異世界でフレンドリーな騎士と怠け者の神様

16話

その後、俺の生活はますます異世界のカオスに満ちていた。グルドラと共に新しい冒険が次々と待ち受けているようだが、今日は特に大事件が待っていた。

「今日は特別な日だ！」
グルドラがどこからか飛んできて、俺に声をかけてきた。

「おう、どうした？」

「今日は『異世界大食い大会』だぞ！」
グルドラが目をキラキラさせて言った。

「……また食べ物かよ。」

「いや、ただの大食い大会じゃない！この大会、食べるのは魔物の料理だけじゃないんだ。なんと、魔法で作られた『特製モンスター料理』だ！」

「特製モンスター料理？」

「そうだ！肉じゃなくて、モンスターそのものを食べるんだ！」
グルドラが嬉しそうに言った。

「えぇ！？それって何だよ…それって食べ物として成立するのか？」

「もちろんだ！例えば、ジャイアントスパイダーの足のステーキとか、スライムのフルーツジュースとか、サイクロプスの目玉カレーとか、色々あるんだ！」

「……どれも食べたくない。」

俺は頭を抱えたが、グルドラの目が輝いているので、結局参加することに決まった。

会場に到着すると、すでに大勢の参加者が集まっていた。騎士団の隊長や、魔物たちも次々と集まり、異世界らしい賑やかさが広がっていた。そして、中央には巨大なテーブルが並び、そこに様々なモンスター料理が並んでいる。

「さあ、準備はできたか！？」
司会の神様が現れた。相変わらず寝ぼけた表情だが、手に持っているのは巨大なフォークとナイフだ。

「なんでお前が司会なんだよ…」
俺が思わず呟くと、神様がだるそうに返答する。

「ん？いや、面倒くさいからやっただけ。とりあえず、みんな！これから大食いを始めるぞ！」

「おいおい、待てよ…」
俺はうんざりした表情をしながらも、テーブルに並べられた料理を見た。

その時、突然目の前に現れたのは、恐ろしげなモンスター料理「サイクロプスの目玉カレー」だ。その目玉はまるで本物のサイクロプスの目のように大きく、中央に見える目のレンズがぎょろりと動いている。

「ええぇぇぇ！？」

「ほら、お前も食べろよ！」
グルドラが無理やり俺の前にそのカレーを押し付けてくる。俺は思わずその目玉を見つめた。

「う、うーん…」
でも、周りの参加者たちがすでに食べ始めているのを見て、しょうがなく俺もスプーンを手に取った。

「さあ、いけ！食べろ！」
グルドラが無邪気に声を上げる。俺は覚悟を決めて、目玉のレンズにスプーンを突き刺した。

「うわっ、柔らかい…でも、見た目が…」
口に入れると、意外にもあっさりとした味わいだった。しかし、目玉の中に隠れていた「目薬のような液体」を一口飲み込むと、全身に異常なほどのスパイシーさが広がり、思わず目が涙で溢れた。

「うおおおお！なんだこれ！辛い！いや、痛い！」

「はっはっは！それがサイクロプスの目玉の特製スパイスさ！」
グルドラが爆笑している。

周りの参加者たちも似たようなリアクションをしている。途中、ジャイアントスパイダーの足を食べるときには、足があまりにも長すぎて、何度もテーブルからはみ出し、最終的には目の前にいたスライムのフルーツジュースで流し込む羽目になった。

「うわっ、これ本当にモンスターの足だろ！」
「うん、でも美味しいかもしれない…」
「それは言い過ぎだ！」

とにかく、この大会は予想通りカオスな展開を迎え、最終的に誰が勝ったのかよく分からないまま終わった。

「結局、引き分けだな。」
グルドラが言った。

「だから最初から誰が勝つか分からないって言っただろ…」

「まぁ、楽しかったからいいだろ？」
グルドラは相変わらず楽しそうに笑っている。

そんなこんなで、俺の異世界生活は次々と奇妙な出来事で埋め尽くされていったが、どこか不思議と楽しくなってきていた。次はどんなイベントが待っているのか、もう少しだけ楽しみにしてみようと思う。