夢の国の不思議姫

みなと劉

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『夢の国の不思議姫』
ワンダーランド・ネバーリューという世界
この世界では『年に一度』、『夢の国の不思議姫』様が復活する日がある。
その日に、不思議な力によって、人々は夢の世界へ誘われるのだ!
『夢の国の住人達と友達になりましょう!』
そんなキャッチフレーズで、ワンダーランドは年に一回開催される遊園地である。
『夢の国の不思議姫』とは……? それは、この世界のどこかにいるとされる伝説の存在である。
その姿を見た者は誰もいないとされているが、人々にはその存在を信じられていた。
そして、復活の日には、『夢の国の不思議姫』も復活し、人々の前に現れるという言い伝えがあった。
『夢の国の不思議姫』は、人々に魔法をかけてくれると言われている。
人々は、その日を心待ちにしていた……。
「おーい!こっちだぞ!」
「早くしないと、置いていくよ!」
「待って~」
私の名前は、リンナ。
今日は、友達と一緒に『夢の国の不思議姫』を見に行くことになっているんだ。
「やっと追いついた……」
「遅いなぁ~」
「ごめんね……」
私の友達は、双子の姉妹のレナちゃんとマナトくん。
「よしっ!じゃあ、行くか!」
「「うん!!」」
私たちは、手を繋ぎながら、入場ゲートへと向かった。
「今年こそ、会えるといいね!」
「そうだね!でも、私たちには、きっと無理だよ……」
「なんで?」
「だって、見たことないもん」
「大丈夫さ!きっといつか、見れる時が来るよ!」
「そうかなぁ……」
私たちは、少し悲しそうな表情を浮かべた。
「あれ……?」
その時だった。
「ねぇ……なんかおかしくない?」
「どうしたの?」
「ほら、あそこの人を見てみて……」
レナちゃんが指差す方向を見ると、そこには、変なお面をつけた男の人が立っていた。
「あの人は誰だろう?」
「なんか、怖いね……」
すると突然、男の人のつけていたお面が光り出した。
「わぁ!?」
思わず目を瞑ってしまった。
しばらくしてから目を開けると、そこにいたはずの男の人の姿はなかった。
代わりに、可愛らしい女の子がいた。
年齢は、私たちと同じくらいだろうか? その子は、白いドレスを着ていて、髪の色と同じ銀色の靴を履いている。
まるで、絵本に出てくる妖精みたいだと思った。
その子は、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。
「君たち……私が見えるの?」
私は驚いた。
まさか、本当に『夢の国の不思議姫』様が現れたなんて!!
「見えるよ!」
「うそ!?ほんとうに!?」
レナちゃんの言葉を聞いた瞬間、彼女は泣き出してしまった。
「えっ!?ちょっと……」
どうしていいかわからず戸惑っていると、マナトくんが言った。
「大丈夫だよ。怖くないよ」
マナトくんの声を聞いて安心したのか、彼女は落ち着きを取り戻したようだ。
「よかった。ありがとう……」
彼女の顔をよく見ると、左目のところに涙の跡のようなものが残っていることに気がついた。
おそらく、泣いてしまった時にできたものだと思うけど……。
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