のほほん異世界暮らし

338 側にいてくれることの大切さ

シャズナとルシファンが一緒にいると、家の中はいつも特別な空気に包まれる。静かな夜、暖炉の火がぱちぱちと音を立てて燃え、赤々とした光が部屋を照らす中、僕はソファに腰を下ろしている。すぐ隣には、優美な毛並みを持つシャズナが体を丸めて休んでおり、そのシルクのような毛が炎の明かりに柔らかく輝いている。彼女の目は半ば閉じていて、瞳の奥には穏やかな眠気が漂っていた。

一方、ルシファンは少し離れた場所で何やら自分の遊びに夢中になっていた。彼は小さな前足でお気に入りの布玉を転がし、時折勢い余ってくるくると転げ回っている。その様子を見ていると、思わず笑みがこぼれる。彼は愛らしい姿と元気な動きで、部屋全体に陽気さをもたらしてくれる存在だ。シャズナが時折目を開けてルシファンの動きを見つめると、彼女の視線にはどこか母性のような優しさが浮かぶ。それがまた微笑ましくて、僕はソファの背にもたれて深く息を吸い込んだ。

「さて、今日はどうだった？」と、心の中で二匹に問いかける。返事はないけれど、シャズナが軽く尾を動かし、ルシファンは「ピョン」と軽く跳ねてこちらを見ている。それだけで十分だ。何気ない一日の終わりが、こうして二匹に囲まれて穏やかな時間として過ごせること、それが僕の何よりの幸せだと実感する。

朝には別の光景が広がる。窓から差し込む淡い光が、ゆっくりと部屋を照らし始めると、シャズナは真っ先に目を開けて静かに体を伸ばす。その動作はいつも優雅で、彼女の高貴な性格を反映しているようだ。僕が布団から身を起こすと、足元にはルシファンが丸くなっているのを見つける。寝ている彼は、小さな胸を上下させながら夢の中を漂っているようだった。その安らかな表情に、僕は一瞬、日常の慌ただしさを忘れ、心が温かくなる。

「今日もまた、新しい一日が始まるよ」と囁くように言うと、シャズナは僕に寄り添い、頬をそっと押し付けてくる。ルシファンも眠たげな目を開け、僕の指先に鼻をこすりつけた。彼らの愛情が、僕の朝の一瞬を特別なものに変えてくれるのだ。

僕がキッチンに立ち、朝食を準備していると、二匹はいつものように足元に集まってくる。シャズナは落ち着いた様子で僕を見守り、ルシファンは興味津々に鍋や調理器具の動きを目で追っている。二匹の存在が僕の毎日に色を添えてくれる。朝食がテーブルに並ぶころには、彼らも満足そうに座り、僕を見上げている。

一日が始まり、一日が終わる。その間には笑いも驚きもあるけれど、シャズナとルシファンがそばにいることで、何もかもが心地よい調和に包まれていく。彼らとの暮らしは、静かで穏やかで、それでいてかけがえのない瞬間で溢れていた。