18 / 21
18話
しおりを挟む
その後も俺の異世界ライフは、予想外の展開ばかりだった。特に最近は、どうも騎士様や魔物たちと一緒に過ごす時間が多くなってきた。今日はというと、グルドラが一人で盛り上がっている。
「おいおい、今日はお前に『魔物フェスティバル』を紹介する日だぜ!」
グルドラが目を輝かせて言った。お前、また無茶なイベントを…
「魔物フェスティバル?」
「そうだ!魔物たちが集まって、芸を披露したり、力自慢をしたりする日だ。もちろんお前も参加してくれよな!」
グルドラがやけに楽しそうだ。
「……俺、芸とかできないけど?」
「心配すんな!みんな、芸ができるできないとか気にしないから。何かやればいいんだよ!」
グルドラはとりあえず俺を連れ回して、祭り会場へと向かうことになった。
会場には、様々な魔物たちが集まり、舞台の周りで笑い声や歓声が飛び交っていた。中央の広場では、巨大なトロールが手作りのバンドで音楽を演奏していたり、ケンタウロスが弓の腕前を披露していたり、ゴブリンがサーカスのようなアクロバットをしていたり、まさに異世界ならではの光景だった。
「さあ、お前の番だ!」
グルドラが俺を無理やりステージに押し上げた。俺は一瞬、周りの魔物たちの目が一斉に俺に向けられるのを感じて、冷や汗をかいた。
「お、どうした?怖いのか?」
ケンタウロスがニヤニヤしながら言う。まあ、コイツの言う通り、確かに怖い。誰もが何か特技を披露している中で、俺だけ芸が無いのがバレたらどうしようと焦った。
「うーん、どうしようかなぁ…」
その時、俺の視線が偶然にも、会場の隅にいたスライムに引き寄せられた。スライムがふわふわと浮かんでいるのを見て、ひらめいた。
「おお、思いついた!」
俺は思わず叫んで、スライムに向かって駆け寄った。スライムはにこにことした顔で、俺を見上げていた。
「よし!スライム、ちょっとお前、協力してくれ!」
俺が頼むと、スライムは嬉しそうに体を揺らした。
「よし、決まった!これだ!」
俺はスライムを持ち上げ、舞台の上で披露することにした。スライムを空中で軽く回転させて、うまく跳ねるように投げてみる。すると、スライムはふわりと舞い上がり、まるで軽やかなダンスのように空中で弧を描いた。
「ほほう…!それにしても、うまいじゃないか!」
ケンタウロスが驚きの声を上げ、周りの魔物たちも拍手を送った。思わぬ反応に、俺はちょっと調子に乗り始めた。
「よし、次はスライムのトリックを披露してみるか!」
俺はスライムを空中でさらに一回転させて、うまく手でキャッチした。会場からは大歓声が起こり、俺は一瞬だけ人気者になった気分になった。
「うおおお、これ、俺の芸として通用するかもしれない!」
俺は気を良くして、次々とスライムと一緒に技を繰り出していった。途中、スライムが俺の頭に乗って、まるで帽子のように見えたり、スライムが転がって俺の足元をキュルキュルと転がって可愛らしい動きにみんなが笑ったりと、なんだかんだで大成功。
そして、フェスティバルが終わる頃には、俺は魔物たちの間で「スライム芸人」として名を馳せることとなった。
「見ろよ、あいつ、スライムを使ってあんな芸ができるとは…」
「異世界の芸術の新たな一面だな…」
そんな声が聞こえてきた。
「すげーじゃん!お前、すっげー面白かったよ!」
グルドラが俺を褒めてくれた。
「まさか…こんなことで注目されるなんてな…」
俺は驚きながらも、魔物たちと一緒に過ごす時間を楽しんだ。
その後も、俺はその名を活かして、異世界で様々な芸を披露しては笑いを取る日々が続いた。思い返せば、最初は何もできないと思っていたが、今では完全に異世界のエンターテイナーになっていた。
「おいおい、今日はお前に『魔物フェスティバル』を紹介する日だぜ!」
グルドラが目を輝かせて言った。お前、また無茶なイベントを…
「魔物フェスティバル?」
「そうだ!魔物たちが集まって、芸を披露したり、力自慢をしたりする日だ。もちろんお前も参加してくれよな!」
グルドラがやけに楽しそうだ。
「……俺、芸とかできないけど?」
「心配すんな!みんな、芸ができるできないとか気にしないから。何かやればいいんだよ!」
グルドラはとりあえず俺を連れ回して、祭り会場へと向かうことになった。
会場には、様々な魔物たちが集まり、舞台の周りで笑い声や歓声が飛び交っていた。中央の広場では、巨大なトロールが手作りのバンドで音楽を演奏していたり、ケンタウロスが弓の腕前を披露していたり、ゴブリンがサーカスのようなアクロバットをしていたり、まさに異世界ならではの光景だった。
「さあ、お前の番だ!」
グルドラが俺を無理やりステージに押し上げた。俺は一瞬、周りの魔物たちの目が一斉に俺に向けられるのを感じて、冷や汗をかいた。
「お、どうした?怖いのか?」
ケンタウロスがニヤニヤしながら言う。まあ、コイツの言う通り、確かに怖い。誰もが何か特技を披露している中で、俺だけ芸が無いのがバレたらどうしようと焦った。
「うーん、どうしようかなぁ…」
その時、俺の視線が偶然にも、会場の隅にいたスライムに引き寄せられた。スライムがふわふわと浮かんでいるのを見て、ひらめいた。
「おお、思いついた!」
俺は思わず叫んで、スライムに向かって駆け寄った。スライムはにこにことした顔で、俺を見上げていた。
「よし!スライム、ちょっとお前、協力してくれ!」
俺が頼むと、スライムは嬉しそうに体を揺らした。
「よし、決まった!これだ!」
俺はスライムを持ち上げ、舞台の上で披露することにした。スライムを空中で軽く回転させて、うまく跳ねるように投げてみる。すると、スライムはふわりと舞い上がり、まるで軽やかなダンスのように空中で弧を描いた。
「ほほう…!それにしても、うまいじゃないか!」
ケンタウロスが驚きの声を上げ、周りの魔物たちも拍手を送った。思わぬ反応に、俺はちょっと調子に乗り始めた。
「よし、次はスライムのトリックを披露してみるか!」
俺はスライムを空中でさらに一回転させて、うまく手でキャッチした。会場からは大歓声が起こり、俺は一瞬だけ人気者になった気分になった。
「うおおお、これ、俺の芸として通用するかもしれない!」
俺は気を良くして、次々とスライムと一緒に技を繰り出していった。途中、スライムが俺の頭に乗って、まるで帽子のように見えたり、スライムが転がって俺の足元をキュルキュルと転がって可愛らしい動きにみんなが笑ったりと、なんだかんだで大成功。
そして、フェスティバルが終わる頃には、俺は魔物たちの間で「スライム芸人」として名を馳せることとなった。
「見ろよ、あいつ、スライムを使ってあんな芸ができるとは…」
「異世界の芸術の新たな一面だな…」
そんな声が聞こえてきた。
「すげーじゃん!お前、すっげー面白かったよ!」
グルドラが俺を褒めてくれた。
「まさか…こんなことで注目されるなんてな…」
俺は驚きながらも、魔物たちと一緒に過ごす時間を楽しんだ。
その後も、俺はその名を活かして、異世界で様々な芸を披露しては笑いを取る日々が続いた。思い返せば、最初は何もできないと思っていたが、今では完全に異世界のエンターテイナーになっていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる