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27話

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その命令を聞いた張飛は露骨に嫌そうな顔をすると、それに気付いた関羽は一言言う。
「何か文句があるのか?」
凄味の聞いたその声にさすがの張飛も慌てた様子で首を横に振る。
「い、いえ!勿論行きます!」
そんな様子を見ながら劉備が趙雲に問いかける。
「徐州からの援軍の方はどうなっている?」
それを聞いた趙雲は思わず答える。
「あっ!はい、それが……ふぐっ?!」
そんな趙雲の足を関羽が力一杯踏みつけると痛みに耐え兼ねた趙雲は涙目になりながら慌てて言う。
「その事は徐州の張飛殿も交えて話し合いたいので、ご同行願います」
そんな劉備と趙雲のやり取りを見ていた張飛は思わず安堵した様に口元を緩める。
「そうか、しかしそれはそれとして兵を整えてから城へと戻るとしよう」
劉備のその言葉に関羽は賛成する様に頷いたのだった。
こうして呂布率いる本軍は急ぎ成都へと引き返したのだが、劉備が戻る少し前に激怒した劉備の夫人から一通の書簡と贈り物を受け取った関羽はその内容を目にして青ざめていた。
「だからあの様な事を言うべきではないと私は言ったのです!だいたい何ですか?!奉先の武勲より私の武勲の方が大きいですって?殿の武勲など吹けば飛ぶ様なものです!!」
「り、李粛!!落ち着いて!落ち着いて!」
そんな呂布の言葉を無視した李粛は周りにいる者達に聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「なんであんな事を言ったんでしょう私は……あり得ないくらいに恥ずかしいわ」
完全に不貞腐れてしまった李粛の機嫌を取る事が出来ず、呂布は困り果てていた。
そんな時、魏続が馬を走らせてやって来て、曹操軍の元に到着した陳珪からの使者だと言うと、関羽は書簡に目を通して大きくため息を漏らす。
それを見た奉先が不思議に思ったのか尋ねると、関羽は苦笑いを浮かべながら言う。
「ふふふ……お恥ずかしい話なのですが、どうやら陳珪将軍に我らの失態を全て見られていた様なのです」
その書簡の内容はというと、奉先に対する陳珪の評価を裏書きするもので、曹操軍の奉先に対する評価の低さにはガッカリしたと言う内容だった。
呂布は少し不安な表情を浮かべながら言う。
「な、何と言えば良いのか……」
そんな呂布の肩を優しく叩いた李粛は呂布に微笑みながら言う。
「奉先殿、ご安心ください。陳珪将軍も仰っていましたが、郭嘉と言う方を侮ってはいけません」
そう言う李粛の目を見ながら奉先が首を傾げると李粛は言った。
「彼はかなりの切れ者だと曹操様はおっしゃっておりました、その郭嘉という男がそう言うのであれば太守の息子の裏切りや黄巾党の賊どもにも何かあると見て間違いないでしょう」
そんな二人の話を李粛と共に聞いていた魏続が不思議そうに首を傾げながら言う。
「しかし、それでもやはり奉先様の武勲の方が大きいと言う事は間違いないと私も思うぞ」
「当たり前でしょ、それは間違っても有り得ないわ。やっぱりどう考えても殿の武勲は素晴らしくて最&高よ」
そのやり取りを見ていた呂布は思わず苦笑してしまっていた。
曹操軍の本拠地である陳留郡に帰還して数日後、李儒の元に郭嘉がやって来ていると知らされた呂布は李儒の執務室に出向いた。
そこで郭嘉との再会を果たした呂布は軽く拱手する。
そんな郭嘉に挨拶をし終えた呂布だったが、そう言えばという表情を見せながら李儒に聞いた。
「ところで奉先将軍は戻っておられるのか?」
そう尋ねられた李儒も少し困った表情を浮かべながら答える。
「実は、つい先程も陳珪殿より書簡が届きまして……」
「奉先殿に何かあったのか?」
そんな呂布の問いかけに李儒は苦笑いを浮かべながら言う。
「いえ、実は将軍が率いていた軍の大部分を残して帰ってしまった様なのです」
その報告を聞いた呂布は思わず驚きの声を上げると、続けて郭嘉が言う。
「私も陳珪様から話を聞いて驚いてしまいまして、本来ならば急ぎ漢津へと向かおうとしたのですが伝令によると既に漢津には向かわずに成都に戻っておられるとかでして……」
そこまで言うと郭嘉は呂布の方を見て言う。
「ご自身の目で確認された方がよろしいかと思いますので、同行して頂けますか?」
呂布はそれに同意をしめすと李儒に拱手して陳留郡を後にした。
ちなみに陳留郡に向かう時は奉先と奉先の兵士達だけだったが、今回は呂布軍と成都に向かう黄巾党という大所帯での行軍である。
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