のほほん異世界暮らし

みなと劉

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250 シャズナと夕飯と

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日が沈み、農場での作業を終えた僕とシャズナは家に戻った。軽く汗をかきながらも、心地よい疲れを感じる。その途中、シャズナは僕を待たずに家の扉を開け、先に進んでいった。以前は家の中に入る前に僕に少し距離を置いて、慎重に歩くようなところがあったけれど、今ではすっかり真っ先に行動するようになった。その姿を見て、僕は少し驚きながらも、心の中で「おかえり」と思った。

シャズナが以前のようにおしとやかだった頃が嘘のようだ。今や、家の中でも彼の行動は活発そのもので、何か見つければすぐに飛びついて、興味津々に調べたり遊んだりしている。そんなシャズナを見ていると、僕も自然と笑顔になってしまう。あの日出会ったばかりのあの猫が、こんなに元気に過ごしているのがとても嬉しい。

「シャズナ、晩ごはん作るから待っててね。」僕は少し急いで靴を脱ぎながら声をかけるが、シャズナは無視するかのように、キッチンの隅に向かってすぐに自分の居場所を確保してしまった。以前なら、こういう時には「にゃー」と鳴いて少し恥ずかしそうに待っていたものだが、今や堂々としたものだ。僕が笑いながら「すっかり逞しくなったな」と呟くと、シャズナは一度振り向いて、まるで何も言わずにまた自分の場所に座り直した。

夕飯の準備を始めると、シャズナは僕の周りをちょろちょろと歩き回り、僕が材料を取り出している間もじっとその様子を見守っている。食材を切ったり、調理したりしていると、シャズナは途中で「にゃー」と声を上げ、まるで手伝っているかのように見せかけてくる。でも実際には、ただ興味津々で僕の動きを追っているだけだ。

夕食が完成すると、僕とシャズナはいつものように並んで座って食事を始める。シャズナはお皿の中の食事を慎重に確かめながらも、あっという間に食べ終わる。その食べっぷりには毎回驚かされる。僕も食事を楽しみながら、シャズナの変化を実感していた。

食後、僕が食器を片づけ始めると、シャズナが急に立ち上がり、ドアの方へ向かって歩き出す。その仕草に、今日は何かあると直感した僕はすぐに「どうした?」と声をかけた。

「にゃー。」シャズナは振り向くと、軽くしっぽを動かして、外に出たいとでも言うような顔をした。どうやら、夜の景色を見に行きたいらしい。最近のシャズナは、夕方や夜の景色を楽しむのが好きになったようだ。そういえば、以前にも一度一緒に外の景色を見たことがあったなと思い出し、僕はそれに応じることに決めた。

「いいよ、行こうか。」僕は立ち上がり、シャズナの後を追って外へ出た。涼しい風が頬を撫で、空気が少しひんやりとしている。夜の景色は静かな雰囲気を漂わせていて、星が少しずつ顔を出し始めていた。近くの木々の間から、わずかな風の音が聞こえてくる。

シャズナは僕の前を歩き、しっぽをまっすぐに立てながらも、少しずつ足を進めていく。月の光がシャズナの毛並みに反射して、なんとも幻想的な雰囲気を醸し出していた。その姿を見ていると、僕もまたこの静かな時間を大切にしたいと強く思う。

「静かで、いい夜だね。」僕は自然と口に出していた。シャズナも歩きながら「にゃー」と小さく答えた。その声には、何か満足そうな響きがあったような気がした。

僕たちはしばらく歩いて、畑の隅の小さな丘に座った。遠くには街の灯りが見えるが、それでも周囲は静まり返っていて、星の光だけが明るく輝いていた。シャズナも僕も、その空気を楽しむように、ただ静かに景色を見つめている。

「今日は、どうだった?」僕がシャズナに問いかけると、彼はにゃーと小さな声を上げて、まるで今日の一日を振り返るように何度も首をかしげていた。僕はその様子に微笑みながら、同じように空を見上げていた。

「また明日も、こうして一緒に過ごそうね。」僕は心の中で誓うように言い、シャズナと一緒にこの静かな夜を満喫した。

帰る頃には、夜の空が深い青に変わり、月がしっかりと空に浮かんでいた。シャズナと一緒に家へ戻り、静かな夜を過ごす。この時間がずっと続いてほしいと心から思いながら、家の扉を静かに閉めた。

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