駅の果てで

80話: ギルドからの緊急依頼！ソールズベリーを採取せよ！

イシュメリアの街へと戻ってきた聡たち一行は、久しぶりにギルドを訪れた。疲れを癒し、情報を得るためにもギルドに立ち寄ることは欠かせない。しかし、ギルドの扉を開けた瞬間、彼らは場内の異様な緊張感に気付いた。

「おや？今日はいつもより静かだな…何かあったのか？」と聡がつぶやくと、ギルドの受付嬢が駆け寄ってきて緊急の依頼書を手渡してきた。

「実は、最近ソールズベリーという希少な薬草が不足していて、どうしても確保が必要なのです。ソールズベリーは非常に貴重で、しかも険しい山の中でしか採取できないため、危険を伴う依頼です。どうかお力をお貸しください！」


---

ソールズベリーとは？

聡は依頼書を見ながら、ノアに向かって尋ねた。「ノア、このソールズベリーってのは一体どんな薬草なんだ？」

ノアが少し考えた後、説明を始める。「ソールズベリーは、古代から重傷や毒の治療に用いられてきた特別な薬草よ。その希少性から、市場でも高値で取引されているわ。でも、その採取場所が過酷な山岳地帯にある上に、守護するように強力な魔物が生息しているの。」

「なるほど…つまり、採取は命懸けってことか。」聡は軽く肩をすくめながらも、依頼を受けることを決めた。


---

険しい道のりへ

ギルドから地図を受け取り、聡たちはソールズベリーの自生地へと向かった。そこはイシュメリアからさらに北へと進んだ、断崖絶壁が連なる山岳地帯だった。険しい道のりと気温の低下に加え、道中では霧が立ち込め、視界がどんどん悪くなっていく。

「気をつけて、ここは滑りやすいわ。」ノアが忠告する中、ファングが先導して道を進んでいく。その様子に聡は思わず感謝の念を抱き、「ありがとうな、ファング。お前がいて助かるよ。」と声をかけると、ファングは得意げに尻尾を振った。


---

ソールズベリーの魔物と遭遇

険しい道を進み、ようやくソールズベリーが自生するエリアへと到着した。しかし、周囲に薄い魔力の波動を感じ、嫌な予感が漂う。ノアが呟く。「どうやら、私たちを見張っている何かがいるようね…」

すると、突然草むらから巨大な魔物が飛び出してきた。漆黒の鱗に包まれ、鋭い牙を持つその魔物は、まさにこの地域の主のような威圧感を放っていた。

「やっぱり、来たか！」聡は武器を構え、ノアとファングと共に応戦の構えを取った。


---

激闘と知恵の戦い

魔物との戦いは予想以上に激しいものだった。鋭い牙と爪で襲いかかる魔物に対し、聡は素早い動きで回避し、ノアは魔法で牽制しながらサポートを行う。そして、ファングもその巨体を活かし、果敢に魔物へと立ち向かった。

「こいつ、かなり手強いぞ…！」聡が焦る中、ノアが冷静に魔物の動きを観察し、弱点を見抜いた。「聡、右足の部分が他よりも脆いみたい。そこを狙って！」

その言葉に従い、聡は右足を狙って渾身の一撃を放つと、魔物は大きくバランスを崩し、ついにその巨体が地面に崩れ落ちた。

「やったな！」聡がガッツポーズを決めると、ノアも微笑みながら頷いた。ファングも嬉しそうに吠え声を上げ、戦いの終わりを祝福しているかのようだった。


---

ソールズベリーの採取

ようやく魔物を退け、静寂が訪れた山奥。聡たちは慎重にソールズベリーを探し始めた。薄紫の美しい花を咲かせているソールズベリーは、風に揺れるその姿がまるで魔法のようで、周囲の厳しい環境に鮮やかな彩りを添えていた。

「これが…ソールズベリーか。」聡はそっと手に取り、その感触と香りを確かめた。

ノアも感慨深げに見つめる。「これで、イシュメリアに住む人々も救われるわね。」


---

帰還と新たな旅路

ソールズベリーを無事に採取した聡たちは、イシュメリアのギルドへと戻り、依頼を完了させた。ギルドのスタッフたちは大喜びし、彼らの勇気と貢献に感謝の言葉を述べた。

「ありがとう、あなたたちのおかげで多くの人が助かります。」そう言われた聡は、ただ静かに頷きながら、新たな冒険に備えるための決意を新たにしていた。

「よし、これからもどんな依頼が来ようと、俺たちで力を合わせて乗り越えていこう。」聡は仲間たちと共に、ギルドを後にした。

次なる冒険への期待に胸を膨らませながら、聡たちは新たな地平へと旅立ったのだった。


---