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第六十三話:魔物の買い物事情
しおりを挟む今日はいつもより少し賑やかだ。店内にはたくさんの魔物たちが来て、普段の忙しさに輪をかけている。
まず最初にやってきたのは、常連の「グリフォン」だ。羽を広げながら店に入ってきて、周りの客がびっくりして後ずさりする。グリフォンはその巨大な体で、棚を揺らしながら商品を物色している。
「おい、店主。これ、いい匂いがするじゃないか。」グリフォンは店の奥から近づきながら、嬉しそうに話しかけてきた。
「はい、今日も新鮮な食材が揃っていますよ!グリフォンさん、今日は何をお探しですか?」私は笑顔で答える。
「おお、じゃあ、今日は肉が食いたいな。」グリフォンは自分の爪を鳴らしながら言った。「うちの飛行隊のみんなが腹を空かせてるから、大量に頼むぞ。」
「肉ですか…」私は頭をかきながら棚を見て、「うーん、今日のおすすめは魔界特産のステーキ肉です。少し高いですが、味は格別ですよ。」と伝える。
「おお、それがいい!」グリフォンは満足そうに頷く。「それと、ビールも頼む。」
「ビールですか…?」私は少し驚いたが、「もちろん、こちらです。魔界ビールが特に人気ですよ。」と言って、手に取った瓶をグリフォンに渡す。
「魔界ビールか…美味いのか?」グリフォンは瓶をじっと見つめながら言った。
「本当に美味しいですよ!食事との相性も抜群です。」私は元気よく勧めた。
「それなら試してみよう。」グリフォンは大きな手でビール瓶を持ち、あっという間に店内に響く音を立てて開けた。
その時、また別のお客様が入ってきた。今度は「インキュバス」だ。
「おっと、店主。お久しぶり。」インキュバスは軽やかにカウンターに歩み寄り、にっこりと微笑んだ。
「インキュバスさん、いらっしゃいませ!今日はどうされましたか?」私はいつも通り、優雅に接客する。
「うーん、今日はちょっとお菓子を買いたくてね。」インキュバスは小首をかしげながら、棚を眺めている。「甘いものが食べたくて。」
「甘いお菓子ですね、少々お待ちください。」私は即座にカウンターを離れ、おすすめのお菓子を選んで持ってきた。「こちらのチョコレートクッキーはいかがですか?魔界特製で、甘さ控えめですがとても美味しいですよ。」
「うーん、いいね!これをいただこう。」インキュバスは嬉しそうにクッキーを受け取り、「それと、何か軽い飲み物もお願い。」と言った。
「軽い飲み物…では、魔界産のフルーツジュースがオススメです。甘さがちょうどよくて、さっぱりとした味わいですよ。」
「それにしよう。」インキュバスはにっこりと笑いながら、ジュースを受け取る。「さて、今日はこれでゆっくりくつろげそうだ。」
インキュバスが帰った後、グリフォンが再び声をかけてきた。「おい、店主、これで俺の注文は全部だろうな?」
「もちろんです!お肉とビール、それにデザートも完璧ですね。」私は笑顔で答えた。
グリフォンは満足そうに頷き、「よし、ありがとう。」と言って、大きな袋を手に店を後にした。
その後も次々に魔物たちが来店し、今日もまた賑やかな一日が続いている。彼らの不思議なリクエストに応えながら、私は今日もこの不思議なコンビニの経営を楽しんでいるのだった。
店内が少し落ち着いた頃、ふと思い出す。どこかで「魔界の住人は食べ物に困っている」なんて話を聞いたことがあったが、ここで売っている商品はどれも不思議と魔物たちに人気がある。さて、次はどんなお客様が来るのか楽しみだ。
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