のほほん異世界暮らし

249 翌日農場でナイトフィーンを育ててみる

翌朝、朝の光が少しずつ農場に差し込んできた。静かな朝の空気が広がる中で、シャズナと僕は庭先で朝食を囲んでいた。シャズナは小さな丸い体を僕の足元に寄せ、耳をピクピクさせながらじっとこちらを見つめている。昨晩遅くに帰宅したにもかかわらず、シャズナは元気そうだ。

「おはよう、シャズナ。」僕は軽く手を伸ばして彼の頭を撫でると、シャズナは嬉しそうに「にゃー」と鳴いて、その顔を少し持ち上げる。彼のその姿に、なんだか心がほっと温かくなる。

「さて、今日はナイトフィーンの種を植えてみるつもりだ。どうだ、手伝ってくれるか？」僕はシャズナに話しかけると、彼は耳をぴんと立て、しっぽをゆっくりと動かして興味を示す。

「にゃー。」とだけ鳴いて、まるで「うん、手伝うよ！」と言わんばかりに見つめているその目が、可愛らしくて堪らない。シャズナが手伝うというわけではないけれど、農場で彼と一緒に過ごす時間が、僕にとっては最高のひとときだ。

朝食を終えると、軽く片づけをし、昼食用のお弁当を用意することにした。僕はいつものように、季節の野菜を使った料理を考えながら、シャズナを見つめて思案していた。

「今日はおにぎりにしようかな。シャズナもおにぎりが好きだよな？」僕はシャズナに問いかけると、彼はしっぽをぱたぱたと動かして「にゃー」と鳴く。どうやら、シャズナもその案に賛成しているようだ。

僕はおにぎりを作りながら、冷蔵庫から少し前に作った漬物を取り出し、軽く洗った後にお弁当箱に詰める。おにぎりはシンプルに梅干しと昆布で、食べやすくてシャズナも喜んで食べてくれるだろう。

「これで完成だ。」お弁当箱をシャズナの前に差し出すと、彼は一度匂いを嗅いでから、にゃーと声を上げて、手を伸ばすようにしておにぎりに近づいていく。その可愛らしい仕草を見て、僕は微笑んでしまう。

お弁当の準備を終えた後、僕たちは農場へ向かうことにした。ナイトフィーンの種を植えるため、まずは畑を軽く整え、土を耕し、しっかりと水をまいてから種を撒く準備を始めた。シャズナはそんな僕の作業を静かに見守りながら、たまに土の匂いを嗅いだりしている。

「さて、いよいよだな。」僕は種袋を取り出し、袋を開けると、そこから小さな黒い種が顔を覗かせる。ラベルに書かれた通り、これが「ナイトフィーン」だ。黒い花が咲くというこの植物を、どう育てるべきか少し考えながら、慎重に土に埋めていく。

シャズナは時折土の上を歩きながら、「にゃー」と鳴き、僕に向かって顔を見せる。まるで「上手くいくといいね」とでも言っているかのようだ。その度に、僕は「ありがとう、シャズナ。」と微笑んで応える。

ナイトフィーンの種をすべて撒き終えると、次にしっかりと水を与え、土を押さえるように手で軽く押して、種をしっかりと土に定着させた。

「これで、しばらくは様子を見るだけだな。」僕はシャズナに語りかけると、彼は再び耳をピクピクと動かして、何かを感じ取ったのか、目を輝かせた。どうやら、シャズナも新しい挑戦が始まったことを喜んでいるようだ。

昼食を取る時間になり、僕たちは農作業を終えて家に戻った。お弁当を広げると、シャズナはおにぎりを嬉しそうに食べ始め、僕もその横でおにぎりを口に運ぶ。穏やかなひとときが広がる。

「さて、午後も農場を見守りながら、ゆっくり過ごすか。」食事を終え、僕はシャズナと一緒にもう少し畑を見回り、ナイトフィーンが無事に育つように気をつけながら過ごすことにした。

秋の空気が漂い始め、これからどんな農作物が収穫できるのか、またどんな新しい挑戦が待っているのか、僕たちにとって楽しみな日々が続いていく。