音と若者と音楽

まだ音楽という概念が存在しない世界。

人々は音の中に美を見出すことなく、ただの情報や自然現象として受け止めていた。風が木々を揺らす音、川のせせらぎ、鳥の鳴き声も、何かを感じ取ることなく過ぎ去る日々。

しかし、ある日、村の外れに住む一人の若者が、音に対して不思議な感覚を抱く。

「この響きには、何かがある……」

そうつぶやいた彼は、音の魅力に取りつかれ、周囲の人々から奇異な目で見られながらも、自分の中に芽生えた「音の力」を信じ、探求を始める。

その若者、カイは、自然の音を真似し、石や木の棒を叩き合わせることで新しい響きを生み出し始める。彼が作る不思議な「音」は、少しずつ周囲の人々の心に変化をもたらしていく。
やがてその音が持つ力は、人々の感情を動かし、心をつなぐ大きな原動力となる。こうして、音楽という新たな芸術がこの世界に誕生する。