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第十二話:コボルトのための課金カードとホースという魔物の登場
しおりを挟む翌日、店の扉が開くと、あの騎士様とコボルトがまたやって来た。少し早めの時間帯だったけど、昨日のことを思い出して、今日はもう準備しておこうと心に決めていた。
「おっ、店主! 今日は新しい課金カードを買いに来たぞ!」
コボルトがいつも以上に元気よく声を上げた。騎士様も背筋を伸ばしながら歩いてくるが、どこか少し照れくさそうに見える。
「どうしたんだ、騎士様?」
「いや、まあ、昨日のチョコレートカードを食べたコボルトが、どうしても課金カードが本物じゃなきゃダメだって言い張ってな。」
騎士様は少し困ったような顔をして説明するが、コボルトは意気揚々と話し始めた。
「だって、ゲームのレベルアップには、課金が絶対に必要だし!」
「うん、それはわかるんだけど…」
「だから、今日は本物の課金カードを手に入れて、レベルアップするんだ!」
コボルトは目を輝かせ、両手をパタパタと振っている。
「よしよし、わかったよ。」
俺はその様子に微笑みながら、昨日の反応を元に、ゲームの課金カードを取り出した。
「これだ。」
俺はうちの店専用に作ったゲーム課金カードを、コボルトに手渡した。カードは見た目には普通のカードだけれど、実際には何かしらの特殊な魔法がかかっていて、コボルトのゲーム内アイテムやレベルアップに関するポイントを追加することができる。
「本物だ!」
コボルトは目を見開き、大喜びでカードを受け取ると、すぐに騎士様に見せつけた。
「これで、最強のモンスターをゲットできるぞ!」
「よし、頑張れ。」
騎士様は少し微笑んで、コボルトの喜ぶ様子を見守っていた。どうやら、このカードがどれほど価値のあるものかを理解したようだ。
「それじゃ、あとはお会計を…」
俺が言いかけたその瞬間、店の扉がまた開いた。今度はどこか馴染みのない、少し大きな体をした魔物が店に入ってきた。見た目は馬のような姿をしていて、体には筋肉がしっかりとついているが、足元は意外にも素早く、優雅に歩いている。
「おや、今日はまた新しいお客さんだ。」
俺が軽くつぶやいたその瞬間、騎士様とコボルトもその魔物をじっと見つめた。
「うーん、君は…ホースだな?」
騎士様がその魔物を見て驚いた様子で言った。ホース、つまり馬のような魔物だが、通常の馬とは違って、身長がかなり高く、足元には鋭い角を持っている。
「おお、わかるか?」
ホースは嬉しそうに頷いた。どうやらこの世界でも、騎士様と似たような存在であるらしい。
「こんにちは、今日は何をお求めで?」
俺が声をかけると、ホースは少し困ったような顔をしながら答えた。
「実は、最近少し疲れ気味でな…それで、エナジードリンクを買いに来たんだ。」
「エナジードリンク?」
俺は少し驚きつつも、すぐに冷蔵庫を開けて、エナジードリンクを取り出した。
「こちらにありますが、こちらでよろしいですか?」
「うむ、これだ!」
ホースはすぐにエナジードリンクを手に取り、満足げに頷いた。
「ありがとう。これで明日の走りを頑張れる。」
ホースはそう言って、すぐにお金を渡すと、足早に店を出て行った。店のドアが閉まると、すぐにコボルトがその後ろ姿を見送りながらつぶやいた。
「なんかすごいな、あの魔物…」
「確かに、まさかエナジードリンクを買いに来るとは思わなかったな。」
俺もそう思っていたが、ホースの登場は何だか面白い出来事だった。だが、これでまた新たな常連客が増えたことになる。
「さて、今日も忙しくなりそうだ。」
俺は少し笑って店の棚を整理しながら、コボルトと騎士様が新しい課金カードで盛り上がっているのを見守った。
コボルトがゲームの課金カードでレベルアップを果たし、騎士様がそれを支援しながら、次々と新しいアイテムをゲットしていく姿を見ていると、今日もまた平和な日常が流れているのだなと、なんだか安心した。
「あ、店主、これも頼む!」
コボルトが元気よく新しいアイテムを要求してきたが、それに対して騎士様もまた微笑みながら頷いた。
「今日は少し冒険の準備をしておくか。」
俺はそんな言葉を胸に、次にやってくる冒険者たちを待ちながら、忙しい一日を過ごしていった。
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