異世界でコンビニ経営したらなんか騎士様やら魔物やらも買い物にきた！？

第百四十七話：ダンスする牛魔物と謎のリズム

ある日、異世界コンビニ「ワンダー」はいつも以上に騒がしかった。店内には賑やかな音楽が響き渡り、その中心には、異様なまでにリズム感を持つ巨大な牛魔物、名をミルムーが、軽やかにダンスをしていた。

「ねえ、店長！あれ、なんなの？なんで牛魔物が踊ってるの？」とアルバイトのエルフ娘、リリアが困惑顔で問いかけた。

「いや、俺もわからん。ただ、朝から急に音楽が流れ出して、そしたらあいつが踊り始めたんだ」と店長は頭を抱えながら答えた。

ミルムーはその大きな体を信じられないほど滑らかに動かし、ヒップホップ風にターンを決めたり、驚くべきバレエジャンプを披露していた。他の騎士たちや魔物たちは商品を選びながら、その異様な光景を一心に見つめていた。

「ほら、見て！あの牛魔物、ムーンウォークしてるぞ！」と騎士の一人が叫び、仲間と笑い転げた。

突然、店内の自動ドアが開き、預言者パブテマスが登場した。彼はその様子を見て、深刻そうな顔で店長に告げる。「店長よ、これは『古のリズムの呪い』だ。この音楽を止めなければ、牛魔物は踊り続け、やがて疲れ果ててしまうだろう。」

「そんな…一体どうすれば？」と店長が訊ねると、パブテマスは微笑んで小さな笛を取り出した。「この『静音の笛』を使えば、音楽の呪いを解くことができる。」

店長がその笛を受け取り、思い切って吹くと、店内の音楽はふっと止まり、ミルムーはその場にぺたんと座り込んだ。彼は息を切らしながらも、満足げに「ふぅ、いい運動になったモォ…」とつぶやいた。

「おいおい、運動不足の解消かよ！」と店内の騎士たちは爆笑し、拍手を送った。

こうして、異世界コンビニ「ワンダー」はまた一つ、奇妙な騒動を終わらせ、伝説を更新したのだった。