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第十四話:新たな挑戦と突然の依頼

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店の前に座っていると、普段とは違った雰囲気の客が店にやってきた。彼は年齢不詳で、黒いローブを身に纏った人物だ。顔はフードで隠れているが、その目元だけは見ることができ、鋭い眼光をしている。

「いらっしゃいませ。」
俺はいつも通り、挨拶をしながら彼を迎える。少し警戒しつつも、どこか不安を感じさせる目が気になった。

ローブの男はしばらく俺を見つめ、何かを考えるように沈黙していたが、やがて口を開いた。

「店主、ちょっと相談がある。」
その低い声は、ただの客というには少し違う気配を感じさせた。

「相談?」
「実は…仕事で困っていてな。」
その言葉に俺は思わず顔を引き締めた。今まで来た客は、ほとんどが軽い理由で店に立ち寄ったが、この男はどうも違う。まるで切実な理由がありそうだ。

「どうしたんですか?」
俺は思わず尋ねる。

「ダンジョンに挑戦する予定だが…実はそこで必要な物資を揃えたいんだ。」
「物資?」
「そうだ、特に…薬草やポーション、そしてちょっとした武器も。」
俺は少し考え込んだ。確かに、ダンジョンの冒険者たちにはそんなものが必要だろう。だが、この男が求める物品はかなり専門的だ。

「うちではポーションと薬草、簡単な武器類は揃えているけど…」
俺は棚を指さしながら説明する。

「それだけでは足りん。」
男は冷徹な表情で言った。何か重大な依頼が隠れていそうだ。

「具体的にどれくらい必要なんですか?」
「……できれば、すべてだ。」
その一言に、俺はますます警戒した。何か重大な理由があるに違いない。だが、店を営んでいる限り、こうした依頼を受けることは避けられない。

「もちろん、うちで扱っているものはできるだけ用意しますが…他に特殊なものが必要ですか?」
男は少し考え、そして言った。

「いや、それは…後で伝えることになるかもしれない。とりあえず、必要な物を全て準備してほしい。」
その言葉に俺は少し黙り込んだ。この店で揃えられる範囲の物資はなんとかなるだろうが、未知のアイテムや物が必要になるかもしれない。それに、何が待ち受けているのかも不安だ。

「分かりました。準備はすぐにできますが、支払いはどうなりますか?」
「後払いで構わん。」
その回答には少し驚いたが、相手が信頼に足る人物であれば問題ないだろう。そう思いながら、俺は物資を揃えるための準備を始めた。

数時間後、俺はリストにあるものをほぼ全部準備した。ポーション、薬草、軽い武器類、そしてダンジョン探索に役立ちそうなアイテムを手配した。しかし、まだ男が求める「特殊なもの」については分からなかった。

「これで全部です。」
俺はカウンターに並べたアイテムを見せながら、男に声をかけた。男は黙ってそれらを一つ一つチェックし、最後に納得したように頷いた。

「よし、これで足りる。」
「ほかに必要なものがあれば、いつでもお知らせください。」
「そうだな…実は、店主にお願いしたいことが一つある。」
男が突然話を切り出した。今まで黙っていた男が何かを頼んでくるというのは、ただ事ではない。

「何でしょうか?」
「ダンジョンに入る前に、ちょっとした護衛を頼みたい。」
「護衛?」
「君に、僕の代わりにダンジョンの中を少し探索してもらいたい。」
その一言に、俺は驚きの声を上げそうになった。

「ちょっと待ってください…その仕事はどう考えても店主の役目ではありませんよ。」
「いや、君にはできると思う。」
男の目は真剣だった。どうして俺がこの仕事を引き受ける必要があるのか、その理由が気になるところだ。

「それにしても、店主がわざわざ護衛を? 普通は依頼をする側が行くものでは?」
「僕には他の仕事がある。ダンジョン探索に割ける時間がない。」
その言葉には、やはり何か事情が隠されている気がした。

「少し考えさせてください。」
俺はそう言って、一度後ろに下がり、少し頭を冷やすことにした。

何だか急に話が重くなった気がする。

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