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第六十八話:魔物たちの小休止

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今日はいつもと違って、店内が静かな気がする。普段から賑やかな魔物たちや騎士たちがやって来るコンビニでは、ちょっとした静けさも珍しく、何だか不安になってしまう。

「あれ?今日はどうしたんだろう?」
私はカウンターの向こうでボーッとしながら、店内を見渡した。すると、扉が開く音がして、少し控えめに歩いてきたのは…

「おっ、久しぶりだな。」

「うん、久しぶりだね。」

入ってきたのは、いつもと変わらぬ雰囲気の騎士エールだった。彼はいつもの重厚な鎧を着ているが、何だか今日はいつもよりも疲れた様子。背中を丸めて歩いてきた。

「どうしたんだ、エール。今日は元気がないように見えるぞ。」
「いや、ちょっと昨日の夜、魔物の森を探索していたんだけど、何も見つからなくてさ…」

あー、そういうことか。エールはしばしば、無駄に体力を使い果たしてしまうタイプだ。無理して冒険に出かけるから、こうなるのだろう。

「まあ、探し物をしていたなら、仕方ないな。」
「うん、まさかあんなに疲れるとは思わなかったよ。」

「おいおい、そんなにヘトヘトじゃ、飲み物でも買っていけよ。今日は新作のエナジードリンクがあるんだ。元気が出るかもしれないぞ。」

私がそう言うと、エールは少し笑いながら首を振った。

「ありがとう。でも、実は…」

「実は?」
「……実は、昨日買った魔物用のエナジードリンク、完全に味が合わなくて…」

エールが苦笑いしながら言うと、私は思わず吹き出しそうになった。

「なんだそれ、魔物用って何だ?お前、どんなものを買ったんだ?」

「いや、なんか…『魔力チャージ』って書いてあるから、これなら疲れが取れると思って買ってみたんだ。でも、飲んだ瞬間、何か変な感じがして…」

エールが首をかしげながら続けた。

「魔物用エナジードリンクって、どうしてもこってりした味がするんだよな。私、正直言って、ちょっと苦手でさ。」

「それはさすがに…」

「ああ、気を取り直して、今日は普通の飲み物を頼むよ。」

エールはしばらく悩んだ後、「普通のエナジードリンクをお願いします」と言って、カウンターに向かって歩いてきた。

「おお、それならこれが一番人気だな。」
「うん、それをください。」

そうして私はエールにエナジードリンクを渡すと、彼はすぐにそれを飲み干して一息ついた。

「うん、やっぱりこれだよな!普通の味が一番だ。」

「そうだろう。たまには、魔物専用のエナジードリンクは避ける方がいい。」

エールが元気を取り戻したのを見て、私はふと他のことを考えた。

「ちなみに、他のお客様はどうしてるんだ?」

「ん?ああ、みんなそれぞれ自分の場所で休んでるよ。ちょっとした小休止ってところだな。」

「そうか…」

ちょうどその時、店の扉が再び開き、入ってきたのは、オークのタローと、先日ポテトチップスを大量に買っていったワプスさんだった。彼らも少し疲れた様子で、まるで「お昼寝タイム」を求めるように店に入ってきた。

「おや、どうしたんだ?みんなで集まって。」
「うん、ちょっとリフレッシュしに来たんだよ。」
「もう、あんなに冒険して疲れたんだろう?」

タローが大きく息をつきながら言うと、ワプスがうなずく。

「うん、あの後、ポテトチップスの袋を片付けてたら、疲れがどっと来てさ。」

「まあ、リラックスするのも大事だ。」

その後、皆でしばらく店内で休みながら雑談をして、リフレッシュした様子でまたそれぞれの道を歩み始めた。だが、ここで一つ気づいたことがある。

「…みんな、疲れた時にこの店に来るんだな。」

私はそんなことを考えながら、店の掃除をしていた。魔物たちにとって、コンビニはただの買い物の場所以上の「癒しの空間」になっているのだろう。

そして、再び魔物たちが集まるこの店が、どんな形で彼らの生活に寄り添っていくのか、私は静かに見守ることにした。

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