三英傑の故郷(仮)

第67話 裏切りの影

次なる戦いに備えていた信長と虎之助のもとに、予期せぬ知らせが届いた。味方であったはずのある武将が、密かに敵方に通じているというのだ。その裏切りの噂は、信長陣営に動揺を広げ、士気を揺るがしかねない危険を孕んでいた。

信長はすぐに対応策を練り始め、虎之助を呼び寄せた。「虎之助、このままでは我が軍の士気が崩れる。だが、まずは真偽を確かめる必要がある。お前にその任を託したい」と信長は冷静に命じた。

虎之助もその重責を感じつつ、「かしこまりました。必ずや真相を突き止めます」と信頼を裏切らぬよう決意を固めた。彼は迅速に調査を開始し、密かに情報を集め始めた。

その過程で虎之助は、かつて同じ陣営で戦った仲間からも情報を得ていった。彼らの証言や記録をまとめるうちに、少しずつ裏切りの兆候が見えてきた。しかし、その武将がなぜ裏切りに至ったのか、その理由までは掴めていなかった。

そしてある晩、虎之助はついに裏切りの現場を目撃することとなった。敵の使者と密かに会っているその武将の姿を見て、虎之助は胸中で苦しみを覚えたが、冷静に状況を把握することに努めた。裏切りの証拠をつかみ、信長に報告するためである。

翌朝、虎之助は信長のもとに戻り、夜の出来事を詳しく報告した。信長は深い沈黙の後、厳しい表情で「その者に再び忠義の道を歩ませる術はあるか？」と問いかけた。信長の人心を重んじる姿勢に、虎之助も改めて感銘を受けた。

だが、その武将の意志が固ければ、和解は難しい。信長と虎之助は、再び対策を練り直し、味方に裏切りがあることを悟られぬよう細心の注意を払いながら、進むべき道を見出していった。

裏切りの影が揺らめく中、信長と虎之助の信念は、さらに強く固まっていく。その先にある運命に立ち向かう覚悟が、彼らをまた一歩成長させた。

続く