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76話

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「えっとぉ~皆さんはじめましてぇ。わたしの名前は 東条 楓 といいますぅ。これからよろしくお願いしますねぇ~」
と言った。
するとクラスの男子たちが一斉に騒ぎ出した。
「キャー カワイイー」
「やばっ 何この子可愛すぎるっしょ」
などといった声が聞こえる。
そんな中、真司はというと、
(うっそだぁーー!!!! 俺がこの世界に来てからまだ2時間くらいしか経ってないんだぞ! なのになんで俺より先にこの世界に来てんの?おかしくね?)
という疑問を抱いていたのだが、この考えは後に間違っていないことを知ることになる。
そして、真悟はというと、
(えっ ちょっと待ってどういうことなの?俺がここに来る前に会っていた女の子が何故か目の前にいるんですが?しかもなんか俺の方をじっと見つめてきているし。いや、でもあの子は確かあの時「また会う日が来るかも知れませんね」
って言ってたし、きっと偶然だよな?それに今はそんなことを考えている場合ではないんだよな、だってこの後すぐにホームルームが始まってしまうわけだし。でも一体何を話せばいいんだよー。
いや待てよ、
そういえば、自己紹介をするって言っていなかったか?
もしそうなったら名前を言うだけなので大丈夫か? うん多分きっとそうだ。
よし、なんとかなるはずだ)
とこの時までは全くと言っていい程何も考えてはいなかった。
そして先生が口を開いた。
「よし、みんな席についたな。では、まずは簡単に学校の説明をしていこうと思う。」
「今日はまず、一時限目は、授業はなく、学校内の施設についてやその他諸々について説明するから安心してくれ。」
では次に二限目のチャイムが鳴るまでの間に自己紹介をしてもらう。ちなみに順番とかは特に決めていないから好きな人から順番に頼むぞ」
と言うと皆席を立ち次々に自己紹介をしていった。
「じゃあ次は私からですね、私は西城 花音と言います。好きな食べ物は甘いものです。これから1年間宜しくお願い致します。」
「じゃあ次、俺ね、俺は桐谷 勇斗って言うんだ。
得意なことはサッカー、苦手なものは運動全般かな。部活はまだ決まってはいないけど一応サッカー部に入ろうとは思ってる。こんな感じで、どんどんやってくから。
まあ、気軽に接してくれると嬉しいぜ。」
とまあこのような形で進んでいき遂に真司の番になった。
「じゃあ次の人、前へ出てくれ」
と言われて渋々立ち上がり、教壇へと向かい、そして、こう言った。
「はい、僕は新藤 真司です。僕には夢があります。それはいつか小説家になること。そして自分の書いた小説を多くの人に読んでもらいたいと思っています。だから皆さん応援して下さい! 以上!」
と言って席に戻った 真治は、正直なところ緊張していた。
それもそのはず なにせ自分にとっては人生で初めての出来事なのだ だから仕方がないと言えばしょうがないことである すると真司はふと思い出したかのように後ろを振り返り優斗の様子を見ようとした しかしそこには優斗の姿はなかった そこでようやく思い出した
(あ、あいつは何処に行ったんだ? もしかしたらトイレにでも行ったのか?それとも、もう教室から出て行った?まあ、どちらにせよ今更どうすることもできないけどな。)
とそんなことを思いながら時間が過ぎていき、ついに終わりのチャイムが鳴ってしまった。
「じゃあ今日の予定はこれで全て終わった。明日は入学式だから忘れないようにな。あと最後に一言、皆、仲良くするように。では解散。」
こうして真治達の新たな生活が始まった。
その日の放課後 真治達は、帰りのHRが終わった後に教室で集まっていた。
理由は簡単、ただ単に真治がクラスメイト達と親睦を深めたかったからである。
「よっしゃ これでやっと帰れるか、もうすぐ5時半か、意外と早いもんだな。」
「そうだな、にしてもまさか俺が転校生と同じクラスになるとはな。全く予想外だったな。」
「うん、本当にそうだよね、まさか転校生が僕の幼馴染だったなんてね、びっくりしちゃった。でもさ、まさかあの子があんな可愛いとは思わなかったけどね。あんな子と友達になれて、しかも同じ学校に通えるだなんて幸せだなぁ」
「あ、ああそうだな。確かにな。」
「あれれぇ~真司くんどうしたのぉ~元気ないな~。それに何か変な汗が出てるよぉ~。」
「えっ、そ、そんなこと無いぞ。べ、別になんでもねえよ。そ、それより早く帰ろうぜ。」
と言ったその時、
「おーい ちょっといいか?」
と突然声をかけられた。
真司達が振り向くとそこに居たのは担任の
佐藤だった。
「あっ はい どうかしましたか?」
と真司が答えると
「おう 実はお前達に少し頼みがあるんだがいいか? もちろん断ってくれても構わないんだが。」
と言われたがその時真悟が答えた
「はい いいですよ。」
「おお そうか、ありがとな。」
と嬉しそうな顔をしている。だが、
「えっ? マジで受ける気なのか?だって俺たちまだ知り合ったばかりだろ?もう少し相手のことを知ってからの方がいいんじゃねーか?それになんか嫌な予感もするし……」
