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第五十二話:ポテトチップスの袋と古代遺跡
しおりを挟む今日もまた、賑やかなコンビニのレジに立っていると、騎士エールがやってきた。彼の顔はいつも通り、無駄に真面目で、どこか固い印象だが、その目に今日は明らかに何か違う光が宿っていた。
「店主、ちょっと頼みたいことがある。」エールは、何かを決意したような顔をして言った。
「頼みごと?」私は少し驚きながらも、いつもの調子で答える。「なんでも言ってみてください。」
エールは手をグッと握り、力強く言った。「実は、古代遺跡の探索に行くことになったんだ。そこでだ、どうしても君に手伝ってもらいたい。」
「古代遺跡?」私は一瞬驚きつつも、その響きに興味を引かれた。「それは面白そうですね。でも、なぜ僕に?」
「それがな、実はだ…」エールは少しもじもじしながら言う。「君の店のある物が必要なんだ。」
「ある物?」私は首をかしげながら待った。
エールは視線をそらし、そしてやや恥ずかしそうに小声で言った。「ポテトチップスの袋。」
「ポテトチップスの袋?」私は思わず大声をあげてしまう。「え、なんでそれが古代遺跡に関係あるんですか?」
「実はな…」エールは真面目な顔をして言った。「古代遺跡の入口には、かなり特殊な解錠装置があって、スキャナーに何かをスキャンしないと扉が開かないんだ。そのスキャナーがどうも、ポテトチップスの袋の素材で反応するらしい。」
「な、なんですって!?」私は目を大きく見開いた。「ポテトチップスの袋ですか?」
「そうなんだ。」エールは力強くうなずいた。「その解錠装置、普通の物質では反応しないんだが、どういうわけかポテトチップスの袋の包装が通るらしいんだ。だから、君の店のポテトチップスを持って行こうと思ってな。」
「それ、すごいですね。」私は言葉を失いながらも、ポテトチップスの袋の何がそんなに特殊なのか、全く理解できなかった。
「だろ?」エールは嬉しそうに言った。「ま、君の店にあるだろう?あの、たくさん積まれているやつ。」
「ああ、あれですね…」私は棚の方に目を向けて、一番上の棚に並んでいるポテトチップスを見つけると、少し驚いた。たしかに、あの袋の素材が何か特別なものであるとは考えにくいけど、まさか遺跡の解錠に使われるとは…。
「だから、お願いだ。少し袋を用意してくれ。」エールは期待を込めて私を見つめた。
「わかりましたけど、ポテトチップスの袋がないと遺跡に入れないなんて…本当にそれで大丈夫なんですか?」私はちょっと心配になりながらも、エールの頼みを聞くことにした。
「うん、きっと大丈夫だ。」エールは安心した顔をして言った。「まあ、万が一何かおかしなことがあったら、すぐに引き返すつもりだから。」
「それならいいんですけど…」私は少し考え、ポテトチップスの袋を手に取った。「とりあえず、これでいきますか。」
エールは嬉しそうにうなずいた。「ありがとう!君に頼んでよかった。」
そして、私はエールにポテトチップスの袋を渡し、彼が喜んで店を出て行くのを見送った。なんとも不思議な依頼だったが、無事に解錠できたら、それはそれで面白い体験になりそうだ。
「さて、あとは何かおかしなことが起きないことを祈るだけだな。」私は呟きながら、棚の片づけを再開した。
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