締めながら台所へ向かう。まずは朝食を準備しなければ。二匹のためにも、温かいミルクを用意するつもりだ。火を入れたポットから立ち上る湯気が、ほんの少し部屋を温めてくれる。

かぼちゃのスープも煮込もう。甘くほくほくとしたかぼちゃの香りが、家中に広がるのを想像するだけで心が和む。二匹もきっと喜んでくれるだろう。

朝の静かなひととき。シャズナとルシファンと過ごすこの時間が、冬至の朝を特別なものにしてくれる。これから訪れる新しい季節を想いながら、僕は心を込めて朝の支度を始めた。