と不安そうな顔をしながら聞いてきた。だが、その質問に対して、
「ええ?大丈夫だって、だってこの人がわざわざ頼んできたってことは、よっぽど困っていることだと思うんだよ。
だからここは受けておくべきだと思うんだよ。それにもし危なくなったらすぐに逃げればいいだけの話なんだしさ。ね?いいでしょう先生。」
と答えた。すると先生は、納得してくれたようで
「分かった。そこまで言うなら任せるとするか。
では早速本題に入るが、今日はこのまま帰るとして明日からこの4人で登下校を共にして欲しいんだよ。まあ簡単に言えばボディーガードみたいなものだな。それと、なるべく一緒に行動していてくれ。よろしく頼むぞ。」
と言ってどこかに行ってしまった。
「ええええええ!?」
4人の叫び声がこだました。
翌日 いつものように朝6時に目覚ましが鳴り、目を覚ました真悟はリビングに降りていった。そこには既に両親が起きており朝食を食べていた。
「おはよう。」
と言いながらテーブルの椅子に座ると
「あら、随分早起きじゃない。」
と母さんが言った。そして続けて父さんの方に視線を向けると
「珍しいな、一体どうしたんだ?」
と不思議そうに言ってきた。それに対して俺は、
「ん?まあ、なんとなくだよ。」
とだけ言って、トーストを口に運んだ。
そして食べ終わると歯を磨いて、身支度を整えてから学校へと向かった。
「行ってきまーす」
と言って家を出た。
しばらく歩いていると前方に見覚えのある姿が見えた。
それは紛れもなく真司と優斗であった。
2人はこちらに気付いたのか手を振っていた。
真司が口パクをして
「こっちに来い」
と言っているようだったのでとりあえずついていくことにした。
「おっはよ~」
真司は元気よく挨拶をしてきた。
「あ、ああ おはよう」
真司の後ろにいる優斗の方を見ると、どうやら俺のことを見ているようだ。
俺はその目線から逃げるように、
「あ、あのさ、今から学校に行くわけだけど、どこに向かってるんだ?」
と聞くと、真司は
「えっとね~ まずは職員室かな。」
と答えてくれた。
「え?何でまたそんなところに?」
と聞き返すと、
「いや、ほら昨日先生に頼まれただろ?だから、そのことを報告しに行こうと思ってな。」
と返された。
「なるほどな。まあいいけどよ。」
それからしばらくして、 ようやく着いたみたいだ。
「失礼します。2年A組の新藤です。」
「同じく西城です。」
「桐谷で~す。」
と3人揃って言った。すると奥から担任の佐藤が出てきた。
「おう 来たか。」
「はい、それで報告なんですけど、今朝の登校中に不審者に襲われまして、なんとか撃退することができました。」
「おお、そうか。それなら良かった。」
「はい、ありがとうございます。」
「ところで、不審者はどんな奴だったんだ?」
「えーと、身長は180cmくらいで、体格は痩せ型で、年齢は20代後半といった感じでした。」
「ふむ、なるほどな。ちなみにそいつの顔とかは見たのか?」
「いえ、フードを被っていましたので顔までは確認できませんでした。」
「そうか、分かった。じゃあもう帰っていいぞ。」
「はい、では失礼しました。」
こうして俺達は無事に帰ることができた。
その日の放課後
帰りのHRが終わった後、皆それぞれ帰ろうとしていた時、突然教室のドアが開いた。
そこには1人の女子生徒が立っていた。
「えーと、あなたが真治くん?」
と聞かれたので
「え?あ、はい そうですが……」
と答えると、
「ちょっと来てくれない?」
と言われてしまったので仕方なくついて行くことにした。
連れて行かれた先は、体育館裏だった。
「あのー こんなところまで連れてきて一体何をする気ですか? 」
と聞くと、彼女はいきなり俺の頬をビンタした。
「痛っ!」
「あんたのせいで私は大恥かいたのよ!責任取りなさいよね!!」
と怒鳴られたので、
「いや、そんなことを言われても困りますよ。それに、そもそもあなたのことなんて知りませんし。」
と答えると、今度は平手打ちではなく拳が飛んできた。咄嵯に避けようとしたが間に合わずモロにくらってしまった。
「ぐはぁッ」
そのまま倒れ込んでしまった。
すると、彼女が近づいてきて、
「あら、まだ意識があるんだ。でもこれで終わりね。」
と言いながら蹴りを入れてきた。
だが、その瞬間、
「やめろぉ!!!」
という声が聞こえたかと思うと、誰かが走ってきて俺を突き飛ばした。
(なんで俺を突き飛ばした!?)
「大丈夫かい?真悟君。」
「ああ、助かったぜ。」
「おいお前、これはどういうことだ!?」
と真司が聞くと、
「ふん、邪魔が入ったわね。まあいいわ。今日の所は見逃してあげる。」
と言い残してどこかへ行ってしまった。
「ちっ、逃げられちゃったな。まあ仕方ない、とりあえず保健室に行こう。」
「ああ、そうだな。」
その後、俺は保健室で手当てを受けた後、家に帰った。
そしてその日の夜、俺は寝付けずに居間へと降りていった。
そこには両親の姿はなく、代わりに真司が座っていた
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