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第三十三話:新規顧客、登場!
しおりを挟む店内がいつものように賑わっていたある日、私はレジのカウンターに立ちながら、常連のお客様たちと軽い会話を楽しんでいた。
「今日はどんな食材をお探しですか、ゴブリンさん?」
「うん、今日は特にお腹が空いてるから、肉をたくさん買うぞ!」
「また肉ですか、コボルトさん、そんなに肉ばかり食べてて大丈夫ですか?」
「お肉は体にいいからな!」と元気よく返事をするコボルト。
そんなやり取りが続いていたその時、店の扉が「ガラガラ」と開いた。いつものように誰かが来店したのかと思ったが、ドアをくぐって入ってきたのは、見たこともない姿の人物だった。
その人物は、まるで動物のような外見をしていた。長い耳と細身の体、瞳は大きく、どこか妖精のような印象を与える。しかし、よく見ると、耳の先端が少しとがっているのだ。
「おや、これは初めて見る顔ですね。いらっしゃいませ!」
私は一歩前に出て、笑顔で声をかけた。その人物は少し恥ずかしそうに目を伏せながらも、慎重に歩み寄ってきた。
「う、うーん…これが…異世界のコンビニ?」
その人物は少し戸惑いながら言った。どうやら、こちらが異世界のコンビニであることには気づいているようだが、少し緊張している様子。
「はい、そうです! 何かお探しのものがあれば、どうぞご遠慮なくお申し付けください」
私はすかさず接客し、にっこり笑った。
その人物がようやく顔を上げると、驚いた表情を浮かべながら言った。「じゃあ、まずは、これを…」
彼は自分の背中から大きな袋を取り出し、それを私に手渡してきた。
「…これは?」
「えっと、これを買いたいんです…」
袋の中身を見て、私は一瞬目を見開いた。
袋の中には、見たこともない種類のフルーツがいっぱい詰め込まれていた。色とりどりで、どれも形が不規則で、どこか不気味な雰囲気を漂わせている。
「これ、魔界のフルーツですか?」
「違うんですけど、これ…異世界のフルーツを探していたんです」
その人物は何かを必死に説明しようとしているが、言葉がつっかえてうまく伝わらない様子。
「なるほど、異世界のフルーツですか!」
私は袋から一つを取り出し、じっと観察した。「これは確かに見たことがないフルーツですが、特に問題はなさそうですね。売り物ではないですが、もし欲しいなら…」
「あ、すみません、これ実は…実験用でして…」
その人物が言い訳を始めたところで、店内にいた魔物たちが一斉に反応し始めた。「なんだ、珍しい客だな!」「あの耳はなんだ?」「見たこともないフルーツだぞ!」と口々にささやく。
その人物は恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、しっかりと続けた。「えっと、私は異世界から来た…エルフの…エレオノーラと言います。実は、このフルーツ、家で育てているんですが、ちょっとその…特殊な実験をしてまして…」
「特殊な実験ですか?」
「はい、フルーツを使った薬草の調整実験なんです…でも、こういう普通のスーパーで売ってるフルーツも気になってきて…」
エレオノーラさんはだんだんと話がまとまってきた様子だった。
その後、エレオノーラさんは、何とか店内の他の商品にも興味を持ってくれ、いくつかの商品を手に取ることになった。最初は緊張していたものの、魔物たちの好奇心を引き寄せ、少しずつリラックスしていった。
「このお店、すごくいいですね!」
最後に笑顔で言ってくれたエレオノーラさんは、商品をいくつか手に取った後、支払いを済ませて去っていった。
「新しいお客様、来たな…」
リオネルが目を細めて言った。「それにしても、珍しい客だったな。エルフか…」
「魔界のフルーツって、ちょっと気になるな」
コボルトがその袋をじっと見つめていた。
これから、エレオノーラさんがどうコンビニを利用してくれるのか、楽しみだ。おそらく、彼女が引き起こす次のギャグ展開も見逃せないに違いない。
店内は、またいつものように賑やかな雰囲気が戻り、さらに新たな顧客を迎える準備ができているようだった。
(異世界で更に異世界とはなんと面妖な)
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