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第百二十話:ドラゴンの甘いもの好き
しおりを挟むある日、コンビニのドアがガラガラと開き、店内に入ってきたのは、巨大なドラゴン。火を吹きそうな勢いで目を輝かせて、堂々と店内を見渡している。
店長が少し驚きながらも挨拶する。「いらっしゃいませ!今日は何をお探しですか?」
ドラゴンは目を細めて、まるでお宝を探しているかのように棚をじっと見つめる。やがて、彼の視線が一つの棚に止まった。そこには『ドロップキャンディー』が並んでいた。
「おお、これだ!これが欲しい!」とドラゴンが大声で叫ぶ。周囲の空気が一瞬凍りつく。
「えっ、キャンディー?」店長は驚きながらも、棚に並ぶ色とりどりのキャンディーを指さす。「ドラゴンさんがキャンディーを?」
ドラゴンはうなずく。「うむ。私、実は甘いものが大好物でな。火を吹いたり、山を荒らしたりするのもいいが、甘いものを食べている時だけは心が平穏でいられるんだ。」
店長は少し納得して、ドラゴンが手に取ったキャンディーをレジに持っていく。「確かに、このキャンディーは人気の商品ですから、気に入っていただけると思います。」
ドラゴンは不安そうに袋を見つめる。「だが、これをどうやって食べればいいんだ?私のような大きな者が食べるには小さすぎる。」
店長は少し考えてから、何かを思いついた。「それなら、アイスクリームのコーンに乗せて食べるのはどうでしょう?ちょうど良いサイズですし。」
ドラゴンは一瞬考え、顔を輝かせる。「それだ!それで決まりだ!」と元気よく頷き、すぐにアイスクリームコーンを買って、キャンディーを乗せて食べ始めた。
その姿を見た他の客たちは、驚きつつも笑いを堪えている。店長も思わず苦笑いしながら見守った。
「おいしいぞ!甘さが口の中で広がって、最高だ!」ドラゴンは嬉しそうに言いながら、アイスクリームのコーンをあっという間に食べ終え、満足げな顔をした。
「さすがだな、君の店。これからは甘いものの在庫を増やしておけよ!」ドラゴンは満足そうに言い残し、キャンディーとアイスの袋を抱えて帰っていった。
店長はその後、他の魔物たちが続々と甘いものを求めて訪れることを予感しながら、棚に『甘いものコーナー』を新たに作る決心をしたのだった。
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