花屋のラジオ

みなと劉

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第二章:心のすき間

第23話:花かごが紡ぐ夢

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花屋「花かご」は、ただ花を売る場所ではなかった。千代にとって、この小さな店は母の思い出を守り続ける場所であり、訪れる人々の心に小さな夢を与える場でもあった。

ラジオからは今日も懐かしい昭和歌謡が流れている。その旋律が花々の香りと溶け合い、店内はどこか温かな空気に包まれていた。

「千代さん、この花を贈る相手、喜んでくれるかな。」

青年が慎重に包みを仕上げながら、少し照れくさそうに聞いてきた。千代は微笑んで答える。

「花は、その気持ちをそのまま届けてくれますよ。相手の方にも、きっと伝わるはずです。」

青年はその言葉に頷き、包んだ花束を持ってカウンターに置いた。そこにまた別の客がやってくる。

「千代ちゃん、この店に来ると、不思議と元気が湧いてくるよ。花を見ると、なんだか自分の夢を思い出すんだ。」

常連の女性客がそう言いながら、小さな鉢植えを手に取る。その言葉に千代の胸がじんわりと温かくなった。

母がこの店を始めた理由。それは、花を通じて人々の心を繋げ、日々の生活に小さな夢や希望を与えたいという思いだった。今、その思いは確かに受け継がれている。

「夢を与える仕事か…。」

青年が小さく呟いた。千代はその言葉に頷きながら、ラジオの音量を少し上げた。流れてくる曲が、店内の空気をさらに柔らかくしていく。

「この店には、人を笑顔にする力がありますね。」

青年の言葉に、千代は答えた。

「それはきっと、花とラジオのおかげです。そして、この店に来てくださるお客様のおかげでもあります。」

ラジオが奏でる歌声とともに、花かごは今日も人々の心を紡ぎ、夢を届け続けていた。

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