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10話
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彼の言葉を聞いてミリアは顔から火が出そうになるほど恥ずかしくなる。
一方クレアは満面の笑みで答える。
「はい!ミリアと私は相思相愛の恋人同士です!」
その言葉を聞いたミリアはますます赤面してしまう。
だが、それとは対照的にクレアは嬉しそうに笑っている。
「まあ、よかったな。それで、今日はどうするつもりなんだ?」
その質問にクレアはすぐに答えようとしたが、それを遮るようにミリアが口を開く。
「せっかくだし街を案内しますよ」
ミリアはクレアに気を使って提案した。するとそれに便乗するようにギルバートが提案する。
「そうか、じゃあ俺もついて行くぜ」
「ダメです!!」
ミリアとクレアが同時に叫ぶ。
「なんでお前まで断わるんだよ」
「それは……とにかく嫌なんです!」
ミリアは必死で反論するが、それに対してクレアが言い放つ。
「ミリアが言うなら、私はそれでもいいよ」
その発言を聞いたギルバートがニヤリと笑う。
「おい、クレア。今の発言を聞いたろ? こいつらが俺を嫌う理由は……」
するとクレアは何かを思い出そうとしている様子だった。
「うーん……あっ、そういえば」
「ん、なんか思い出したのか?」
ギルバートの問いに対して彼女はゆっくりと首を縦に振る。
その表情はなぜか悲しげだった。
「実は私、ギルさんのことが嫌いです」
「なんでだよ」
ギルバートはショックだったのかその場で立ち尽くしていた。
その姿を見てミリアたちは思わず吹き出してしまった。
その後、三人組は街へ出かけることにした。
そして、まず最初にやってきたのは洋服店だった。
店内に入ると店員がこちらの存在に気がつき、近づいてくる。
「いらっしゃいま……あれ、ミリア様?」
「久しぶりですね、エレナさん」
彼女はエレナという名前で、かつてミリアがこの街に滞在していた頃よく世話になっていた人物だった。
ちなみに彼女がミリアのことを呼び捨てにしているのは、当時、年下にもかかわらず敬称をつけるのは変だからという理由でお互い呼び合うことになったからだ。
ミリアの方は敬語を使うことがあまり得意ではなかったため、彼女の意見に乗っかる形で、普段からもそのように呼ぶようになったのだ。
「本日はどのようなご用件でしょうか」
「この子の服を買いに来たの」
ミリアはそう言うと隣にいたクレアの手を引く。
「はじめまして、クレア・フローラルトと言います」
「これはご丁寧にどうも。私はエレナと申します。ミリア様とは長い付き合いで、現在は店主を務めさせていただいております」
二人の自己紹介が終わると早速、商品選びが始まる。しかしそこで問題が発生した。
それは彼女の体型が小柄であるためサイズがないということだった。
(しまった……私、全然女の子らしくないし、クレアもそういうの気にしないから失念してた……)
ミリアは自分のことを責めていた。すると、そんな様子を見かねてか、あることを思いついたクレアが手を挙げる。
「あの、少し聞きたいことがあるのですけど」
「はい、何でしょう?」
「女性ものの下着を売っている場所ってどこですか?」
「えっ……」
予想外の発言にその場の空気が凍りつく。
「ちょ、ちょっとクレア……いくらなんでもその発言はまずいんじゃない……?」
ミリアは慌ててクレアを止める。すると彼女は不思議そうな顔をする。
「だって、無いものは仕方ないじゃん」
彼女は堂々と言い放った。
その発言にギルバートは腹を抱えて笑い出した。
一方のエレナはとても気まずそうだ。
そして、ついに耐えきれなくなった彼はクレアに尋ねる。
「えっと、お前女なのに、今まで男用のやつ着てたわけか?」
その質問に対して彼女は答える。
「別に男の格好をしてたわけではないですよ。ただ動きやすい服装が欲しかっただけです」
「そ、そうなのか……」
それを聞いたギルバートは安心していたが、今度はミリアの方が頭を抱えていた。
(ああもう、クレアってこういう所があるんだよなぁ……。でもまあ今回は私が悪いよね。私がクレアの体格をきちんと把握できてなかったせいでこんなことになっちゃったんだもん……ここは素直に謝ろう……)
「ごめんね、クレア……」
「どうしてミリアが謝るの?」
「その……クレアの体型をしっかりと見てなくて……」
ミリアが謝罪の言葉を口にすると、クレアは首を横に振った。
「違うよ、悪いのは私だよ。私のせいで迷惑かけちゃってごめんね……」
「いや、そんなこと……」
「いえ、私も配慮が足りませんでした。申し訳ありません」
ミリアに続いてエレナも謝罪した。
結局、三人で相談した結果、後日また来ることになった。
その後、次にやって来たのは食料品を扱う店だった。
ここでは保存食を大量に買い込んでいた。
そして買い物を終えると昼食をとるために街を歩いていた。するとクレアがあることを思い出す。
