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第五十七話:魔法のような一日
しおりを挟む今日も静かな朝の時間が流れている。店内では、常連の騎士様や魔物たちが次々にやってきては、楽しげに買い物をしていく。そんな中、ちょっとした騒動が起きた。
店の扉がガラガラと開き、入ってきたのは初めて見る顔の魔物だった。大きな羽を持ち、火のような髪をした女性のような姿。見るからにただの客ではなさそうだ。
「すみません、ここで買い物できるって聞いたんですけど、魔王様の専用コンビニじゃないですか?」魔物は少し緊張した様子で私に尋ねる。
「ええ、もちろんどなたでもご利用いただけますよ。」私はにっこり笑って答えた。「お客様のご希望に応じて商品を取り揃えておりますので、何かお探しのものがあればお教えください。」
「本当に?魔物が来ても大丈夫なんですね?」魔物は安心した表情で言った。「実は、うちの村の魔物たちにちょっとしたプレゼントを買いたくて。」
「もちろん、魔物の方々も大歓迎です!どんなプレゼントをお探しですか?」私はその言葉にうれしそうに答える。
「それで、ここの『魔王お墨付きポーション』っていうの、何ですか?」魔物は商品棚を指差して聞いた。
「ああ、それですね。実はこのポーション、少し特別なんです。」私はそのポーションを手に取り、説明を始めた。「飲んだ後、1時間ほど超人的な力が発揮されます。でも、注意点があって、飲みすぎると逆に体力が極端に減ってしまうんですよ。」
「そんなもの、使うかもしれない場面があったら助かるわね!」魔物は少し興奮気味に言った。
「でも、極端な場面じゃない限り、日常的には使わない方がいいかもしれません。」私は苦笑いしながら注意を促した。
「じゃあ、何か他にお勧めのものは?」魔物は商品棚を眺めながら尋ねた。
「そうですね…」私はしばらく考えて、ピンと来た商品を指差した。「これ、魔法のカップラーメン。どんな魔物でも、手軽にお腹を満たせますよ。しかも、一度お湯を注ぐだけで、魔法の力で味が変わるんです。」
「味が変わるって…どういう意味?」魔物は興味深そうに聞き返した。
「例えば、この『炎のスパイシーカップラーメン』。お湯を注いだ後、少し時間が経つと、ラーメンが予想以上に辛くなります。でも、それがまたクセになる味なんですよ。」私は少しウィンクしてみせた。
「炎のラーメン!それ、面白そうね!一つください!」魔物は即決で購入を決めた。
「ありがとうございます!他にも色々ありますので、ぜひゆっくり見ていってくださいね。」私はにこやかに応対した。
しばらくして、その魔物は商品をいくつか選んで、満足げに店を出て行った。そして次にやってきたのは、いつもの頼れる騎士様、エールさんだった。
「おお、またポーションを買うのか?」私は軽く冗談を言いながら声をかける。
「いや、今日はちょっと違うんだ。」エールさんは少し恥ずかしそうに言った。「実は、最近ダイエット中でしてな。」
「ダイエット?でも、エールさん、いつも鍛えてるじゃないですか。」私は驚きつつ尋ねた。
「それが、最近ちょっと…ついつい食べ過ぎてしまって。」エールさんは、苦笑いしながら答えた。「だから、少し軽めの食事を探しているんだ。」
「なるほど、それならここの『軽やかサラダ』がおすすめですよ。」私は棚から新商品を取り出して見せた。「これ、野菜がふんだんに使われているんですが、魔法のドレッシングで味が格別なんです。」
「それ、うまそうだな!」エールさんは目を輝かせてその商品を手に取った。
「もちろん、ダイエットにぴったりなメニューも多いので、他にも気になるものがあったらお教えくださいね。」私は笑顔で答えた。
エールさんはその後もいろいろな商品を買って、ダイエット中でも満足のいく食事ができるようにしていた。
そんなわけで、今日もまた色んなお客様がやって来て、店は賑やかに、そして楽しく過ぎていった。魔物も騎士様も、みんなそれぞれの事情を持ちながら、この小さなコンビニでほっと一息ついていく。
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