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14話

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だがミリアはそんな彼を見下ろしながら言う。
「そうだね……でもこれは全部私の責任だから。だから最後まで責任を取るつもり」
するとその時、ギルバートの身体に変化が訪れる。その目は先程までの青色から赤色へと変化した。
(そうか……これが君の決意か。ならばもう何も言うまい。僕は君の選んだ道を信じるだけだ。君の意志を継ぐ者として。僕は最後の時まで君のそばに居続けよう。たとえそれがどんな結果を招くとしても……)
「そうか……」
彼の言葉を最後に静寂が訪れる。するとその直後、突然、クレアの足元が輝き始めた。
「うわぁっ!?」
驚いているうちにクレアの身体は光の渦に呑み込まれていく。
「ミ……リア…….ごめん……なさい……」
最後に彼女の口から発せられた言葉を聞いた後、光は一気に強くなり辺り一帯を埋め尽くした。
光が収まった後には誰も残っていなかった。
----------
そして、現在。
場所は移り変わり学園の地下にある部屋。そこでは三人の男女が向かい合っていた。一人はギルバート。そしてもう一人は白衣を着た若い男性だ。男性はギルバートに問いかける。
「それでは聞かせてもらえますかね?貴女のことを。もちろん包み隠さず全てですよ?」
それに対し、彼女は無言のままコクリと首を縦に振る。
「よろしい。では、まず最初に聞きたいのは……なぜあんな真似をしたのですか?」
その質問を受けたギルバートの眉がピクリと動く。
「どういう意味でしょうか?」
すると白衣の男はわざとらしくため息をつく。
「そのままの意味ですよ。どうして貴女の魔力を抑え込んだのです?それもこんな小さな女の子をわざわざ眠らせてからなんて……実にナンセンスですねぇ。まあ私はそういうの嫌いじゃないんですけどね」
(やはりこの男……侮れないな)
「それは、あなた方が一番よく知っているでしょう?下手をすれば、この子が死んでいたかもしれないんですよ?そんな危険がある中で魔法を使うほど馬鹿ではありません」
その言葉を聞くと、男はニタニタとした笑みを浮かべる。
「ほほう。つまり、彼女が生きているということはそういうことでいいですね?そうでなければ困りますが」
ギルバートはその表情を見て、心の中で舌打ちをする。
(相変わらず気持ちの悪い奴だ)
「えぇ。そういうことになりますね」
ギルバートは男の方をまっすぐに見つめながら言う。すると、その様子を見兼ねたように白髪混じりの初老の男性が言った。
「おい、そこまでにしとけ」
「ん?ああ、すみません」
白衣の男はそれを聞いてすぐに引き下がる。
「さて、次はわしの話に付き合ってもらおうかな」
そう言いつつ、初老の男性は鋭い眼差しでこちらを見据えてくる。
「ギルバート殿、単刀直入に聞こう。貴女は何者なのだ?」
その問いに対し、ギルバートは無言を貫く。
(この人を相手に誤魔化すのは無理だろうな……)
そう考えたギルバートは、覚悟を決める。
(ならば、ありのままを話すしか無い。ミリアのためにも)
そしてギルバートは全てを打ち明けた。ミリアの正体についてはもちろん伏せた上で。
その話を聞き終えた二人はしばらく沈黙した後、初老の男が口を開く。
「まさか半妖の娘がこの学園に紛れ込んでいたとは…….いやはや、世の中は広いのう」
そう言って感慨深げに天井を見上げる。
一方、若い方は腕組みをしながら考え事をしていた。
「しかし、そう考えると今回の一件は本当に幸運でしたね。まさか彼女が半端者の血を引いていたなんて……いや、むしろそれを利用できればこれほど大きなリターンは無い。これは面白いものが見られそうだ……」
そう言うと今度はギルバートの方へ目を向ける。その視線を感じた彼女は顔を背ける。
(やっぱり嫌な予感は的中してしまったようだな……)
そんなギルバートに対して、男は微笑む。
「いやいや、そんな怖い顔しなくても大丈夫ですよ。私たちはただの協力者なので。別に何かするつもりなんてありません。ただちょっと気になっただけでして。ふっふっふ、私にも研究者の血が騒ぐというものがありましてねぇ」
「お前の場合、ただの好奇心というやつだろ」
「いえ、違いますよ。興味本位というのは、時として思わぬ発見をもたらしてくれるものです。それは私の専門分野とも関係することですから。ところでギルバートさん、もしよろしければこの後お時間ありますか?ぜひ一緒に夕食でもいかがですか?」
そう言うとその男性は手を差し出してくる。だがギルバートはそれを握り返さない。
「結構です」
「それは残念。ならまた機会があれば、その時に。ああ、ちなみにミリアちゃんは私の知り合いに預かってもらうことになっていますので、安心してください」
「……..」
それを聞いたギルバートは黙ったまま立ち去ろうとする。だが、途中で足を止めると振り返らずに言った。
「ミリアに……彼女にはもう手を出さないと約束してくれますか?」
それに対して、白衣の男は自信満々に答える。
「はい、お任せください」
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