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第七十四話:スマートフォンの誘惑
しおりを挟むコンビニはいつものように、騎士や魔物たちで賑わっていた。そんな中、魔法の通信機器としても知られる「スマートフォン」が話題になっていた。騎士エールが店の端でそれを手に取り、眉間にシワを寄せてじっくり見ていた。
「店長、これって本当にそんなに便利なのか?」
「そうですよ。魔法のアプリで地図や情報を瞬時に見ることができるし、遠くの人とも話せます。騎士の冒険には最適じゃないですか?」
エールは疑心暗鬼ながらも、スマホを握りしめて試しに触ってみる。すると、画面に表示された広告に目を奪われた。
「『最新の魔法剣を無料で手に入れよう!』だと!?ちょっと待て、これって怪しいぞ…」
エールの叫び声に、店内にいたオークのリュムが鼻を鳴らして笑った。
「騙されるな、エール。そういうのは大抵、魂を取られる契約がついてるもんだ。」
「リュムさん、それはさすがに都市伝説ですって。今の広告はただのゲームの宣伝ですよ。」と店長がフォローする。
その時、インキュバスのアルがスマホを見ながら軽く笑った。「エール、そんな広告に惑わされるなんて、まだまだだね。誘惑のプロとしては、もっと甘いものを見つけないと。」
エールは顔を赤らめ、「なんだと!?じゃあ、お前が使っているスマホでどんな誘惑があるか見せてみろ!」と反撃する。
アルはにやりと笑い、「いいよ。見て、この『魔界ショッピングアプリ』。最近は魔物専用の特売情報がいっぱいで、ついつい買いすぎちゃうんだ。」
「店長、こいつらスマホに夢中になりすぎて、大丈夫なのか?」と魔法使いのノームが苦笑いしながらつぶやいた。
店内では、騎士や魔物たちがスマホに翻弄される姿が繰り広げられていた。今日もまた、コンビニは不思議な賑わいを見せている。
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