「そういえば今日ってお祭りの日だよね!」
「うん、そうだよ。よかったら行ってみる?」
するとクレアは嬉しそうにうなずいていた。
一方クレアは満面の笑みで答える。
「はい!ミリアと私は相思相愛の恋人同士です!」
その言葉を聞いたミリアはますます赤面してしまう。
だが、それとは対照的にクレアは嬉しそうに笑っている。
「まあ、よかったな。それで、今日はどうするつもりなんだ?」
その質問にクレアはすぐに答えようとしたが、それを遮るようにミリアが口を開く。
「せっかくだし街を案内しますよ」
ミリアはクレアに気を使って提案した。するとそれに便乗するようにギルバートが提案する。
「そうか、じゃあ俺もついて行くぜ」
「ダメです!!」
ミリアとクレアが同時に叫ぶ。
「なんでお前まで断わるんだよ」
「それは……とにかく嫌なんです!」
ミリアは必死で反論するが、それに対してクレアが言い放つ。
「ミリアが言うなら、私はそれでもいいよ」
その発言を聞いたギルバートがニヤリと笑う。
「おい、クレア。今の発言を聞いたろ? こいつらが俺を嫌う理由は……」
するとクレアは何かを思い出そうとしている様子だった。
「うーん……あっ、そういえば」
「ん、なんか思い出したのか?」
ギルバートの問いに対して彼女はゆっくりと首を縦に振る。
その表情はなぜか悲しげだった。
「実は私、ギルさんのことが嫌いです」
「なんでだよ」
ギルバートはショックだったのかその場で立ち尽くしていた。
その姿を見てミリアたちは思わず吹き出してしまった。
その後、三人組は街へ出かけることにした。
そして、まず最初にやってきたのは洋服店だった。
店内に入ると店員がこちらの存在に気がつき、近づいてくる。
「いらっしゃいま……あれ、ミリア様?」
「久しぶりですね、エレナさん」
彼女はエレナという名前で、かつてミリアがこの街に滞在していた頃よく世話になっていた人物だった。
ちなみに彼女がミリアのことを呼び捨てにしているのは、当時、年下にもかかわらず敬称をつけるのは変だからという理由でお互い呼び合うことになったからだ。
ミリアの方は敬語を使うことがあまり得意ではなかったため、彼女の意見に乗っかる形で、普段からもそのように呼ぶようになったのだ。
「本日はどのようなご用件でしょうか」
「この子の服を買いに来たの」
ミリアはそう言うと隣にいたクレアの手を引く。
「はじめまして、クレア・フローラルトと言います」
「これはご丁寧にどうも。私はエレナと申します。ミリア様とは長い付き合いで、現在は店主を務めさせていただいております」
二人の自己紹介が終わると早速、商品選びが始まる。しかしそこで問題が発生した。
それは彼女の体型が小柄であるためサイズがないということだった。
(しまった……私、全然女の子らしくないし、クレアもそういうの気にしないから失念してた……)
ミリアは自分のことを責めていた。すると、そんな様子を見かねてか、あることを思いついたクレアが手を挙げる。
「あの、少し聞きたいことがあるのですけど」
「はい、何でしょう?」
「女性ものの下着を売っている場所ってどこですか?」
「えっ……」
予想外の発言にその場の空気が凍りつく。
「ちょ、ちょっとクレア……いくらなんでもその発言はまずいんじゃない……?」
ミリアは慌ててクレアを止める。すると彼女は不思議そうな顔をする。
「だって、無いものは仕方ないじゃん」
彼女は堂々と言い放った。
その発言にギルバートは腹を抱えて笑い出した。
一方のエレナはとても気まずそうだ。
そして、ついに耐えきれなくなった彼はクレアに尋ねる。
「えっと、お前女なのに、今まで男用のやつ着てたわけか?」
その質問に対して彼女は答える。
「別に男の格好をしてたわけではないですよ。ただ動きやすい服装が欲しかっただけです」
「そ、そうなのか……」
それを聞いたギルバートは安心していたが、今度はミリアの方が頭を抱えていた。
(ああもう、クレアってこういう所があるんだよなぁ……。でもまあ今回は私が悪いよね。私がクレアの体格をきちんと把握できてなかったせいでこんなことになっちゃったんだもん……ここは素直に謝ろう……)
「ごめんね、クレア……」
「どうしてミリアが謝るの?」
「その……クレアの体型をしっかりと見てなくて……」
ミリアが謝罪の言葉を口にすると、クレアは首を横に振った。
「違うよ、悪いのは私だよ。私のせいで迷惑かけちゃってごめんね……」
「いや、そんなこと……」
「いえ、私も配慮が足りませんでした。申し訳ありません」
ミリアに続いてエレナも謝罪した。
結局、三人で相談した結果、後日また来ることになった。
その後、次にやって来たのは食料品を扱う店だった。
ここでは保存食を大量に買い込んでいた。
そして買い物を終えると昼食をとるために街を歩いていた。するとクレアがあることを思い出す。
「そういえば今日ってお祭りの日だよね!」
「うん、そうだよ。よかったら行ってみる?」
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