のほほん異世界暮らし

みなと劉

文字の大きさ
上 下
52 / 669

52 新しい収穫祭の計画

しおりを挟む
村で菜種油の活用法が広まり、生活に新たな風が吹き込まれたことで、村人たちの間に感謝の気持ちが高まっていた。そこで、村長が提案したのは、菜の花と菜種油を祝う新しい収穫祭だった。

「菜の花を育て、菜種油を作り、それを食事や生活に活かせるようになった。この恵みをみんなで祝い、感謝の気持ちを表す収穫祭を開こう!」

村長の言葉に村人たちは賛同し、さっそく準備が始まった。僕もこの祭りを成功させるために、みんなと一緒にアイデアを出し合った。

「せっかくの収穫祭だし、みんなで一緒に楽しめる料理を作るのはどうだろう?」

僕の提案で、菜種油を使った料理の出店が開かれることになった。各家庭で自慢の料理が並ぶ予定で、菜種油を活かしたさまざまなメニューが計画された。例えば、風花草と野菜をたっぷり使った炒め物、香ばしく焼いたパンケーキ、そしてサクサクの揚げ物も登場することになった。

さらに、収穫祭を彩るために、村の子どもたちと一緒に菜の花で花飾りを作ることにした。村中に黄色の花が咲き誇り、菜の花畑を再現するように道や会場が飾りつけられる様子は、きっと見事だろう。

「収穫祭の最後には、菜種油を奉納して、感謝の気持ちを神様に伝える儀式も行おう」

村長がそう言うと、村の大人たちが集まり、神殿での奉納儀式の準備も始めた。僕も手伝いながら、収穫の喜びと菜種油の恩恵に感謝する気持ちを胸に抱いていた。

収穫祭当日、村中が活気で溢れていた。香ばしい菜種油の匂いが広がり、村人たちは思い思いに料理を楽しみ、笑顔で会話を交わしていた。子どもたちは菜の花の冠をかぶり、会場を走り回って遊んでいる。

「この菜種油のおかげで、村はますます豊かになったな」

村人たちは口々にそう言い、みんなで感謝の気持ちを分かち合っていた。村長も満足げにうなずき、村がひとつになっている光景を見守っている。

収穫祭の最後に、村の代表者が神殿で菜種油を奉納し、感謝の言葉を述べた。その姿を見守りながら、僕も心の中で神様への感謝を祈っていた。

「この恵みをいつまでも大切にしていきますように」

収穫祭は村の新たな伝統となり、これからも続いていくだろう。村人たちが協力し、喜びを分かち合いながら生きていく――そんな温かい未来を感じた僕は、これからも自然と共に生きることを誓い、新たな一年に向けての準備を始めるのだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます

ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。 何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。 生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える そして気がつけば、広大な牧場を経営していた ※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。 7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。 5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます! 8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる

みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」 濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い 「あー、薪があればな」 と思ったら 薪が出てきた。 「はい?……火があればな」 薪に火がついた。 「うわ!?」 どういうことだ? どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。 これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

幼女に転生したらイケメン冒険者パーティーに保護&溺愛されています

ひなた
ファンタジー
死んだと思ったら 目の前に神様がいて、 剣と魔法のファンタジー異世界に転生することに! 魔法のチート能力をもらったものの、 いざ転生したら10歳の幼女だし、草原にぼっちだし、いきなり魔物でるし、 魔力はあって魔法適正もあるのに肝心の使い方はわからないし で転生早々大ピンチ! そんなピンチを救ってくれたのは イケメン冒険者3人組。 その3人に保護されつつパーティーメンバーとして冒険者登録することに! 日々の疲労の癒しとしてイケメン3人に可愛いがられる毎日が、始まりました。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...