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第二十三話:新たな客は予測不能!
しおりを挟むその朝、店に開店準備のために訪れた俺は、ふと不穏な気配を感じた。ドアの外から聞こえてくる不自然な音に耳を澄ませると、何やらドタバタとした騒動が起きているようだった。
「店主、あれ見てください!」
バイトのエルフのミーナが指差した先には、何と巨大なドラゴンがドアの前でウロウロしているではないか。鱗が輝き、目は鋭く光っているものの、何かを探すようにキョロキョロしていた。
「おいおい、本当にドラゴンが買い物に来たのか?」俺は驚愕とともに頭を抱えたが、すぐに冷静を取り戻し、入り口に向かった。
「いらっしゃいませ、何かお探しですか?」
ドラゴンは俺の言葉を聞いてピタリと動きを止め、その巨大な目でこちらを見下ろした。
「お、お菓子……うまいのが欲しいんだが?」
まさかの一言に店内の空気が一変した。ドラゴンが話す!? 周りに集まっていた常連の騎士リオネルや魔物のグレンたちも驚きの声を上げた。
ドラゴンとチョコレートバー
「えーと、お菓子ならこちらの新商品『魔界チョコバー』がオススメです。」
俺が手渡すと、ドラゴンはそれを器用に爪でつまみ、じっくり観察してから一口食べた。その瞬間、ドラゴンの表情が柔らかくなり、目がハート型に見えるくらいの幸せな顔をした。
「うまい! これは気に入ったぞ!」
ドラゴンは興奮気味に言い、店内の皆が拍手喝采した。常連客のリオネルが笑いながら近づき、「店主、ここは一体どんな場所なんだ? 毎日が新しい驚きだな」と肩を叩いてきた。
魔物もドラゴンも客、大歓迎!
その後、ドラゴンは満足そうに店を後にしたが、「また来るぞ!」と大声で言い残していった。帰り際に「次はお惣菜コーナーを見てみたい」とつぶやく声も聞こえ、俺は少し先の賑やかさを想像して内心笑った。
こうして、騎士や魔物に加えて、ドラゴンまでもが常連となる我がコンビニ。俺は今日も一日、何が起こるかわからない異世界での経営に気合を入れた。
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