のほほん異世界暮らし

220 風呂と夜

夕食を終え、食器を片付けた後、ふと時計を見るとお風呂の時間が近づいていた。僕は風呂の支度を始めようとキッチンから移動すると、すぐさまシャズナが足元についてきた。その姿を見て、思わず笑ってしまう。まるで「僕も一緒だよ」とでも言いたげに、足取りは軽やかで、目はキラキラと輝いていた。

浴室に入り、給湯用の水道からお湯が勢いよく流れ出すと、シャズナは小さく「にゃー」と鳴き、首をかしげてその様子をじっと見つめた。その姿はまるでこの謎めいた現象を解明しようとしているかのようで、愛らしい好奇心に胸が温かくなった。湯気がふんわりと立ち上り、浴室が徐々に温もりを帯びていく中、シャズナは一度振り返って僕を見上げ、さらに「にゃー」と短く鳴いた。

お湯が十分に張られると、シャズナと一緒に浴室へ入った。シャズナはお風呂が好きで、お湯に浸かるとしっぽをゆっくりと動かしながら気持ち良さそうに目を細める。その姿を見ていると、一日の疲れが少しずつ癒されていくようだった。僕も自分の髪と身体を洗い、湯船にゆっくりと浸かりながら、その日の出来事を思い返していた。

風呂から上がると、シャズナはタオルで優しく拭かれながら、小さく「にゃー」と満足げに鳴いた。僕がふわふわのタオルで身体を拭いていると、彼は先に脱衣所を出て、窓辺に向かった。その先には夜の静けさに包まれた風景が広がっていた。月明かりは雲一つない空に浮かび、淡い光を地上に投げかけている。シャズナは窓辺に座り、その美しい夜景をじっと見つめていた。

窓越しの月明かりがシャズナの毛並みを柔らかく照らし、彼の目は夜の静寂と光を映していた。僕はその姿をしばらく眺め、やがて隣に座って同じ景色を見つめた。月光はどこか神秘的で、心の中に安らぎを運んでくれる。シャズナがそっと顔をこちらに向けて、「にゃー」と小さく鳴いた。まるでこの美しい夜を共に過ごせることに感謝しているようだった。

その声を聞いて、僕も「今日もありがとう、シャズナ」と心の中でそっとつぶやいた。風呂上がりの温もりと月の光が僕たちを包み、夜は静かに深まっていった。