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54話

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その行為だけで先ほどの感触を思い出してしまい、心臓の鼓動が激しくなるのを感じた。
俺はその日、真司の事を考えるとドキドキしすぎて寝れなくなってしまったのだった……。
(あー……眠たい)
俺は大きな欠伸をしながら学校に向かっていた。
昨日の夜はあまり眠れなかったせいで、今朝もかなり眠たかった。
今日は特に何もないのでいつものように授業を受けている。
(あ……優斗だ。なんか今日も可愛……)
不意打ち気味にそんな事を考えていたら……ふと違和感を覚えた。
何故だろう。何かが違う気がする。……まあいいか。
そう考え、優斗の方を見つめていたその時……突然教室の扉が開いた。
(あれ……誰だ?)
そこにいたのは知らない女子生徒だった。
(……誰だよお前)
……なんて思いながら、彼女を見ていたのだが 彼女の視線は優斗の方に向いている。
(……まさか優斗を狙っているのか!?……いかん!!許さんぞ!!)
そんな事を考えているうちに彼女はどんどん近づいていき、遂に優斗の目の前に立つと
「ねぇ、君ってさ真司君の幼馴染なんだよね?私とも仲良くしてくれるかな?」
は?どういうことだ。意味がわからん。
「……悪いけど俺にそっちの趣味はないから」
とりあえず否定だけはしておくことにした。だけど……この女は何を思ったのか 突然優斗の手を掴むと自分の胸に押し当てた。
その行動に思わず固まってしまう。そんな様子を見て、クスリと笑うと
「真司君はこういうの好きでしょ?ほら」
と、優斗に言う。
(え?マジで何やってんのこいつ?キモいんだけど。……ってゆうか、優斗が困ってんだろ!離せよ!)
そう思って彼女を止めようとした瞬間……今度は優斗が自分の手を押しつけてきた。
(……へ?)
予想外のことに唖然とする俺。優斗は、顔を真っ赤にしながら
「わ、悪くはないと思うよ」
……と言い出した。そしてその発言に満足したかのように
「ありがとね」
と言うとそのまま何処かに消えてしまった。
……残されたのは、何が何だかわからないといった感じの真顔の俺と 頬を染めている優斗。……そして、クラス中からの注目だった。
その日の学校終わり 真司の家に向かう。俺は今日の昼休みのことについて真司に話を聞くために行くのだ。
~真司視点~ 昼休憩が終わっても俺と優斗の間には気まずい雰囲気が流れ続けていた。
俺があの時助けていれば……そんな後悔をしてももう遅い。
だけど、なんとかしなければならないと思った。だから放課後になってすぐに優斗に声をかけることにした。
そして、一緒に帰っている最中、唐突にこんなことを言ってきた。
「真司、あの時の子……どう思う?」
その質問に一瞬だけ固まる。そして少し考えたあと、こう言った。
「正直言って……わからない。ただ……一つ言えることがあるとすれば……優斗をあいつには渡したくない。……それだけだ」
その言葉を聞いて優斗が笑顔になりさらに顔真っ赤にする
(可愛いなぁ俺の彼氏は)
そんなことを考えていると、突然手を握られる。
(え?なになに?)
心の中ではそう思っていたが表情には一切出さないようにして、振り向いてみる。するとそこには、顔を真っ赤にした優斗の姿があった。
その姿を見て俺まで赤くなってしまう。
「ゆ、ゆう……」
俺の声は優斗の耳に届いてないようで、優斗は俯いているだけだった。
(え、これどういう状況?)
よくわからない状況になってしまった。
俺は少し考えると、このままではいけないと思い、優斗を誘う。
「優斗、ゲームセンター行かないか?」
「……っ……うん」
こうして、俺は初めて格ゲーというものをやった。
タイトルは『ファイナル・デスティニー』。
難易度が高く、コンボの出し方も複雑だったが楽しかった。
ちなみに結果は2勝4敗1引き分けだった。
そして、俺は家に帰ってからもその余韻に浸り続け、その日の夜は寝れなかったのであった。
それから数日、俺達はあの女について話し合っていた。
優斗曰く
「あそこまで強引な子は見たことがない」
らしい。確かに俺もあそこまでのタイプは初めてだ。……まあ俺の場合、ギャルゲーでしか見ていないからかもしれないけど……。
とにかく、俺達はこの女の正体を探るべく、ある人物の元へと向かった。
(よし、行くぞ)
俺は意を決して扉を開く。
そこに居たのは俺達のクラスの担任である、水瀬愛菜先生。
容姿端麗でありスタイル抜群だが、いつもぼーっとしているせいかあまり目立たない人だ。
「あら、如月君に神無月君。どうしたの?」
「あ、ちょっと相談したいことがあってですね」
そう言うと彼女は納得したような様子を見せ、席に着くように言われた。
俺達はそれにしたがって座ると早速本題に入る。
「実は最近変な女に付き纏われてまして……それで」
如月優斗は数日の例の女のことを打ち明ける。
神無月真司も一緒にいる理由を愛菜先生は知ってる
「ああ……そういえばそんな話を聞いたわね」
とのことだった。
(あ、やっぱり誰かが噂を流してるって確定していいかも)
そんな事を考えつつ
「で、どうすれば良いと思いますか?」
と聞いてみた。
すると……
「んー、それってその子のこと好きなんじゃないの?(笑)」
と言われてしまった。
(はあ……そういう感じですか……)
「冗談よ……神無月くんは如月くんを取られたくは?」
「取られたく無いです!!当たり前です!」
「いい彼氏持ったわね……てかどっちも彼氏か」
「「あ……どっちも彼氏ですね」」
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