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第四十三話:ワプスさんの悩み事
しおりを挟む今日も平和な一日が始まった。いつものように商品を整理していると、店のドアが控えめに開いた。そこに立っていたのは、蜂のような羽音を響かせながら小柄な体を揺らしている魔物、ワプスさんだ。彼は目をキョロキョロさせながら店内を見回し、ため息をついている。
「いらっしゃいませ、ワプスさん。今日は何かお探しですか?」と声をかけると、彼はゆっくりと私の方に飛んできて、小さな声で「実はちょっと相談があってね…」と話し始めた。
「相談ですか?」と驚いて聞き返すと、ワプスさんは困った表情で頷いた。「実は最近、我が巣のハチミツが売れなくなってしまってね。みんな異世界トレンドの甘いお菓子に夢中なんだ。うちのハチミツも負けないくらいおいしいのに…」
なるほど、それは魔物の世界でも切実な問題だ。とはいえ、コンビニ店員として解決策を考えるのは新しい挑戦だ。私が腕を組んで考え込んでいると、奥で雑誌を立ち読みしていたリオネルが近づいてきた。「おや、ワプスさんの巣のハチミツはあの有名な『甘露の滴』じゃないか?あれは美味だぞ!」
「そうなんです!でも、どうやってみんなにその魅力を伝えればいいか…」と、ワプスさんは翼をしゅんと垂らした。
そこで私は閃いた。「それなら店内で試食コーナーを設けましょう!『甘露の滴』を小さなパックにして、お客さんに試してもらえばきっと評判になりますよ!」
ワプスさんの顔がパッと明るくなった。「そ、それは素晴らしいアイデアだ!ぜひお願いしたい!」
こうして、コンビニ初の試食コーナーが設けられることになった。騎士様たちや魔物たちは「何だ何だ?」と興味津々で試食に集まり、次第にワプスさんのハチミツは話題となっていった。
後日、ワプスさんは嬉しそうに巣からお礼の品を届けてくれた。彼の巣も再び活気を取り戻したそうだ。「ありがとう!これで巣の皆も笑顔でいられるよ」と感謝され、私も少し誇らしい気持ちになった。
「いやぁ、コンビニって本当に何でもあるんだな」とリオネルがしみじみ呟く中、私は心の中で「次はどんな悩みが持ち込まれるのか…」と想像を巡らせていた。
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