のほほん異世界暮らし

二匹の愛情表現

朝の光が窓辺から差し込む頃、僕は目を覚ます。部屋にはほのかに木の香りが漂い、シャズナとルシファンの気配が心地よい。布団の端に目をやると、シャズナが丸くなって眠っている。その穏やかな寝顔を見ていると、静かな幸せが胸に広がる。一方、足元の方ではルシファンが「ちち！」と小さな声をあげながら僕の目覚めを待っているようだ。

「おはよう、ルシファン。待たせたな」と声をかけると、彼は尻尾をぱたぱた振りながら僕の胸に飛び込んでくる。その勢いに少し驚きながらも、僕は彼の頭を優しく撫でる。「もう、そんなに甘えん坊だとシャズナに怒られるぞ？」と言うと、ルシファンは構わないとばかりにさらに身体をすり寄せてくる。

シャズナもその声に気付いたのか、眠そうな目をしながらこちらを一瞥する。そして、あくびを一つすると、ゆっくりと伸びをして起き上がった。「おはよう、シャズナ。よく眠れたか？」と話しかけると、彼は鼻をひくつかせながら「にゃ」と返事をする。その態度はどこか気高く、僕の一日をいつも通り始めさせてくれる。

キッチンへ向かい、朝食の準備を始めると、二匹はすぐに僕の足元に集まってきた。シャズナは静かに座り、僕の手元の動きをじっと観察している。その姿はまるで僕の動きを評価しているかのようで、時折「にゃ」と小さく声をあげる。一方のルシファンは相変わらず僕の足元をうろうろし、時々軽くジャンプしては「ちち！」と楽しそうに鳴いている。

「お前たち、そんなにくっついてきたら料理が進まないだろ？」と笑いながら言うと、ルシファンは少し離れたかと思えば、またすぐに僕の足に擦り寄ってくる。シャズナはその様子を横目で見ながら、気だるげに「ふん」と鼻を鳴らす。「またやってる」という気持ちが表情に現れていて、思わず笑ってしまう。

出来上がった朝食を二匹にも分けてあげると、彼らはそれぞれの皿に顔を埋めて満足げに食べ始めた。その姿を見ていると、一緒にいる日常がどれほど大切でかけがえのないものか、改めて感じる。

朝食を終えた後、庭に出ると爽やかな風が吹き抜けた。空は青く澄み渡り、木々の間から鳥のさえずりが聞こえる。シャズナは陽だまりの中で静かに毛繕いを始め、ルシファンはその横で転がって遊んでいる。

「さて、今日は何をしようか」とふと呟くと、シャズナが一瞬だけこちらを振り返り「にゃあ」と短く鳴いた。その声にはどこか「好きにすれば？」という余裕が感じられる。一方、ルシファンは「ちち！」と大きな声をあげながら、僕のズボンの裾を軽く噛んで引っ張る。「よし、わかった。今日は君たちと一緒に庭でのんびり過ごすことにしよう」と微笑むと、二匹は嬉しそうに僕の周りを走り回った。

こんな穏やかな日々がいつまでも続いてほしい――僕はそう願いながら、二匹と一緒に秋の陽気を楽しむ時間を満喫するのだった。